第143回井の頭かんさつ会レポート

第143回井の頭かんさつ会

■タイトル  春の生き物

■実施年月日 2017年3月26日(日)10:00~11:30

■参加者数  一般参加者 15名(大人11名、子ども4名)
       案内人 井の頭かんさつ会スタッフ11名

■ 実施場所  井の頭地区公会堂(降雨のため屋内で行いました)

■実施レポート (作成:第143回企画担当 佐藤 誠)
 数日前からかんさつ会当日の天候があまり良くないという予報がでており、前日には「明日は雨」の予報確率が急上昇、担当のスタッフは前日土曜日に大慌てで「雨プロ」と称する雨天用のプログラム作成をしました、
 やはり当日は朝から小降りながら冷たい雨がふり、公園内での観察はあきらめ公会堂での雨プロに切り替えました。まず、メンバーの一人が、回る予定だったコースで前日に撮った写真を使って今咲いている花を順に説明、その後他のメンバーの一人が、過去の今の時期に公園で観察された昆虫の写真(別のメンバーのブログから引用)を使って今の時期にみられる昆虫の説明を行いました。
 続いて朝公園で採取したアブラムシ2種(マメクロアブラムシ、ソラマメヒゲナガアブラムシ)
を4台の実体顕微鏡でグループに分かれ詳しく観察しました。最初は「気持ち悪い」と言っていた参加者も、小さい緑の虫が動くところを見て思わず「かわいい」と声を出したり、熱心にスケッチをしたり大いに盛り上がりました。
 最後に質疑応答の時間を設け通常より30分早い11時30分に終了しました。
 
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 雨のため屋外での観察はできませんでしたが、悪天候にもかかわらず参加してくださった参加者の方々の熱意を非常に感じました。またアブラムシの実体顕微鏡による観察は子供から大人まで日常では経験できないことから非常に盛り上がり、企画した自分も大変驚きました。
 今回気になったのは下見をしていた時に例年に較べ昆虫の種類が少ないということでした。最近公園では樹木の剪定や下草の刈り取りなど管理が行き届き昆虫が越冬する場所が少なくなったのも一因ではとちょっと心配になりました。
 もちろんたくさんの方々が利用する公園なので管理は非常に重要なことは十分理解していますが公園管理者には、できるだけ自然の姿を残し、多くの種が生きていける環境を残していただきたいと思います。
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第142回井の頭かんさつ会レポート

第142回井の頭かんさつ会レポート
「春を待つ木々の冬芽」
日時: 2017年2月26日(日曜日)午前10:00~12:00
主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内
佐藤 誠 (NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
村上 健太(NACS-J自然観察指導員)
小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
日置 日出男(森林インストラクター)
大橋 博資
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
高久 晴子
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
中村 芳生(NACS-J自然観察指導員)

レポート

インフルエンザ渦の影響か直前のキャンセルが15名と多くスタッフ人数に対して参加者が少なかったですが、少数でじっくり観察できる会になりました。寒さが少し緩んだ2月の下旬、木々が春の準備を始めています。そろそろ芽ぶく木々の芽を観察します。  冬芽の観察では「裸芽」「芽輪痕」など専門用語を使いがちです。案内人ではできるだけやさしく言い換えるように心がけますが、基礎的な事柄を知っておいていただいた方が観察しやすいため、最初に図を用いた配布資料で用語解説をしました。  基礎講座を終えた後、まずは手始めにボート乗り場前の植え込みでハナミズキを観察しました。葉が出る芽と花が出る芽の違いを重点的に見ることで、冬芽を観る目を養います。弁天池南側の斜面ではトチの芽を見ました。大きな芽でベタベタしています。参加者から「何のためにベトベトしているのですか」との質問があり、知らない事柄だったので、参加者と一緒に考えました。日本庭園近くのアジサイでは、芽が「冠を被った王子様」のように見えることから、よりそのように見える芽を参加者と探しました。  その後様々な木の芽を見ていくうちに参加者の目が慣れてきたのか、「これは人の顔に見える」「この芽可愛い」など感想を言うようになってきました。芽を擬人化して見るということは、気持ちが深く入っていることだと思い、嬉しかったです。ニセアカシア(ハリエンジュ)では葉痕に隠れている芽の(陰芽)の話をするよりも、悪魔の顔のように見えることを楽しんでもらいました。  今回気をつけたのはできるだけ興味が長続きするようなきっかけをつくることです。例えばアジサイやハナミズキなど、自宅近くや街路樹で多く見られる樹種を重点的に観察することで、かんさつ会の後でも生活の中で観察を続けられるようしました。またガマズミなど動物や人の顔に見えるもので何に見えるかと問うことで、興味関心を引こうとしました。参加者がこのかんさつ会を通じて身近な植物にも興味を持ってくれることを期待したいです(村上健太)。

第140回井の頭かんさつ会レポート

第140回井の頭かんさつ会レポート

■タイトル  土に暮らす生き物 ~土壌生物を探そう~

■実施年月日 2016年12月18日(日)10:00~12:00
■参加者数  一般参加者 26名(大人17名、子ども9名)         
       案内人 井の頭かんさつ会スタッフ10名
■ 実施場所  ボート乗り場前(集合)→弁天池南岸→御殿山→小鳥の森→第二公園
     →井の頭地区公会堂(解散)

■実施レポート(作成:第140回企画担当 村上 健太)
 木々の葉が落ちて昆虫の姿を見ることが少なくなる12月ですが、落ち葉の下、土の中には昆虫やクモやトビムシなど様々な種類の生き物が暮らしています。これらの土壌動物は生態系の中で重要な役割を担っているにも関わらず、普段気にかけることが少ない存在です。今回はそんな陰の功労者である土壌動物を探す観察会を行いました。
 ボート乗り場前に集合した参加者に「ダンゴムシとミミズに触ったことがあるか」と聞くと、全員が触ったことはあるようでしたが、それ以外の動物を知らないようでした。まず狛江橋南側のトチ大木付近の落ち葉をめくって土壌動物を探します。子供はもちろん、大人も童心に帰って落ち葉をかき分け、土を掘ります。落ち葉はたくさんおちているけれど、意外に生き物は少なかったです。
 続いて弁天池南側トイレ付近の土を掘ります。普段は人が足を踏み入れないので、土が軟らかく、小石混じりの土なのにハサミムシやトビムシが次々と見つかり、子供達が大喜びで茂みに入って柔らかい土を探しました。また石をひっくり返して虫を探しました。
 玉川上水と小鳥の森の間の地点と第二公園トイレ裏の雑木林でも土を採取し、井の頭地区公会堂へ移動しました。
 井の頭地区公会堂では、パソコンとプロジェクターを使って土壌動物の大まかな種類と生態系の中での役割(特に分解者として重要)を話した後で、テーブルの上で採取した土を丹念に調べました。一見生き物がいないように思える土でも、目を凝らして土を探すと小さなムカデやヨコエビがたくさん見つかります。これらを交代で顕微鏡を使って観察しました。詳しい種類の同定までは行いませんでしたが、土の中に意外にたくさんの生き物(動物)がいることを、楽しく体験してもらえたのではないかと思います。
 
※土を掘った場所は埋めもどし、掘り出した土は元の場所に戻しました。また通常は公園の土を掘り返してはいけない旨、参加者に告知しました。

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子供の参加者の感想として、「久しぶりに土をいじったけれど、たくさんの虫がいることに驚いた」ということが、企画者としてうれしかったです。土に触れることは自然に触れることの始まりですが、今の子供には体験が減ってきていると思います。こうした体験を通じて、生き物の多様性を感じて、多様性を守っていく気持ちを伝えられたら良いと思います。
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第139回井の頭かんさつ会レポート

第139回井の頭かんさつ会 

タイトル 葉っぱの色葉(イロハ) ~落ち葉のアルバム作り~

■実施年月日  2016年11月27日(日)10:00~12:00

■参加者数  一般参加者 42名(大人30名、子ども12名)

スタッフ数 10名

■実施場所: ボート乗り場前(集合)→井の頭池北岸 →分園西側入口前 →御殿山雑木林 →西園グランド

■実施レポート(作成:第139回企画担当 小町 友則)

今回の井の頭かんさつ会は落ち葉をテーマにして、葉っぱのイロハ(基本)を理解してもらえるような内容で企画しました。

週間予報から雨マークが消えず、当日も朝のうち雨がぱらつくこともありましたが、開始時には薄日も差し、気温も上がり、むしろ快適な気候でした。心配していた落ち葉もほとんど濡れてなく、かんさつ会の進行には全く問題がありませんでした。

参加者のミッションは、予め用意したイラストと同じ落ち葉を拾い、じっくりと観察し、ポケットアルバムに収め、落ち葉のフィールド図鑑を作っていくことです。設定した樹種は、ソメイヨシ、ケヤキ、ムクノキ、エノキ、アキニレ、イロハモミジ、カジカエデ、ハナノキ、イタヤカエデ、トウカエデ、コナラ、ピンオーク、アカシデ、イヌシデ、コブシ、カツラ、ミズキ、イチョウの18種としました。

4班に分かれて参加者をご案内しました。リーダーが葉っぱの役目や紅葉の仕組みなど基本的な説明を行い、葉っぱの特徴を一種ずつ丁寧に解説し、参加者はそのヒントで落ち葉を見分けて拾います。人間の採集本能をくすぐるのか、大人も子どもも落ち葉収集に夢中になっていました。

落ち葉にも個性があり、見た目の色・形だけでなく、鋸歯の形、葉脈の入り方、透かして見た時の色合い、質感、ザラザラやフワフワの感触、匂いなど、それぞれの葉っぱの特徴が分かると親しみが感じられます。参加者にもそれが次第に伝わったようで、落ち葉の個性を楽しみながら、アルバム作りを行いました。

途中、七井橋や弁天橋の上から岸を眺めると、見事な紅葉が見られました。葉っぱをじっくりと観察することと、遠目で見た時の感じを結びつけてもらいました。

最後に西園のグランドで振り返りとして、18種の復習を行い、見事に全問正解。友達が増えた感覚です。じっくりと自然を観察することの面白さ、大切さが十分に伝わったと思います。

 

 

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今回の井の頭かんさつ会は公園の自然を楽しんでもらうことが大きな目的の1つでした。そういった中で、今回のように自分で楽しみながら葉を集めて観察することは、自然が好きになるきっかけとなったと思います。また、多くの樹種の葉っぱが拾える井の頭公園の環境はとても大切です。落ち葉も分解されて土壌になることから、生物の多様性を維持する重要な要素の1つです。必要以上に掃き過ぎないことも大事だと思います。

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第138回井の頭かんさつ会レポート

第138回井の頭かんさつ会

タイトル 実りの秋〜木の実 草の実いろいろ〜

■実施年月日 2016年10月9日(日)10:00~12:00

■参加者数  一般参加者 17名(大人11名、子ども6名)

案内人 井の頭かんさつ会スタッフ9名

■実施場所: ボート乗り場前(集合)→井の頭地区公会堂(実施および解散)

■実施レポート (作成:第138回企画担当 村上 健太)

秋雨前線の通過による雨が朝から降り始め三鷹市に雷注意報が出たため、室内でのスライドや事前に用意した木の実草の実を観察する屋内プログラムに変更しましたが、荒天などによるキャンセルが相次ぎ、参加者は申し込みの半分以下の17名となりました。

しかしながら、この17名の意欲は高かったです。最初の40分ぐらいは木の実の画像スライドや動画を用いて、井の頭公園の木の実草の実を説明しました。その後調理・アク抜き加工をしておいたカヤの実、マテバシイのクッキー、スダジイなどを希望者に食べていただきました。(ナッツアレルギーの他、クッキーの乳・卵・小麦粉アレルギーの注意喚起を行いました。小麦アレルギーのお子さん一人は食べなかったです。また手の消毒のため、アルコール除菌ティッシュを用意しました)

その後、様々な木の実草の実を4つのテーブルで観察しました。トチの木はアク抜きすれば栃餅などに加工して食べられるが、生での食用には向かないと説明すると、「せっかくなので食べてみたい」という参加者が多かったので、ほんの少しずつ食べてアクの強さを体感して頂きました。またガマズミやムクなど食べられるものは食べてみたいと意欲的な参加者が多く、自己責任の上食べていただきました。(事前にガマズミなど食べられる実とヨウシュヤマゴボウなど有毒な実について説明しました)

参加者は食べる以外でもイロハカエデの実が回転しながら落ちる様や、イイギリの実には多くの種が入っていること、ヤブランの実が思ったほど弾まないなど、実際に実を触ったり分解したり、投げてみたりと、様々な角度から実に接して楽しんでいました。

 

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雨だったので、実際に実がなっているところは観察できませんでしたが、逆に腰をおちつけてじっくりと種の様子を観察できました。参加者の一人が「屋内での観察は集中できることが良いですね」と言っていたことが嬉しかったです。ただ見る・観察するだけでなく、割ってみたり、つぶしてみたり、匂いを嗅いでみたり、食べてみたりと自然に対して五感を使って接することができたので、参加者の皆さんの自然体験の幅が広がったのではないかと思い、もっと自然や井の頭公園を好きになってくれることを期待したいです。(ただし通常は公園での植物採取は禁止であると事前にお伝えしています)

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第137回井の頭かんさつ会レポート

第137回井の頭かんさつ会

■タイトル:「クモ―その神秘な世界をのぞく―」

■実施年月日: 2016年9月17日(土)10:00~12:00

■参加者数  一般参加者 16名(大人12名、子ども4名)

案内人 井の頭かんさつ会スタッフ10名

■実施場所: ボート乗り場前(集合)→ 弁天池北岸 →お茶の水手前

→御殿山 →玉川上水 → 小鳥の森(解散)

■実施レポート (作成:第137回企画担当 佃 和夫)

今回は2度目、2年ぶりのクモをテーマの観察会でした。都合で2班だけの編成にせざるを得なくて普段よりは少なめ、参加者は3名の欠席者を除き16名でした。

幸い好天に恵まれ、様々なクモに出会えました。まずオープニングでクモの体や雌雄の見分け、網の様々など観察に必要な基本事項をごく短時間で解説してから出発しました。

ギンメッキゴミグモの銀色に輝く背中(腹部)と精巧で美しい円網に目を見張る参加者が多かったです。網のいろいろなタイプすなわち縦の正常円網、水平円網、一見でたらめのようで、実は巧妙な仕掛けの不規則網、ヒラタグモの受信アンテナつき網のなどを見ていただきました。観察のかたわら誤解されることが多い。本当のクモの生態を解説し、クモが農業益虫としても活躍していること、なども実物を見ながらおはなししました。

観察できたクモのうち主なものは、ジョロウグモ、

ズグロオニグモ、ギンメッキゴミグモ、

アシナガグモ、シロカネグモsp、ヨツテゴミグモ、

コガタコガネグモ、

ウズグモ(以上は円網を張るクモ)、チリイソウロウグモ、シロカネイソウロウグモ(以上は円網に居候)、ヒメグモ、オオヒメグモ、クサグモ、コクサグモ、(以上は不規則網や棚網)ジグモ、キシノウエトタテグモ(以上は地中性のクモ)受信糸網のヒラタグモ、条網を使うオナガグモおよび徘徊性のハエトリグモの仲間も数種類やササグモも見ることができました。

クモというと普段は何となく遠ざけていたり、嫌っている人が多いようです。しかし何人もの参加者が目から鱗で誤解が解けたと述べられ、この観察会によってクモのよき理解者になって頂けたことと思います。そしてクモの巣はクモが蚊やハエを捕らえてくれる道具であり、それがあることは「だらしないこと」や「汚れ」の象徴ではなく風景の一つと理解いただけたと思います。

 

 

 

第136回井の頭かんさつ会レポート

第136回井の頭かんさつ会レポート

「植物と動物の夜の不思議」

日時:2016年8月13日(土)18:30~20:30

主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所
案内
村上 健太(NACS-J自然観察指導員)
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
高久 晴子
日置 日出男(森林インストラクター)
上村 肇
佃 和夫(NACS-J自然観察指導員)
中村 芳生(NACS-J自然観察指導員)

参加者57名(大人31名、子供26名)

レポート

8月恒例の夜の観察会は今年も大人気です。総勢68名の大集団となりました。これを4つの班に分けて、班ごとに違う色のライトリング(発光する腕輪)をつけて出発です。(ライトリングは7歳以上対象の商品のため、未就学のお子さんには夜光塗料のシールを貼った首かけ飾りをお渡ししました。)
ボート乗り場からスタートして七井橋に移るとじきに暗くなり(当日の東京の日没は18:33)、ハトがねぐらに帰る一方で夜行性のゴイサギが活動を始めるという、鳥の交代劇が見られました。参加者からは「昼間いるカモはどこで寝ているの」と突っ込んだ質問がでるなど、関心の高さを感じました。
足下の橋の欄干ではズグロオニグモが網を張って獲物を待ちます。昼間に一定の区画の網を取り除いておいたので、網を張る途中のクモや張りたての網を見ることができました。張りたての網は綺麗な円形で、その美しさに参加者は感心していました。
1週間前の下見では、水面をライトで照らすとミジンコなどのプランクトンが集まり、それに引かれてモツゴなど魚も集まったので本番でもやってみましたが、思うように集まりませんでした。その理由は水温?水の透明度?正解はわかりませんが、参加者と一緒に考えて生き物の不思議を実感できました。
暗くなるとアブラコウモリが飛び回り始める時刻です。コウモリを初めて見たという参加者や、見てはいたけれど蛾だと思っていた方もいて、今回の観察を通じて夜の生き物に対する体験が広がって良かったと思います。
夜に花が咲くカラスウリは注目の観察対象ですが、他の木々を覆ってしまう雑草です。公園事務所に今回の観察会のためにカラスウリを除草しないでいて頂いたため、きれいな花を観察できました。レースのような繊細で美しい花を初めて見たという大人の参加者も多く、「普段通っている道なのに全然気づかないけれど、改めて観察するといろんな生き物がいることが分かった」と嬉しい感想を聞くことができました。
カタバミの就眠運動といった、昼夜で変化する植物も観察しました。
観察最後の山場は御殿山や第二公園でセミの羽化観察です。今年は例年より実施時期が遅かったからか羽化するセミの数が少なかったですが、それでも羽化のために木に登るもの、上半身だけが出て来たもの、翅を伸ばし途中のものなど何匹も見つかり、それぞれの班がじっくりと観察できました。羽化のための木に向かう幼虫に対して参加者のお子さんが声援を送る姿は微笑ましいものでした。御殿山でも第二公演でも特定の木で多く羽化が行われるようで、それはなぜかという疑問も出てみんなで理由を考えました。
御殿山から第二公園に移動する途中の玉川上水では、ライトを消して暗がりを体験しました。街灯に照らされた夜しか知らない子供たちは、最初怖々でも大人の手を握って歩きました。生き物ではないですが、子供にとって暗がりを体験する良い機会になったと思います。
今回の参加者は小さなお子さんが多く、夜の井の頭公園に初めて来た子が多かったように思います。子供にとって、昼と夜の環境が違うこと、昼とは生き物がいることをまず体験してもらえたことが良かったです。大人の方で普段から夜の公園を通っている人でも夜に自然観察をしたことがある人は少なく、カラスウリやコウモリを初めてみたという声が聞かれ、参加者の自然体験の幅が広がったことを嬉しく思います。

(村上)

 

第135回井の頭かんさつ会レポート

135回井の頭かんさつ会

■テーマ:かいぼり後の井の頭池 ~どう変わったか~
■実施日時:2016年7月24日(日曜日)10時~12時
■参加人員:大人29名 子供11名

スタッフ15名(かんさつ会班10名、保全班5名)

■場所:井の頭池(お茶の水池・ボート池・ひょうたん池)
(作成:第135回企画担当 村上 健太)
 2度目のかいぼりを経て5ヶ月経過する井の頭池では、その間にイトモの群落が見られたりカイツブリやカルガモ・バンといった水鳥が営巣・繁殖するなど目立った変化が顕著でした。
かいぼりの基本を踏まえてその効果を見るだけで無く、体験して頂くことをテーマに今回のかんさつ会は企画しました。そのため池の中に何がどれだけいるのかを網やワナを使って捕獲することに時間を割きました。
ボート池の北岸ではお魚キラーに練り餌を入れて数分たつと、大小様々なモツゴが十数匹捕れました。
またひょうたん池に前日から準備した張り網にはさらに多くのモツゴ・スジエビ等が入っており、参加者の皆様も感嘆の声を上げていました。この日に捕獲されたモツゴの総数は380匹以上でした。
但し、喜んでばかりは居られません。張り網には60匹ものブルーギルの稚魚が入っており、外来魚との
戦いがこれからまた本格化することを意識せざるを得ませんでした。
またイノカシラフラスコモについても参加者の関心は高く、写真を使った解説でも改めてその復活に驚き喜ぶ方や今後の維持管理を心配される方等がいらっしゃいました。
かいぼりによって井の頭池が良い方向に向かっているのは理解頂けたと思いますが、一朝一夕には理想型にはならないこともまた充分判って頂けたと思います。
今後の池の変化をよく見て次回のかいぼりに活かしてていくことが大事ですので、興味を持ち続けて下さいと最後にお願いしました。

第134回井の頭かんさつ会レポート

第134回井の頭かんさつ会

テーマ:変形菌 ふしぎな生きもの

■開催日時:2016年6月26日(日)9:00~11:30

■参加者数:一般参加者 31人(大人23人、子ども8人)

スタッフ 11人(外部協力者2人を含む)

 

■場所:自然文化園分園前~弁天池畔~井の頭地区公会堂~井の頭第二公園~小鳥の森

 

■実施内容:(作成:第134回企画担当 高野 丈)

変形菌類の観察と入門講座を実施しました。

最初に弁天池畔で観察し、ウツボホコリ、シロウツボホコリ、クモノスホコリ、シロエノカタホコリを観察するグループと、ツツサカズキホコリが群生しているのを観察するグループに分かれ、ローテーションしました。最初に実物に触れておくことで、そのスケールの小ささや、野外でどんな感じで出ているかを実感してもらいました。

井の頭地区公会堂へ移動し、パワーポイントを使って、変形菌はどういう生物かをレクチャーしました。「菌」とついても、菌類や細菌とは分類も生活史もまったく異なる生きものだということがポイントでした。

レクチャー後、第二公園へ移動し、観察を実践しました。落ち葉がたまっている個所を中心に探し、参加者自身で見つける楽しさを体験してもらいました。シロエノカタホコリ、ガマグチフクロホコリ、キミミズフクロホコリ、ホネホコリ、バークレイホネホコリ、シロジクキモジホコリや種不明の変形体が次々に見つかり、参加者は一様に喜んでいました。

後半は小鳥の森で観察。ヒメカタホコリ、コシロジクキモジホコリ、褐色のサカズキホコリ、外部協力者でもすぐに同定できない不明種などが追加で見つかり、虹色の光沢がある人気種、ジクホコリを最後に観察して終了時間を迎えました。

本企画では、ふしぎな生きものである変形菌が身近にたくさんいることを知ってもらい、自身で発見する喜びを体験してもらうことがねらいでしたが、実践できたと思います。また、色形がおもしろく、小さいので非日常に感じるかもしれないが、変形菌を観察することは決してマニアックな趣味ではなく、生態系の中で分解者を捕食してバランスをとっている重要な役割のある生きものを知るこということをお伝えしました。楽しみながら、生態系を実感する。それが実践できたと考えています。

第132回井の頭かんさつ会レポート

第132回井の頭かんさつ会

タイトル 春色観察会 ~春のお花観(はなみ)~

■実施年月日 2016年4月17日(日)10:00~12:00

■参加者数  一般参加者 34名(大人30名、子ども4名)

■実施場所: ボート乗り場前(集合)→井の頭池北岸 →野草園 →井の頭地区公会堂

■実施レポート(作成:第132回企画担当 小町 友則)

春恒例の花を愛でる観察会ですが、今年は天候に祟られ、開始直前からパラパラと大粒の雨が降ってきました。また、風が強く、落枝による事故も心配されるため、安全に配慮して、室内での雨天プログラムを実施することにしました。ただ、雨がひどくない内に池の西半分を周り、春の色を観察しながら井の頭地区公会堂へ向かうことにしました。

 

この時期の井の頭公園は、ハナミズキ、ツツジ、ヤマブキなどの樹木の花、イチリンソウ、ニリンソウ、イカリソウなどの野草園の草花、ハルジオンやハルノノゲシといった雑草の花など多くの花が咲き誇っており、予定したルート上だけで、約50種の花が咲いています。今回のテーマは春の色です。花も色とりどりですが、それに加えて、この時期は何と言っても新緑の緑です。新緑に多様な色があることを見て頂き、日本の伝統色と合わせて話をしました。また、春の芽出しには、紫外線から植物を守るため、赤い色の葉や芽がみられます。そういった様々な色を足早に眺めながら、井の頭地区公会堂へ向かいました。

 

室内プログラムの第一部は、この時期に見られる約50種の花について、一つ一つ写真で見て、解説を行いながら、白い花、黄色い花、赤またはピンク色の花、青または紫色の花、その他の色の花の5種類に分け、何色の花が多いか、調査をしてみました。一番多かったのが、白の花で16種ありました。その次が黄色の12種、赤またはピンクと青または紫色は8種程度でした。

 

室内プログラムの第二部は、人間の目では識別できない紫外の領域で数多くの花を撮影した写真を可視光の写真と対比させて見て頂きました。黄色い花の多くが、紫外でコントラストが強いことが分かりました。

 

室内プログラムの最後は、予め採取した花をグループ単位でじっくりと観察し、花のしくみや虫との関係などを考えてみました。

 

 

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今回は雨天プログラムを実施しましたが、短時間とはいえ、外で花を観察し、その後、講義で詳しく解説し、手に取って理解することは、非常に分かりやすかったと、参加者からコメントを頂きました。

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