第122回井の頭かんさつ会レポート

第122回井の頭かんさつ会

「池の外の外来種(植物)を考える」
~ワクワク・ドキドキ冬芽観察~

2015年6月21日(土)10:00~12:00

主催:井の頭かんさつ会
後援:東京都西部公園緑地事務所
案内:
佐藤 誠(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
大橋 博資
日置 日出男(森林インストラクター)
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員、井の頭バードリサーチ代表)
大原 正子
高久 晴子
田中 雅子(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
上村 肇
村上 健太(NACS-J自然観察指導員)
参加者:34名(大人31名、子供3名)

レポート

朝から小雨模様で開始時刻の天候が気にかかりましたが、開始時刻には雨も上がり屋外での観察を無事スタートすることができました。
今回のかんさつ会では本年の3月に環境省が公表した「我が国の生態系等に被害を与えるおそれのある外来種リスト」に掲載されている植物、日本生態学会の「侵入生物データベース」に掲載されている外来植物、その他の井の頭公園で勢力を伸ばしていると思われる外来植物を中心に観察を行いました。驚くなかれ、公園にはこれらのリストに掲載されているだけで約40種の外来植物が生育しています。もちろん井の頭公園でこれらが生育することが即悪いわけではありません。それらの植物がいつ、どのように日本に入ってきたのかを説明し、その生態や繁殖の仕方(種のでき方、栄養繁殖の仕方など)を観察し、他の植物への影響を考えてもらいさらにその植物がどのような場所に侵入したとき生態系等に被害をあたえる恐れがあるのかを説明しました。
終了前の全体での振り返りで、参加者の方々に「井の頭公園の生態系等に被害を与える恐れのある外来種」は何だと思いますか?と質問したところ、お茶の水の付近の林床を覆い尽くしている「ノハカタカラクサ」、いたるとこにピンクの花を咲かせている「ムラサキカタバミ」、オレンジ色の花がきれいな「ナガミヒナゲシ」などが挙がりました。
今回はどの植物が外来種であり、どのような影響があるかを知っていただくことだけを目的としていましたが、参加者の方々はそれらの知識を得るだけではなく生態系をも理解していただけたと、主催者として驚きとともに大きな喜びを感じました。(佐藤誠)

第121回井の頭かんさつ会レポート

第121回井の頭かんさつ会

■タイトル  「春の野鳥観察会」

■実施年月日 2015年年5月10日(土曜日)8:30~11:00

■参加者数  一般参加者名 47名(大人39名+小人8名)

井の頭かんさつ会スタッフ11名

  • 実施場所 井の頭公園ボート乗り場前~お茶の水池~弁天池~御殿山~玉川上水
  • 実施レポート(作成:第121回企画担当 高野 丈)
  • 前回のテーマだったカイツブリの行動から観察を始め、運よく現れてくれたカワセミなど池の鳥をじっくり観察。その後、御殿山へ移動し、街灯をドラミングするアオゲラのユニークな行動を観察することができました。その後、運よくヤマザクラの果実を食べるアオバトを発見し、しばらく観察しました。エゾムシクイやキビタキなどの夏鳥もかろうじて観察しました。
  • 121回目の井の頭かんさつ会のテーマは「春の野鳥観察会」。最近の野鳥観察会の方向性を継承し、留鳥も渡りの夏鳥も、とにかくじっくり観察することで新たな発見をしようという趣旨で開催しました。

第120回井の頭かんさつ会レポート

第120回井の頭かんさつ会

■タイトル 「カイツブリと井の頭池」

■実施年月日 2015年4月26日(日)10:00~12:00

■参加者数  36名(大人30名、子ども6名)

■スタッフ数  かんさつ会スタッフ11名、特別スタッフ1名

■実施場所  ボート乗り場前(集合)→井の頭自然文化園水生物園→お茶の水池→ボート池

■実施レポート (作成:第120回企画担当 田中 利秋)
今回は井の頭かんさつ会10周年記念の観察会です。第1回は2005年4月24日の「カイツブリとその暮らし」で、増えた外来魚のせいで在来の小魚やエビが減り、それを餌にするカイツブリが暮らしにくくなってきていた時期でした。その後の当会などの外来魚駆除の努力にもかかわらず、状況はさらに悪くなり、井の頭池にカイツブリが1羽もいなくなった時期もありました。しかし2014年冬に「かいぼり」が実現して外来魚がかなり駆除されたため、現在はカイツブリが子育てをできる池に戻っています。

今回のテーマは関心が高く、募集開始後3日間で満員になりましたが、これまでの当会の活動に協力していただいた人たちにも参加してもらえました。第1回と同様な好天の下、4班に分かれて観察を行いました。現在の井の頭池には4組のカップルがなわばりを構えていて、すでにヒナが誕生しているカップルもあります。班ごとに、それらのカイツブリの行動や、かわいいヒナたちのようす、ヒナに懸命に餌を運ぶ親鳥たちを観察しました。

また、今回は特別に水生物園にも入園し、水生物館で飼育展示されているカイツブリで、潜水のようすをじっくり観察しました。そこには特別協力者のSさんがカイツブリの骨格標本を持って待機し、得意の潜水を可能にしている身体の造りについて説明してくれました。

その骨格標本は、井の頭池で昨年生まれたものの、途中で死亡してしまった幼鳥を標本にしてくれたものです。参加者の皆さんは、カイツブについてより詳しくなっただけでなく、カイツブリがさらに暮らしやすくなるためには池がさらに良くなる必要があることを理解してもらえたのではないかと思います。

第119回井の頭かんさつ会レポート

第119回井の頭かんさつ会

タイトル 「井の頭公園 花を愛でる観察会」 ~花と実のステキな関係~

■実施年月日 2015年3月22日(日)10:00~12:00

■参加者数  37名(大人33名、子ども4名)

■実施場所:     ボート乗り場前(集合)→井の頭池北岸 →野草園 →雑木林

 

■実施レポート (作成:第108回企画担当 小町 友則)

うららかな、春らしい天気の下、恒例の花を愛でる観察会を行いました。今年はちょっと早めに春を先取りした日程としましたが、急な暖かさのため、井の頭公園は開催前の1週間で開花が相次ぎ、華やかな観察会となりました。

 

今まで、花を愛でる観察会として、花の色、花の形、花の匂い、花の進化、花と生きものの繋がりなどをテーマに取り上げてきましたが、今年は「花と実のステキな関係」として、花が咲いた後にどういった実になるか分解したりしながら、観察してみることにしました。

 

今回は花を細かく見ていくことがテーマなので、少人数の班編成として、5班体制でご案内しました。スタート地点であるボート広場にも、多くの花が咲いていました。ヒサカキ、レンギョウ、ツルニチニチソウ、ユキヤナギ、サクラ(エドヒガン)などです。中でも面白いのが、カラスノエンドウの小さな花です。花を分解し、雌しべの元を見ると、もうマメのさやができています。更に良く観ると、その中に豆のような形もうっすら見えました。

 

橋を渡り、池の北岸では、ヒュウガミズキやヒイラギナンテンが咲いており、コブシ前では、コブシの花の原始的な構造と、別途採取したコブシの実と対比を行いました。またシラユキゲシの雌しべの子房の部分を割って、顕微鏡で観察してみました。すると、米粒のような小さな胚珠がいっぱい見られ、ケシの仲間は種子の数が多い事が納得できました。ミツマタやツバキを観察し、梅園へ向かうと、ウメやサンシュユのほか、オオイヌノフグリやキュウリグサといった小さく可憐な草花が咲いており、じっくり観察できました。今回、各班のリーダーは工夫をこらせて、梅干しやリンゴなどの果実を持ち込み、花と実の関係をわかりやすく解説を行っていました。

野草園では、アズマイチゲやイチリンソウ、ニリンソウ、カタクリ、クサノオウなどの山野草が咲き出しており、早春の雰囲気をたっぷり味わうことができました。

第118回井の頭かんさつ会レポート

第118回井の頭かんさつ会

「冬の樹木」
~ワクワク・ドキドキ冬芽観察~

2015年2月28日(土)10:00~12:00

主催:井の頭かんさつ会
後援:東京都西部公園緑地事務所
案内:
日置 日出男(森林インストラクター)
佐藤 誠(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
大橋 博資
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
大原 正子
高久 晴子
田中 雅子(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
佃 和夫(NACS-J自然観察指導員)
村上 健太(NACS-J自然観察指導員)
参加者:36名(大人30名+子供6名)

レポート

少し気温は低めだったものの、お日さまも顔を見せ、風も強くない日でした。絶好のかんさつ日和のなか、楽しくもにぎやかな「冬の樹木」の観察会を開催しました。
今回の観察会は「冬芽・葉痕(ようこん)」など細かい部分の観察を中心に構成し、いつもより少なめの参加者で、じっくり取り組む趣旨で企画しました。そのため、参加者35名の少人数限定で開催しました。班分けは、大人の参加者中心の3班と、久しぶりに復活した「まっちさんの子ども班」を加えた4班編成としました。
大人班は、植物の冬越しについての話を資料を使って説明した後、観察を開始しました。最初に各班が向かったのは、七井橋の脇に生える「イロハモミジ」でした。参加者は、赤い小さな双子の冬芽のかわいさに感激しました。そして、次に観察した「トチノキ」の大きくべとべとした冬芽にはびっくりするなど、驚きと感動の連続でした。
参加者は真剣に冬芽を見つめ、葉痕をルーペで探し、「かわいい!本当に顔に見える」など大喜びしながら、自然の造形の美しさと不思議さを存分に味わっていました。
子ども班は、まっちさん特製の「妖精ビンゴ」で自然観察を楽しみました。子どもたちは25種のビンゴカードのうち、じつに19もの妖精(冬芽と葉痕)を見つけて大喜びしました。いつも感心するのですが、子どもたちは大人よりも自然に近い豊かな感性をもっているのでしょう。
自然の素晴らしさと楽しさに触れながらの2時間があっという間に過ぎた観察会でした。(レポート:日置、写真:上村)

第117回井の頭かんさつ会レポート

第117回井の頭かんさつ会

「発見する!バードウォッチング」

平成27年1月24日(土)9:30~11:30

主催:井の頭かんさつ会
後援:東京都西部公園緑地事務所
案内:
高野 丈(NACS-J自然観察指導員、井の頭バードリサーチ代表)
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
大原 正子
高久 晴子
佐藤 誠(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
田中 雅子(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
日置 日出男(森林インストラクター)
大橋 博資
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
佃 和夫(NACS-J自然観察指導員)
村上 健太(NACS-J自然観察指導員)
参加者:48名(大人41名+子ども7名)

レポート

117回目の井の頭かんさつ会のテーマは「発見する!バードウォッチング」。じっくり観察することで何らかを発見する野鳥観察会です。
ちょうど1年前、池には水がありませんでした。かいぼりの真っ最中だったからです。3月に水がはられ今日に至ったわけですが、かいぼりの効果は少なくありませんでした。池の中が外来種に席巻されて繁殖できなくなっていたカイツブリの個体数が増え、3ペアが繁殖を成功させました。池の水が澄み、水底まで光が届くようになって水草が豊富に生えました。絶滅したと思われていた水生植物も生えてきました。食べものが増えたことで池の水鳥たちは自然な行動を見せてくれ、さらにオカヨシガモという新たな仲間を迎えました。今まで井の頭池で越冬するカモはオナガガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロの4種でしたが、今季は1種増えたことになります。水草を食べ尽くしていたコイやザリガニを徹底的に駆除した成果があってか、カモたちは水草なのか、植物質の何かを食べています。
私たち井の頭かんさつ会が最初に世の中をちょっぴり良くできたのは、餌をやることをやめようというキャンペーンを2007年に実現し、それ以来井の頭公園で餌やりをする人が激減したことです。そのときに私たちが掲げていたのが、餌を与えるのではなく、かつての生態系を取り戻し、自然界の食物を増やして、カモに戻ってきてもらうというものでした。かいぼりを通じて、それがささやかながら結実したことになります。その感動を参加者に共有できたのが、今回のかんさつ会だったと思います。
森の鳥よりも池のことに重点を置き、ご案内したかんさつ会でした。(高野丈)

第116回井の頭かんさつ会レポート

第116回井の頭かんさつ会

「見つけよう冬のいろいろ」 発見する自然観察

平成26年12月20日(日)15:00~17:00

主催:井の頭かんさつ会
後援:東京都西部公園緑地事務所
案内:
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
高久 晴子
佐藤 誠(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
田中 雅子(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
日置 日出男(森林インストラクター)
大橋 博資
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
佃 和夫(NACS-J自然観察指導員)
村上 健太(NACS-J自然観察指導員)
参加者:23名(大人20名+子ども3名)

レポート

12月はテーマ選びに悩みます。冬は生き物の動きが少ないのに加え、時間帯が夕方だからです。とはいえ、見るべきものがないわけでは決してありません。そこで今回は、対象を限定せず、自然の中に散りばめられている面白いことを見つける観察会を行うことにしました。「発見する自然観察」は井の頭かんさつ会設立時からのメインテーマです。自分で発見できる力があれば、自分の周りの自然のかけがえのなさや、そこに起きている問題に気づけるからです。
しかし、参加申し込みの勢いはいまひとつ。久しぶりに定員に届きませんでした。多くの人には、誰かが見つけた面白いことを教えてもらえる、勉強会のような観察会のほうが参加しやすいのかもしれません。しかも残念なことに当日は雨。申し込み者の4分の1ほどのキャンセルが出て、結果的には、雨天会場にちょうどよい人数になりました。
雨プロのメニューは4つでした。
1つ目は、井の頭池とそこの生き物が「かいぼり」後にどう変わったかについて、池での活動を続けてきた田中が話をしました。予想していなかったことがいろいろ起きましたが、良いことも悪いことも、自然や生き物を理解する上でいずれも貴重なことでした。見続けている人だけが気づくことができる、「発見する自然観察」の好例だと思います。

2つ目は、毎日野鳥を観察している高野が、「野鳥観察3つの謎」の話をしました。カモのエクリプス(オスがメスに似た羽になっている状態)の謎、ムクドリの(冬の繁殖行動?)の謎、(夜、三鷹駅前や吉祥寺駅前に集まって眠る)ハクセキレイの謎のお話でした。謎に気づくこと、疑問を持つことが、より詳しい観察の動機となり、新たな発見へとつながります。

3つ目は、公園の昆虫の観察を続けている高久が、「コシアカスカシバ」というスズメバチそっくりの蛾の観察体験を聞かせてくれました。10年前にそれを初めて見てから、しだいに発見を積み重ねて、その生態に迫っていく内容でした。参加者だけでなく、そんな蛾が井の頭公園にいることを知らなかったスタッフも話に聞き入りました。

そして、最後は実践編。
スタッフが事前に拾い集めておいた、いろいろな樹の落ち葉をテーブル上に広げ、いつもより仔細に観察してもらいました。視覚も触覚も嗅覚も使うと、形や色の違いだけでなく、それぞれがもついろいろな特徴に気づきます。顕微鏡も使って観察したので、毛の有無やその生え方の違いなどもはっきりわかりました。お話の間静かだった会場は、スタッフのリードで観察が始まると、驚きや感嘆の声で一気ににぎやかになりました。時間が短かくて皆さん少し物足りなさそうでしたが、落ち葉程度のものでも、よく観察すればいくつもの発見ができることはわかっていただけたと思います。

かんさつ会終了後は、保全活動班のメンバーも加わって、吉祥寺の店で忘年会。個室だったため、他の客の声に邪魔されることもなく、気兼ねも不要で、にぎやかで充実した会になりました。
2014年は念願の「かいぼり」が実現しました。2015年もきっと良い年になるでしょう。

(レポート:田中利秋)

第115回井の頭かんさつ会レポート

第115回井の頭かんさつ会

「動物園で日本の動物観察」

知っているようで知らない日本の動物たち
平成26年11月29日(日)10:00~12:00

小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
高久 晴子
佐藤 誠(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
田中 雅子(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
日置 日出男(森林インストラクター)
大橋 博資
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
佃 和夫(NACS-J自然観察指導員)
参加者41名

レポート

井の頭かんさつ会は井の頭公園の様々な場所で観察を行ってきました。しかし、まだ手つかずの場所が意外なところにありました。井の頭自然文化園(動物園)です。今回の下見の際に、井の頭公園全体では小さな木が数本しかないと思われていたブナの大木をアナグマの檻の脇で発見しました。井の頭かんさつ会にとって、自然文化園の中がいかに秘境であるか象徴する出来事でした。
ほ乳動物は子ども頃から昔話などに登場するので、とても馴染みの深いものですが、野生の姿を見ることは中々難しいです。ところが動物園では夜行性の動物も含めて、間近でそういった動物が観察できる絶好の場所です。
井の頭自然文化園では、シカ・ノウサギ・タヌキ・キツネ・リス・ノネズミなど馴染みの深い生きものからアライグマ・ハクビシン・アカゲザルなど外来種も含めて日本に生息するほ乳動物だけで15種程度飼育されています。これらの動物をただ面白い、かわいいといった見方ではなく、その形態や習性などをじっくり観察してみました。
参加者41名が5班に分かれて観察をスタートしました。動物たちの足の違いや、顔の違い、食性の違い、単独行動か群れで生活するか、そういった観点で見ていくと普段見ている動物と違った姿が浮かび上がってきます。もちろん、アカゲザルの猿山やリスの小径で直に動物の行動を見ていると面白かったり、可愛かったりでつい見入ってしまいました。日本には生息していないですが、井の頭自然文化園の象徴的な存在であるアジアゾウのはな子もご紹介しました。
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残念ながら、後半は雨が降り出し、動物たちが中に入ってしまったりして、十分に見ることができなかった種もいますが、子どもも大人も時には声を上げ、観察し、その生態や生息環境を含めほ乳動物たちの魅力を十分に理解してもらえたと思います。
(小町友則)

第114回井の頭かんさつ会レポート

第114回井の頭かんさつ会

「土の中の生き物を探してみよう」

井の頭公園最後の秘境「土の中」を徹底調査!!
平成26年10月26日(日)10:00~12:00

佐藤 誠(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
日置 日出男(森林インストラクター)
大橋 博資
高久 晴子
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
大原 正子田中 雅子(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
佃 和夫(NACS-J自然観察指導員)
村上 健太(NACS-J自然観察指導員)
参加者31名

レポート

秋晴れのすがすがしい空気の中、参加者31名とスタッフ12名の計43名が4班に分かれて定刻にスタートしました。
まず全員で、スタッフが前日に林の中に仕掛けたトラップを確認、ゴミムシの仲間がかかっているのを見て最初の歓声。その後各班ごとにそれぞれ落ち葉が積もって、生き物が隠れていそうな場所で、石をひっくり返したり、落ち葉をめくったり、土をほじくったりしながら肉眼で観察できる動物を探しました。班によって観られた動物は違いますが、ミミズ、ハサミムシ、ムカデの仲間、甲虫の幼虫、ザトウムシなどが観察できました。そして、ルーペや実体顕微鏡でなければ見えないような動物をあとでじっくり探すために、各班2箇所の土をポリエチレン袋に採取、文化交流広場のテーブルで再集合しました。
文化交流広場のテーブルでは、各班ごとに採取してきた土をふるいにかけ、動き出した小さな動物を割り箸でつまんだり、吸虫管で吸い取ったりして捕まえ、観察しやすいように水を入れた小容器に入れ、実体顕微鏡やルーペでじっくり観察しました。また場所によって生き物の種類や数がどう違っているのかを調べるため、資料を参考に何の仲間かを同定し、点数をつけてみました。
小さい生き物で見つかったのは、トビムシ、カニムシ、ヨコエビ、ワラジムシ、ヒメミミズ、クモ、アリ、シロアリ、ダニなどが見つかりましたが、そのなかでも初めて見たカニムシのサソリのような姿には皆びっくりしていました。
今回のかんさつ会で点数をつけた結果、場所によって違いはあるものの、全体的には井の頭公園は公園の中では比較的自然度が高く保たれているという、我々の感覚を裏付ける結果となりました。そしてこの貴重な自然を永く残して行くことが我々の務めであるとの思いも再確認されました。
今回、子供も楽しそうに生き物を捜してくれましたが、大人の皆さんが子供以上に楽しんで夢中になってくれたことが、主催者のわれわれの大きな喜びとなりました。(佐藤)

第113回井の頭かんさつ会レポート

第113回井の頭かんさつ会

「楽しむ♪野鳥観察会」

日時:平成26年9月27日(土曜日)9:00~11:00
高野 丈(NACS-J自然観察指導員、井の頭バードリサーチ代表)
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
高久 晴子
佐藤 誠(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
田中 雅子(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
日置 日出男(森林インストラクター)
大橋 博資
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
佃 和夫(NACS-J自然観察指導員)

レポート

私が井の頭かんさつ会のメインのリーダーを初めて担当したのが、2005年9月開催の第4回でした。それから10年、かんさつ会は109回開催してきました。今回のテーマは10年前と同じ野鳥観察で、「楽しむ♪野鳥観察会」。10年前の会では、未熟な私は珍しい鳥や目立つ鳥を見つけることを目的や手段にしていました。当日は、1日中サンコウチョウを観察することができて、参加者は大満足でした。結果的には成功でしたし、井の頭公園の自然環境の貴重さを伝えることもできたのですが、今考えればギャンブルのようなものでした。
自然環境を評価するのは珍しい生きものの存在だけではありません。普通種とそれにつながっている生きものを含む生態系と、自然界の仕組みを知ることが大切です。また、珍しい生きものの観察は、見つけてしまえば、そこで満足してしまいがちです。五感を使って観察することで、その生きもののことをもっと深く知ることができます。手に取れない野鳥の場合は、視覚と聴覚しか使えませんので、じっくりと行動を観察することが大切です。「楽しむ♪バードウォッチング」はキジバトでも、ハシブトガラスでも、知っているようでまだまだ知らない生態を発見し、楽しむことを提案するものです。
当日は好天に恵まれました。参加者を4班に分け、探鳥を開始すると、早々にカワセミが現れてくれました。これをスワロフスキーの高性能なフィールドスコープでじっくりと観察することができ、上々のスタートでした。その後も、森ではアオゲラをじっくり観察でき、サクラの木ではモンクロシャチホコを捕食するツツドリを全員がスコープでじっくり観察できました。全体的にはそんなに鳥が豊富というわけでもなかったのですが、ポイントポイントでカギとなる鳥をじっくりと観察できたことに救われました。今回、フィールドへのインパクトと鳥を飛ばさないことに考慮し、各班が離れて行動するように心がけました。各班、観られた種はマチマチでしたが、それぞれ観察を楽しめました。
サクラがあるので、モンクロシャチホコがいて、それがツツドリの渡りを支えているという、生きもののつながりの一つをわかりやすく共有することができました。

(レポート:高野丈)