第147回井の頭かんさつ会レポート

第147回井の頭かんさつ会 

タイトル 夏の樹木

■実施年月日 2017年7月22日(土)10:00~12:00

■参加者数  一般参加者 25名(大人21名、子ども4名)

案内スタッフ 11名

■実施場所  ボート乗り場前(集合)→七井橋を渡り池北岸から池の周りをまわる→ ひょうたん池手前で解散

■実施レポート (作成:第147回企画担当 日置 日出夫)

井の頭池の周りには、グリーンアドベンチャーという案内板の付いた50種の樹木があります。井の頭公園に生育している主な樹木が網羅されているということだと思います。

今回のかんさつ会では、その50種の樹木を中心に観察をし、そこから樹木の種類・特徴などを見つけ出し、樹木の名前の同定の方法、ポイントなどを学んでいくことを狙いとした観察を行いました。

観察の主なものとして、樹形(大きさ・形・枝の付き方など)・樹皮・葉(形・大きさ・厚さ・手触り・香りなど)・生えている場所など様々な方向から樹木を、五感を使って観察しました。

樹皮が特徴的だったり、葉に特徴があったり、樹木によってもポイントとなるところが違います。一本一本何を中心に見たら他の木との違いが分かるのかを観察し、そこから樹木の種類・名前を見つけ出していきました。

3班に分かれた参加者の皆さんの熱心な観察と質問などにより、時間が足りなくなってしまい、50種類すべての樹木の観察は出来ませんでしたが、同じように見える樹木でもこんな見方があるのだ、という発見の多かった観察を楽しみました。

第146回井の頭かんさつ会レポート

第146回井の頭かんさつ会 

タイトル 変形菌 ふしぎな生きもの

■実施年月日:2017年6月25日(日)10:00~12:00

■参加者数 :一般参加者 25名(大人20名、子ども5名)

案内人 井の頭かんさつ会スタッフ11名

  • 実施場所: ボート乗り場前(集合)→井の頭弁財天周辺→井の頭地区公会堂(解散)

■実施レポート(作成:第 146回企画担当 高野 丈)

変形菌観察には難しい雨がちな空模様でしたが、開催時間中は雨があがってくれました。フィールドは湿っていましたが、弁財天周辺ではコカタホコリ、シロジクモジホコリ、ハイイロフクロホコリの3種を確認できました。参加者のみなさまには、変形体の這い跡から子実体を探す方法をお伝えしました。野外で探した後は、屋内講座。変形菌とはなにかを一からご説明しました。その後、私の写真作品を紹介し、20種ほど選んできた標本の観察をしていただきながら質疑応答して会を終えました。

 

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変形菌をテーマに開催するのは今回で3回目ですが、毎回募集して2、3日で満員になるほどの人気ぶりです。不思議な生態をもつこと、色形が美しいことなど、あまり情報がないことが人気の秘密だと思います。異質な生きものだと思われがちですが、生態系の一員としてなくてはならない存在ですので、観察会ではそのことをしっかりとお伝えしました。

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第145回井の頭かんさつ会レポート

第145回井の頭かんさつ会 

タイトル  水辺の生き物

■実施年月日 2017年5月21日(日)10:00~12:00

■参加者数  一般参加者 28名(大人20名、子ども8名)

案内人 井の頭かんさつ会スタッフ12名

進行サポート 井の頭かんさつ会保全班 5名

  • 実施場所  ボート乗り場前(集合)→七井橋→お茶の水池北岸→ボート池北岸
  • →ひょうたん池(解散)

■実施レポート (作成:第145回企画担当 村上 健太)

2度のかいぼりの後、井の頭池の生態系は在来種の増加や水草の復活など大幅に改善しています。一方でブルーギルの存在やザリガニ増加など対応すべき課題もあります。今年の冬に実施予定の3度目のかいぼりを前に、現状での池の生態系を様々な生き物のつながりとして観察してもらおうと企画しました。

先ずは生態系を下支えする、生態系のピラミッドの底辺にあたるプランクトンを見てもらいました。前日夜に採取したプランクトン(肉眼で見えるものはミジンコなど)を瓶に入れたものを参加者に回し、プランクトン写真のパネルを使って説明しました。瓶の中には何かの仔魚も見られ、子供も大人も興味深げに覗き込みました。

七井橋からは魚(ウキゴリ)の魚影が観られた他、カイツブリの狩りも観察しました。かいぼり前は餌となる在来種の小魚が少なかったけれど、それらが増えたのでカイツブリが子育てできる池になって生態系が豊かになったと話すと、参加者からはかいぼりが有効で大切だという感想が聞かれました。

復活したイノカシラフラスコモやツツイトモはプランクトンや小魚の隠れ場所になると話し、水草の再生が生態系にとって重要だと伝えました。

ひょうたん池では前日に設置した張り網揚げとガサガサ捕獲物の観察を保全班のサポートを受けて行いました。張り網には大きなスッポンが2匹も掛かり、参加者も案内人も驚きました。採れたザリガニやブルーギルを見つつ、これらを少なくすることが課題だと話しました。

 

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普段から井の頭池によく来ている参加者も、プランクトンや在来のエビ、スッポンを見るのは初めてという人が多く、様々な種類の生き物が暮らす井の頭池の生態系を感じてもらえたので良かったです。また、ザリガニやブルーギルなど外来種がいることを知ってもらうことで、井の頭池の課題やかいぼり意義も伝わったのではないでしょうか。参加者の皆さんがこのかんさつ会を通じてもっと井の頭公園の自然に興味を持って好きになってもらいたいです。

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第144回井の頭かんさつ会レポート

第144回井の頭かんさつ会 

タイトル 花ならび観察会 ~春のお花観(はなみ)~

■実施年月日 2017年4月30日(日)10:00~12:00

■参加者数  一般参加者 32名(大人21名、子ども11名)

■実施場所  ボート乗り場前(集合)→井の頭池北岸 →野草園 →西園グランド

■実施レポート(作成:第144回企画担当 小町 友則)

春恒例の井の頭の花をテーマに、花をじっくり観察し、花を愛でる観察会です。今年は天候に恵まれて、花観(はなみ)日和となりました。

今まで、花を愛でる観察会として、花の色、花の形、花の匂い、花の進化、花と生きものの繋がり、花と実の関係などをテーマに取り上げてきましたが、今年は「花ならび観察会」として、花がどうやって並んでいるか(=花序)をテーマに観察してみることにしました。

花の並びは、種類によって決まっており、個々の花の並びによって、花全体の形が様々になります。この時期の井の頭公園は、草花や木の花が約50種咲いています。花序は簡単なようで難しいので、その中で、キュウリグサ、ナズナ、ハコベ、タンポポの4種の花についてのみ、花序を調べ、配布資料にある4つどのタイプか考えてもらいました。個々の花の並び方が多様であるから、全体として見た時に、様々な形になることを理解してもらえたようです。また、配布資料には25種の花の写真が並べてあり、参加者に探してもらうようにしました。

今回は子どもを連れた家族での参加が多かったので、家族班2班と大人班2班に分かれて、ガイドしました。各班、工夫をこらして春の花を楽しみました。

 

第143回井の頭かんさつ会レポート

第143回井の頭かんさつ会

■タイトル  春の生き物

■実施年月日 2017年3月26日(日)10:00~11:30

■参加者数  一般参加者 15名(大人11名、子ども4名)
       案内人 井の頭かんさつ会スタッフ11名

■ 実施場所  井の頭地区公会堂(降雨のため屋内で行いました)

■実施レポート (作成:第143回企画担当 佐藤 誠)
 数日前からかんさつ会当日の天候があまり良くないという予報がでており、前日には「明日は雨」の予報確率が急上昇、担当のスタッフは前日土曜日に大慌てで「雨プロ」と称する雨天用のプログラム作成をしました、
 やはり当日は朝から小降りながら冷たい雨がふり、公園内での観察はあきらめ公会堂での雨プロに切り替えました。まず、メンバーの一人が、回る予定だったコースで前日に撮った写真を使って今咲いている花を順に説明、その後他のメンバーの一人が、過去の今の時期に公園で観察された昆虫の写真(別のメンバーのブログから引用)を使って今の時期にみられる昆虫の説明を行いました。
 続いて朝公園で採取したアブラムシ2種(マメクロアブラムシ、ソラマメヒゲナガアブラムシ)
を4台の実体顕微鏡でグループに分かれ詳しく観察しました。最初は「気持ち悪い」と言っていた参加者も、小さい緑の虫が動くところを見て思わず「かわいい」と声を出したり、熱心にスケッチをしたり大いに盛り上がりました。
 最後に質疑応答の時間を設け通常より30分早い11時30分に終了しました。
 
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 雨のため屋外での観察はできませんでしたが、悪天候にもかかわらず参加してくださった参加者の方々の熱意を非常に感じました。またアブラムシの実体顕微鏡による観察は子供から大人まで日常では経験できないことから非常に盛り上がり、企画した自分も大変驚きました。
 今回気になったのは下見をしていた時に例年に較べ昆虫の種類が少ないということでした。最近公園では樹木の剪定や下草の刈り取りなど管理が行き届き昆虫が越冬する場所が少なくなったのも一因ではとちょっと心配になりました。
 もちろんたくさんの方々が利用する公園なので管理は非常に重要なことは十分理解していますが公園管理者には、できるだけ自然の姿を残し、多くの種が生きていける環境を残していただきたいと思います。
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第142回井の頭かんさつ会レポート

第142回井の頭かんさつ会レポート
「春を待つ木々の冬芽」
日時: 2017年2月26日(日曜日)午前10:00~12:00
主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内
佐藤 誠 (NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
村上 健太(NACS-J自然観察指導員)
小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
日置 日出男(森林インストラクター)
大橋 博資
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
高久 晴子
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
中村 芳生(NACS-J自然観察指導員)

レポート

インフルエンザ渦の影響か直前のキャンセルが15名と多くスタッフ人数に対して参加者が少なかったですが、少数でじっくり観察できる会になりました。寒さが少し緩んだ2月の下旬、木々が春の準備を始めています。そろそろ芽ぶく木々の芽を観察します。  冬芽の観察では「裸芽」「芽輪痕」など専門用語を使いがちです。案内人ではできるだけやさしく言い換えるように心がけますが、基礎的な事柄を知っておいていただいた方が観察しやすいため、最初に図を用いた配布資料で用語解説をしました。  基礎講座を終えた後、まずは手始めにボート乗り場前の植え込みでハナミズキを観察しました。葉が出る芽と花が出る芽の違いを重点的に見ることで、冬芽を観る目を養います。弁天池南側の斜面ではトチの芽を見ました。大きな芽でベタベタしています。参加者から「何のためにベトベトしているのですか」との質問があり、知らない事柄だったので、参加者と一緒に考えました。日本庭園近くのアジサイでは、芽が「冠を被った王子様」のように見えることから、よりそのように見える芽を参加者と探しました。  その後様々な木の芽を見ていくうちに参加者の目が慣れてきたのか、「これは人の顔に見える」「この芽可愛い」など感想を言うようになってきました。芽を擬人化して見るということは、気持ちが深く入っていることだと思い、嬉しかったです。ニセアカシア(ハリエンジュ)では葉痕に隠れている芽の(陰芽)の話をするよりも、悪魔の顔のように見えることを楽しんでもらいました。  今回気をつけたのはできるだけ興味が長続きするようなきっかけをつくることです。例えばアジサイやハナミズキなど、自宅近くや街路樹で多く見られる樹種を重点的に観察することで、かんさつ会の後でも生活の中で観察を続けられるようしました。またガマズミなど動物や人の顔に見えるもので何に見えるかと問うことで、興味関心を引こうとしました。参加者がこのかんさつ会を通じて身近な植物にも興味を持ってくれることを期待したいです(村上健太)。

第140回井の頭かんさつ会レポート

第140回井の頭かんさつ会レポート

■タイトル  土に暮らす生き物 ~土壌生物を探そう~

■実施年月日 2016年12月18日(日)10:00~12:00
■参加者数  一般参加者 26名(大人17名、子ども9名)         
       案内人 井の頭かんさつ会スタッフ10名
■ 実施場所  ボート乗り場前(集合)→弁天池南岸→御殿山→小鳥の森→第二公園
     →井の頭地区公会堂(解散)

■実施レポート(作成:第140回企画担当 村上 健太)
 木々の葉が落ちて昆虫の姿を見ることが少なくなる12月ですが、落ち葉の下、土の中には昆虫やクモやトビムシなど様々な種類の生き物が暮らしています。これらの土壌動物は生態系の中で重要な役割を担っているにも関わらず、普段気にかけることが少ない存在です。今回はそんな陰の功労者である土壌動物を探す観察会を行いました。
 ボート乗り場前に集合した参加者に「ダンゴムシとミミズに触ったことがあるか」と聞くと、全員が触ったことはあるようでしたが、それ以外の動物を知らないようでした。まず狛江橋南側のトチ大木付近の落ち葉をめくって土壌動物を探します。子供はもちろん、大人も童心に帰って落ち葉をかき分け、土を掘ります。落ち葉はたくさんおちているけれど、意外に生き物は少なかったです。
 続いて弁天池南側トイレ付近の土を掘ります。普段は人が足を踏み入れないので、土が軟らかく、小石混じりの土なのにハサミムシやトビムシが次々と見つかり、子供達が大喜びで茂みに入って柔らかい土を探しました。また石をひっくり返して虫を探しました。
 玉川上水と小鳥の森の間の地点と第二公園トイレ裏の雑木林でも土を採取し、井の頭地区公会堂へ移動しました。
 井の頭地区公会堂では、パソコンとプロジェクターを使って土壌動物の大まかな種類と生態系の中での役割(特に分解者として重要)を話した後で、テーブルの上で採取した土を丹念に調べました。一見生き物がいないように思える土でも、目を凝らして土を探すと小さなムカデやヨコエビがたくさん見つかります。これらを交代で顕微鏡を使って観察しました。詳しい種類の同定までは行いませんでしたが、土の中に意外にたくさんの生き物(動物)がいることを、楽しく体験してもらえたのではないかと思います。
 
※土を掘った場所は埋めもどし、掘り出した土は元の場所に戻しました。また通常は公園の土を掘り返してはいけない旨、参加者に告知しました。

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子供の参加者の感想として、「久しぶりに土をいじったけれど、たくさんの虫がいることに驚いた」ということが、企画者としてうれしかったです。土に触れることは自然に触れることの始まりですが、今の子供には体験が減ってきていると思います。こうした体験を通じて、生き物の多様性を感じて、多様性を守っていく気持ちを伝えられたら良いと思います。
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第139回井の頭かんさつ会レポート

第139回井の頭かんさつ会 

タイトル 葉っぱの色葉(イロハ) ~落ち葉のアルバム作り~

■実施年月日  2016年11月27日(日)10:00~12:00

■参加者数  一般参加者 42名(大人30名、子ども12名)

スタッフ数 10名

■実施場所: ボート乗り場前(集合)→井の頭池北岸 →分園西側入口前 →御殿山雑木林 →西園グランド

■実施レポート(作成:第139回企画担当 小町 友則)

今回の井の頭かんさつ会は落ち葉をテーマにして、葉っぱのイロハ(基本)を理解してもらえるような内容で企画しました。

週間予報から雨マークが消えず、当日も朝のうち雨がぱらつくこともありましたが、開始時には薄日も差し、気温も上がり、むしろ快適な気候でした。心配していた落ち葉もほとんど濡れてなく、かんさつ会の進行には全く問題がありませんでした。

参加者のミッションは、予め用意したイラストと同じ落ち葉を拾い、じっくりと観察し、ポケットアルバムに収め、落ち葉のフィールド図鑑を作っていくことです。設定した樹種は、ソメイヨシ、ケヤキ、ムクノキ、エノキ、アキニレ、イロハモミジ、カジカエデ、ハナノキ、イタヤカエデ、トウカエデ、コナラ、ピンオーク、アカシデ、イヌシデ、コブシ、カツラ、ミズキ、イチョウの18種としました。

4班に分かれて参加者をご案内しました。リーダーが葉っぱの役目や紅葉の仕組みなど基本的な説明を行い、葉っぱの特徴を一種ずつ丁寧に解説し、参加者はそのヒントで落ち葉を見分けて拾います。人間の採集本能をくすぐるのか、大人も子どもも落ち葉収集に夢中になっていました。

落ち葉にも個性があり、見た目の色・形だけでなく、鋸歯の形、葉脈の入り方、透かして見た時の色合い、質感、ザラザラやフワフワの感触、匂いなど、それぞれの葉っぱの特徴が分かると親しみが感じられます。参加者にもそれが次第に伝わったようで、落ち葉の個性を楽しみながら、アルバム作りを行いました。

途中、七井橋や弁天橋の上から岸を眺めると、見事な紅葉が見られました。葉っぱをじっくりと観察することと、遠目で見た時の感じを結びつけてもらいました。

最後に西園のグランドで振り返りとして、18種の復習を行い、見事に全問正解。友達が増えた感覚です。じっくりと自然を観察することの面白さ、大切さが十分に伝わったと思います。

 

 

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今回の井の頭かんさつ会は公園の自然を楽しんでもらうことが大きな目的の1つでした。そういった中で、今回のように自分で楽しみながら葉を集めて観察することは、自然が好きになるきっかけとなったと思います。また、多くの樹種の葉っぱが拾える井の頭公園の環境はとても大切です。落ち葉も分解されて土壌になることから、生物の多様性を維持する重要な要素の1つです。必要以上に掃き過ぎないことも大事だと思います。

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第138回井の頭かんさつ会レポート

第138回井の頭かんさつ会

タイトル 実りの秋〜木の実 草の実いろいろ〜

■実施年月日 2016年10月9日(日)10:00~12:00

■参加者数  一般参加者 17名(大人11名、子ども6名)

案内人 井の頭かんさつ会スタッフ9名

■実施場所: ボート乗り場前(集合)→井の頭地区公会堂(実施および解散)

■実施レポート (作成:第138回企画担当 村上 健太)

秋雨前線の通過による雨が朝から降り始め三鷹市に雷注意報が出たため、室内でのスライドや事前に用意した木の実草の実を観察する屋内プログラムに変更しましたが、荒天などによるキャンセルが相次ぎ、参加者は申し込みの半分以下の17名となりました。

しかしながら、この17名の意欲は高かったです。最初の40分ぐらいは木の実の画像スライドや動画を用いて、井の頭公園の木の実草の実を説明しました。その後調理・アク抜き加工をしておいたカヤの実、マテバシイのクッキー、スダジイなどを希望者に食べていただきました。(ナッツアレルギーの他、クッキーの乳・卵・小麦粉アレルギーの注意喚起を行いました。小麦アレルギーのお子さん一人は食べなかったです。また手の消毒のため、アルコール除菌ティッシュを用意しました)

その後、様々な木の実草の実を4つのテーブルで観察しました。トチの木はアク抜きすれば栃餅などに加工して食べられるが、生での食用には向かないと説明すると、「せっかくなので食べてみたい」という参加者が多かったので、ほんの少しずつ食べてアクの強さを体感して頂きました。またガマズミやムクなど食べられるものは食べてみたいと意欲的な参加者が多く、自己責任の上食べていただきました。(事前にガマズミなど食べられる実とヨウシュヤマゴボウなど有毒な実について説明しました)

参加者は食べる以外でもイロハカエデの実が回転しながら落ちる様や、イイギリの実には多くの種が入っていること、ヤブランの実が思ったほど弾まないなど、実際に実を触ったり分解したり、投げてみたりと、様々な角度から実に接して楽しんでいました。

 

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雨だったので、実際に実がなっているところは観察できませんでしたが、逆に腰をおちつけてじっくりと種の様子を観察できました。参加者の一人が「屋内での観察は集中できることが良いですね」と言っていたことが嬉しかったです。ただ見る・観察するだけでなく、割ってみたり、つぶしてみたり、匂いを嗅いでみたり、食べてみたりと自然に対して五感を使って接することができたので、参加者の皆さんの自然体験の幅が広がったのではないかと思い、もっと自然や井の頭公園を好きになってくれることを期待したいです。(ただし通常は公園での植物採取は禁止であると事前にお伝えしています)

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第137回井の頭かんさつ会レポート

第137回井の頭かんさつ会

■タイトル:「クモ―その神秘な世界をのぞく―」

■実施年月日: 2016年9月17日(土)10:00~12:00

■参加者数  一般参加者 16名(大人12名、子ども4名)

案内人 井の頭かんさつ会スタッフ10名

■実施場所: ボート乗り場前(集合)→ 弁天池北岸 →お茶の水手前

→御殿山 →玉川上水 → 小鳥の森(解散)

■実施レポート (作成:第137回企画担当 佃 和夫)

今回は2度目、2年ぶりのクモをテーマの観察会でした。都合で2班だけの編成にせざるを得なくて普段よりは少なめ、参加者は3名の欠席者を除き16名でした。

幸い好天に恵まれ、様々なクモに出会えました。まずオープニングでクモの体や雌雄の見分け、網の様々など観察に必要な基本事項をごく短時間で解説してから出発しました。

ギンメッキゴミグモの銀色に輝く背中(腹部)と精巧で美しい円網に目を見張る参加者が多かったです。網のいろいろなタイプすなわち縦の正常円網、水平円網、一見でたらめのようで、実は巧妙な仕掛けの不規則網、ヒラタグモの受信アンテナつき網のなどを見ていただきました。観察のかたわら誤解されることが多い。本当のクモの生態を解説し、クモが農業益虫としても活躍していること、なども実物を見ながらおはなししました。

観察できたクモのうち主なものは、ジョロウグモ、

ズグロオニグモ、ギンメッキゴミグモ、

アシナガグモ、シロカネグモsp、ヨツテゴミグモ、

コガタコガネグモ、

ウズグモ(以上は円網を張るクモ)、チリイソウロウグモ、シロカネイソウロウグモ(以上は円網に居候)、ヒメグモ、オオヒメグモ、クサグモ、コクサグモ、(以上は不規則網や棚網)ジグモ、キシノウエトタテグモ(以上は地中性のクモ)受信糸網のヒラタグモ、条網を使うオナガグモおよび徘徊性のハエトリグモの仲間も数種類やササグモも見ることができました。

クモというと普段は何となく遠ざけていたり、嫌っている人が多いようです。しかし何人もの参加者が目から鱗で誤解が解けたと述べられ、この観察会によってクモのよき理解者になって頂けたことと思います。そしてクモの巣はクモが蚊やハエを捕らえてくれる道具であり、それがあることは「だらしないこと」や「汚れ」の象徴ではなく風景の一つと理解いただけたと思います。