第210回井の頭かんさつ会 実施レポート

タイトル  樹皮と樹形に見る木の履歴

■実施年月日 2024年2月18日(日)10時~12時

■参加者数  一般参加者 23名(大人 21名、 子供2名)

              井の頭かんさつ会スタッフ 11名

■実施場所:  井の頭公園駅下集合 → ボート池北岸 → お茶の水池北岸→ 梅園

→ 御殿山 → 万助橋付近

■実施レポート:

 冬は落葉樹が葉を落として見通しが良くなるので、樹形を観察するのにぴったりな季節です。今回は樹皮と樹形を観察し、そこからその木の過去を推理するという謎解き企画です。幼児には難しい内容なので、小学生以上を対象としました。

 まずは木の成長の基礎(光を求める、頂芽優勢など)を説明し、木の種類によって成長の仕方が変わるために基本となる樹形が異なることを観察しました。七井橋からはたくさんの木々の樹形が観察できました。樹皮も木の種類によって異なり、ムクノキは縦に剥がれる、ケヤキは鱗状に剥がれる、エノキは像の足のよう、と公園の木々を見分けていきました。

 公園の中の様々に曲がった木を観察しました。池畔で池に倒れ込んだソメイヨシノは倒れた理由の推理や、倒れても反対側から引っ張って支えている説明に参加者は楽しそうで、自分の推理を言う場面もありました。万助橋付近の第一駐車場近くのコナラは幹や枝が複雑に曲がり何度も環境が変わったことが推察されます。近くの木や切り株から昔の環境、駐車場ができる前の環境などを想像して、そのコナラの履歴を参加者と話し合いました。

第209回井の頭かんさつ会 実施レポート

テーマ: 照葉樹からのメッセージ 照葉樹を見分けよう!

■実施年月日 2023年1月28日(日)10時~12時

■参加者数  一般参加者 21名(大人のみ)

■実施場所:井の頭池周辺、第二公園、玉川上水沿い

■実施レポート

今月の観察会のテーマは照葉樹です。照葉樹とはシイやカシ、ツバキなどの葉の表面がテカテカしている常緑の広葉樹です。井の頭公園周辺の自然植生としては照葉樹林となり、本来、非常に身近な樹木ですが、どれも似ていてとっつきにくいので、識別点を理解して、知り合いになるのが目的です。まず、狛江橋の南のエリアで、互生・対生/全縁・鋸歯縁といった樹木の見分け方の基礎を習得して、資料を基に一般的な10種ほどの見分け方を学習しました。街中の樹木も見つつ、第二公園を通って、玉川上水エリアに行き、実際の観察を行いました。幸橋からほたる橋までの区間の玉川上水両岸の照葉樹をつぶさに観察して、分類していきました。「難しい」と言いながら、最初は戸惑っていましたが、多くの参加者は最後には自分自身である程度同定できるようになりました。玉川上水の木々に親しみを持てるようなったようで、ある程度照葉樹からのメッセージが読み解けるようになったと思います。

第208回井の頭かんさつ会実施レポート

生き物たちの冬ごし

実施年月日 2023年12月23日(日)10時~12時

参加者数  一般参加者 19名(大人14 名、子供5名)

実施場所: 井の頭公園駅下集合 →ボート池南岸→狛江橋南岸→第2公園→玉川上水→小鳥の森

実施レポート:
年末の寒い中にも関わらず、親子も含めて多くの人が参加してくれました。今回はボート池尻に集まる冬ガモを観察するため、井の頭公園駅下広場からスタートしました。この時期アキニレに小鳥がいることも多いのですが、当日はいなかったので(全体的に小鳥は少なかった)鳥の冬の食べ物探しの話をしました。ボート池尻でエノキの木の下にカモが群れている様子を観察し、ラクウショウの梢でカワウが繁殖している様を観察して、鳥にとっての冬の意味を考えました。トモエガモを見つけた子供は嬉しそうでした。第2公園では、越冬中の昆虫を探し、小鳥の森南側では越冬中のウラギンシジミを探すといった、参加者が自ら見つけることもできて良かったです。子供よりも大人の方が積極的だったシーンもあり、楽しく進行できました。

実施写真:

参加頂いた永井明子さんが、かんさつした内容を素敵なイラストにしてまとめて下さいました。
永井さんのホームページはこちら http://lovely-garden.no.coocan.jp/

第206回井の頭かんさつ会 実施レポート

テーマ: 木の実・草の実

■実施年月日 2023年10月28日(日)10時~12時

■参加者数  一般参加者 24名(大人18名、子ども6名)

■実施場所:井の頭池周辺、第二公園、御殿山

■実施レポート

秋晴れの日、大人も子どもも井の頭公園の秋の恵みを楽しました。今月の観察会のテーマは木の実・草の実です。その中でも、これらの実の散布方法(種を運ばせる方法)について、観察しました。今回の主役は、どんぐりなど動物に運ばせて埋めてもらって、食べ残しが芽を出す貯食散布種子、動物にくっついて運ばれる「ひっつき虫」と呼ばれる付着散布種子、風に乗って運ばれる風散布種子たちです。参加者は興味津々でドングリを拾い集め、“ひっつき虫”を衣服にくっつけたり、風散布の種子を飛ばしたりして、楽しみながら、自然の不思議を探求しました。特に子どもたちはドングリが大好きで、興奮しながら拾い集め、大人たちはひっつき虫の付着の構造に好奇心を刺激させ、楽しんでいるようでした。
この観察会は自然を身近に感じ、その不思議に触れる貴重な機会となりました。自然界の小さな驚きが、参加者一人ひとりの心に深い印象を残したことでしょう。また、木の実や草の実に触れることによって、何かほっこりする安らぎが伝わってきました。

参加頂いた永井明子さんが、かんさつした内容を素敵なイラストにしてまとめて下さいました。
永井さんのホームページはこちら http://lovely-garden.no.coocan.jp/

第207回井の頭かんさつ会実施レポート

■タイトル 木の葉のカタチ

■実施年月日 2023年11月26日(日)10時~12時

■参加者数  参加者 25名(大人21 名、子供4名)

■実施場所: ボート乗り場前集合 →狛江橋南岸→お茶の水池北岸→御殿山→西園

■実施レポート
事前の天気予報では曇りでしたが、当日はうっすらと霧雨が降る時もある肌寒い朝でした。雨が強くなったら途中で中止することにして、予定通りスタートしました。
 今回は葉の形の意味を考えます。葉の大きさの意味、葉が裂ける意味、針葉樹の葉はなぜ細いのか、諸説あって難しいけれど、実際の葉を観察しながらなぜそんな形をしているのかを考える企画です。でもそれだけでは難しすぎるので、いくつか似た形の葉を見分けることをイベント的に楽しめるように考えました。分類上は大きくちがうのにイイギリとアカメガシワの葉の形が似ていることを観察し、イロハモミジとオオモミジの違いなどを観ました。意外にハナノキとトウカエデが見分けづらいと感じる参加者が多いようでした。またエノキとムクは触れば区別がつくものの、形だけで見分けるのが難しいことも参加者と一緒に発見しました。
 最後に西園のホオノキを観ました。大人にとって木の名前は聞いたことがあっても見た人はすくなかったです。子供にとってはとにかく大きな葉でびっくりして楽しかったようです。

参加頂いた永井明子さんが、かんさつした内容を素敵なイラストにしてまとめて下さいました。
永井さんのホームページはこちら http://lovely-garden.no.coocan.jp/

第205回井の頭かんさつ会実施レポート

「クモ・くも・蜘蛛~クモは面白い!」

■実施年月日: 2023年5年10月1(日)10:00~12:00
■参加者数: 一般参加者 16名(大人13名、子ども3名)
■実施場所: 井の頭公園駅下→ 京王井の頭線高架下 → 公園駅下トイレ → ボート池池尻 → 小鳥の森周辺(解散)

■実施レポート
 どうやらクモ好きの方々ばかりが集まってくださったようです。クモ嫌悪感、クモ恐怖感の克服も観察会の隠れた目的でしたが、その必要はありませんでした。3班に分かれて観察しました。
 今回は開催時期がこれまでより遅く、また草刈りの影響もあり、クモの種数からみると少なめでした。目視ですぐ見つけられるクモは人工物にも棲みつくような都会派のクモがほとんどでした。曇っていたせいか、ハエトリグモが少なくその点はちょっと残念でした。
 今回の観察の中心はクモが糸をどのように利用しているか、どんな網や巣を作っているか?を実際に観察してみることでした。ただ見るだけでなく、音叉振動や生餌など与えたときのクモの反応を観察する、クモの網・巣・卵嚢を実際に触ったり開いたりしてみる、クモの糸の強度を実験で感じるなど、参加者が体感できるような観察会を心掛けました。

<こんなことをしてみました>
・「クモの巣」のイメージとはかけ離れたヒラタグモの受信糸を張った住居、そっとはがして中にいるクモを確認 → 掛け布団と敷布団の間にいるような感じ。
・懐かしいジグモの巣堀り → 壊さないように土の中から抜き出し、中のジグモときれいに内張された袋巣を観察(一つの巣では子グモがいることが観察できました)
・オニグモの古い卵嚢を一部とって観察 → 卵嚢を守るクモの糸の強さを確認、中の子グモの脱皮殻を観察
・メガネヤチグモの網に振動している音叉をふれる → 管状住居から飛び出し、すぐ住居に戻るクモを観察中
・メガネヤチグモを捕まえて上の方から巣に返す → しおり糸を出しているのですっと垂れて帰巣
・オオヒメグモの団居(まどい)の子グモたちをつつく → 「クモの子を散らす」にはなりませんでしたが・・・
・ジョロウグモの網の作りを観察 → 五線譜のように規則的に間隔があいています → よ~く見ると細い別の糸(足場糸)が張られたまま残っています。
・ジョロウグモの網に振動している音叉をふれる → 素早く近づき、噛みつきます。
・ジョロウグモの網(枠糸)にゼムクリップを一つずつ掛けていき、その強度を観察する。

 特に、ジョロウグモの枠糸の強さを、糸にかけられるゼムクリップの数で計ろうという実験は楽しかったようです。いつ糸が切れてしまうのか・・・、クリップを一つ掛けるたびにハラハラしながら盛り上がりました。巣を張っていたクモの体重と糸が切れた時のゼムクリップの重量を比較したところ、約7.2g(500円玉より少し思いくらい)でクモの60倍でした。別の班では用意したクリップ40個全部でも切れない糸の強さでした。また、網はありませんでしたが、最後に美しいクモであるコガタコガネグモを見て終了となりました。
 ※班によって、すべてのプログラムをこなせなかった場合もあります。
 ※これらは観察会のために許可を得て行っています。開いたヒラタグモや掘り返したジグモの巣などのその後も見守っています。むやみにたくさんのクモの巣をいじらないようにお願いします。

<観察したクモ>
オニグモ(垂直円網)、ヒラタグモ(受信糸をもつ住居)、ジグモ(地中性の袋巣と中にいる子グモ)、ネコハグモ(葉上や人工物のボロ網)、ギンメッキゴミグモ(ゴミを付けた円網・頭は上)、オオヒメグモ(不規則網と卵嚢・団居)、アシナガグモ(水平円網)、オオハエトリ(擬木柵上)、メスジロハエトリ(擬木柵上)、ジョロウグモ(馬蹄形円網)、カニグモの仲間(樹幹)、コクサグモ(棚網と管状住居)、チリイソウロウグモ(他のクモの網に居候)、コガタコガネグモ
※班によって、観察したクモには多少の違いがあります。

井の頭線高架下でクモ観察(高架下には灯火があり、虫がくるのでそれらを捕食するクモも多い)
ジグモの巣をそっと掘り出し、クモと袋巣を観察
振動する音叉でジョロウグモの網に触れると真ん中にいたクモが噛みつきに来る
樹皮下に隠れているカニグモ探し
コクサグモの棚網と管状住居を観察

第204回井の頭かんさつ会実施レポート

「ナイトウォッチング

 ~驚きのセミの世界~」

■実施年月日 2023年8月11日(金・祝) 18時30分~20時30分

■参加者数 一般参加者 21名(大人14名、子供7名)

       井の頭かんさつ会スタッフ11名

■実施場所: 井の頭地区公会堂→第二公園→小鳥の森→第二公園  

 今回はセミの羽化に観察対象を絞り、夜の観察会を実施しました。今年は7月からの猛暑でセミの出現が早まり、8/6の下見時も羽化しているセミの数が例年よりも少なく、本番を心配しながら迎えることになりました。また、井の頭かんさつ会としては、かなり久しぶりに室内での座学をしてから公園で観察するというプログラムにしました。

 当日の座学では「セミの一生」をクイズや動画、スタッフ自作の絵本を使って学び、子供も大人も楽しんで学ぶことができました。

 座学の後は3班に分かれて公園に移動し観察をスタート。第二公園では例年たくさんのセミの幼虫達が路上に出てきて自転車などに轢かれて死んでいる現状があります。この現状を参加者の方にも知ってほしくて、第二公園を歩くところから観察をスタートしたのですが、路上を歩く幼虫には遭遇できず轢かれている幼虫が1匹だけいました。

 小鳥の森では井の頭かんさつ会恒例の暗闇体験をしてもらいました。都会での明るい夜しか知らない親子にとっては貴重な体験です。皆さん、暗闇体験を楽しんでいました。また、小鳥の森でも歩いているセミの幼虫やヤモリなど観察できました。

 第二公園に戻りいよいよ羽化観察です。保全班にも協力してもらいながら羽化しているセミをみんなで探しました。アブラゼミ、ミンミンゼミの他にツクツクボウシの羽化も観察できました。各班、羽化しているセミの姿をじっくり観察でき、その姿にみんな感動していました。羽化しているセミが少しずつ殻を脱いでお尻が抜けた瞬間は感動もひとしおです。みんなでセミの羽化を見守りながら感動を共有できました。

今回は座学でセミが羽化するまでにも幾多の試練があることを学んでから観察したので、よりセミのへの理解や羽化観察の感動が深まったのではないかと思います。

座学の様子 セミちゃん登場!「セミはどこに卵を産むのかな?」

子供達もクイズに積極的に答えてくれました。      スタッフ自作「セミくんとコナラさん」の絵本を読みました。

羽化しているセミがいないか探します。夜の公園を探検!子供たちはわくわくです。

タブレットで撮影する子も!時代の変化を感じます。

子供だけでなく大人もセミの羽化する神秘的な姿に目が釘付けになります。

殻からお尻が抜けるまで意外と時間がかかりますが、時間ギリギリ観察できました!みんなで見守って一番感動の瞬間です。

左から羽化したてのアブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシ。神秘的な姿です。

第203回井の頭かんさつ会 実施レポート/

■タイトル 土壌生物観察会 ~土の中の生き物を探してみよう~/

■実施年月日 2023年7月23日(日) 10時~12時

■参加者数 一般参加者 20名(大人13名、子供7名)

       ※申込受付数26名、事前キャンセル2名、当日欠席4名

       井の頭かんさつ会スタッフ1Ⅰ名

■実施場所: ボート乗り場前広場→弁天池南岸トチノキ付近→第二公園→玉川上水付近  

→交流広場

■実施レポート

 梅雨明け直後の猛暑の中、10時きっかりに4年ぶりの土壌生物観察会を3斑体制でスタートしました。2週間雨が降らず乾燥が進んでいましたが、トチノキの周りの落ち葉をめくり、表土を掘るとミミズ、ダンゴムシ、ハサミムシなどが動き回っています。子供たちはこれだけでも大喜び、大人も他になにかいないかじっくり観察しました。何かいそうな場所の土をスコップですくいビニール袋へ投入。あとで交流広場のテーブルでじっくり観察することにしました。

 同じように第二公園のトイレの裏付近や玉川上水緑道に近い樹林の中などでもその場所での観察と、土壌の採取を行い、11時頃に交流広場のテーブルに到着。

 班ごとに採取した土をふるいにかけると、大きな生き物はふるいの上に残り、小さな生き物はふるいの下に落ちます。小さな生き物はルーペや実体顕微鏡でじっくりと観察しました。

終了の少し前にある班で珍しい「カニムシ」が見つかったとの声が上がったため、興味のある人全員が交代で実体顕微鏡を覗き、その姿にびっくりしたところで終了となりました。

見つかった生き物は、ジムカデ、コムカデ、ヤスデ、ヨコエビ、ミミズ、ハサミムシ、ゾウムシ、ゴミムシ、カメムシ、カニムシ、ワラジムシ、ヒメミミズ、クモの仲間、アリ、トビムシ、ダンゴムシなど。

参加者全員最後まで楽しくかんさつできた一日でした。

第202回井の頭かんさつ会 実施レポート

「シダを楽しむ~シダ入門」

■実施年月日:    令和5年6月18(日)10:00~12:00
■参加者数:    一般参加者 24名(大人23名、子ども1名)
■実施場所:  井の頭公園駅下→ (神田川沿いに)夕焼橋 → (折り返して) → ボート池南岸 →
       弁天様向かい石垣→野草園→弁天池池畔(解散)

■実施レポート
 井の頭公園には29種のシダ植物があるそうです(最近の調査会社の調査による)。今回はその中の特徴的なシダと見分け易いシダ約20種を観察しました。
 観察会の目的はシダの精密な同定をすることではなく、シダという「美しい」植物が都市公園にも沢山あり、それらをもっと身近に感じ、楽しむことです。いわゆる「きれいな花」はつけず、人の目を引くことの少ない植物ですが、恐竜時代以前に出現し、長い進化の歴史を経て今日の生態系の一員として生きていることや、井の頭公園の生物多様性なども併せて感じていただければと企画しました。
 シダの全体の形、色合い、羽片のつき方や切れ込みなどを観ると、その特徴から大まかなグループがわかることが多く、中には「こんな形のシダは○○一種しかない」、「このような形の小羽片を持つシダは○○の仲間」というものもあります。今回もそういったシダが5~6種類くらいあり、まずこれを覚えると、「シダはどれを見ても同じに見える」から、ちょっと抜け出せると思います。
 さらに形を目で楽しむだけでなく、「触ってみる」ことにより、シダの葉にも、硬い・柔らかい、カサカサ、ふわふわ・・・など、いろいろな違いがあることを感じ、その感触も楽しみました。また、被子植物(いわゆる花が咲く植物らしい植物)と何が違うのか、どのような生活史を持っているのかなども少し紹介しました。
 被子植物と違う大きな点は、種子ではなく胞子を作ることです。それぞれが特徴的なソーラス(胞子嚢群)を持ち、そのいろいろなソーラスを観察するのも楽しみのひとつです。違うタイプのソーラスを、ルーペや実体顕微鏡で観察しました: 包膜が奇麗な赤色のベニシダ、浅いコップ状のイヌシダ、包膜のないノキシノブ、葉の縁が巻き上がって偽包膜となりその中に胞子があるイノモトソウ等々。
 またシダには山菜として昔から食されている身近なものがありますが、「これがゼンマイ!?」と参加者からあったように、大きくなった姿は意外と知られていないようです。因みに、井の頭公園には山菜となるシダはないようです(前述のゼンマイは某宅の植栽です)。

 今回の観察会では以下のようなシダの観察を楽しみました。
           小葉類:         イヌカタヒバ
           大葉類:         イヌワラビ、トラノオシダ、イノモトソウ、オクマワラビ、カニクサ、
                                  コバノヒノキシダ、ベニシダ(類)、イノデ(類)、ゼンマイ、
                                  リョウメンシダ、ミドリヒメワラビ、ノキシノブ、タチシノブ、
                                  イヌシダ、ゲジゲジシダ、オオバイノモトソウ、シケシダ、ホシダ

神田川夕焼橋の下におりて、石垣の小形シダを観察
(コバノヒノキシダ)
植栽の中にはリョウメンシダ
野草園の草むらにはシケシダ
樹幹にはたくさんのノキシノブ
園芸種として植えられたものかもしれませんが、
小葉類(イヌカタヒバと思われる)があるので、観察
弁天向かいの石垣にはイヌシダ。ふわふわの手触りを感じましょう

第201回井の頭かんさつ会 実施レポート

玉川上水 擬木柵の生き物

■実施年月日 2023 年 5月 6日( 土 10 時 12 時
■参加者数 一般参加者 21 名(大人 16 名、子供 5 名)
■実施場所: ボート乗り場前集合 玉川上水(幸橋〜万助橋) 班ごとに解散
■実施レポート
今回は 当会初のテーマ「玉川上水 擬木柵の生き物」で、擬木柵で見られる生き物 視点で 玉川
上水樹林の生態系を考えることに挑戦しました。参加者にとって生態系という奥が深いテーマで
あるだけでなく、何が見られるかは当日にならないと分からなく、しかも多種多様な生き物で昆
虫の目( もく;チョウ・ハチ・ハエなどの分類グループの単位 )さえ分からない生き物もいると
いう、案内する側にとっての難易度が高いテーマでした。
ボート乗り場前に集合してすぐに玉川上水に向かいました。 擬木柵の上には様々な生き物が見
られます、昆虫・クモ・爬虫類・巻貝(カタツムリ)、それらを観察して、何をしているのか、
何を食べているのか、どう してここ(擬木柵)で見られるのかを考えます。イモムシは頭上の木
から落ちて来たのか?クモはそのイモムシを捕まえるために待っているのか?そんなことを考え
ます。 オトシブミが葉を巻いてその中に卵を産む、ハマキガ幼虫が木の葉巻いて巣を作る、アリ
が弱った昆虫を襲って食べる様子も観察しました。 擬木柵は玉川上水樹林の生態系が観察しやす
い場所になっているのです。
参加者の子供だけでなく、大人にとっても、普段気づかない小さな生き物を沢山みて生態系の
深さを感じることはとても刺激的だったようで、沢山の質問を受け、一緒に生き物の生態を考え
ました。


また、今回も参加いただいた永井明子さんが、観察した内容を素敵なイラストにしてまとめて下さいました。

永井さんのホームページはこちら  http://lovely-garden.no.coocan.jp/