第149回井の頭かんさつ会レポート

第149回井の頭かんさつ会レポート 

タイトル 虫をさがそう

■実施年月日 2017年9月24日(日)10:00~12:00

■参加者数  一般参加者 25名(大人13名、子ども12名)                                案内スタッフ 12名

■実施場所: ボート乗り場前(集合)→七井橋 →お茶の水池北岸 →野草園 →御殿山 →玉川上水 →松本訓導碑付近

■実施レポート (作成:第149回企画担当 村上 健太)

今回の観察会は昆虫をテーマにしたので、親子など複数での参加が多いと予想されましたが予想通り親子が多く、受け付け開始から3日で満員御礼になりました。

まずは七井橋の上からトンボの観察をします。遠くにいるトンボの種類は分かりませんが、季節移動をする話や、南から海を渡って来るトンボの話を興味深げに聞いてくれました。

お茶の水池北側の草地ではバッタの観察をします。大人も子供も草の間に目を凝らしますが、子供の参加者は大人よりも早く昆虫を見つけます。今回は昆虫全般が対象ですが、バッタとアリを中心に観察するように計画しました。しかし昆虫好きの子供はいろいろなものを見つけてきます。カマキリ、ハサミムシ、カメムシ、ゴミムシ、はてはミミズやクモまで。それぞれの名前を教えてあげるのも大切ですが、本当は虫探しから虫の生息環境を考えて欲しいものです。「草地という自然がなくなると、バッタがいなくなり、バッタがいなくなると、バッタを食べる虫や鳥がいなくなり、いろんな生きものの関わり合いがなくなってしまうから、自然が貧弱になってしまう」旨の説明をして生物多様性の大切さを話ましたが、小学生はわかってくれたでしょうか?バッタを捕まえて体の作りを観察したり、草の種類とバッタの種類の関係も考えたりしました。

水生物園入口や野草園では、秋の花にキタキチョウやセセリチョウなどのチョウ類、ハチ・アブなどが集まっていました。素早く動くため観察しづらいですが、小さな子供も一生懸命に目で追っていました。

御殿山では主にアリの観察をしました。アリにたくさんの種類があることにびっくりする子供と、感心している大人もいました。普段はなかなか気をつけて見ることがないアリは、土の中に巣を造るものもいるし、木の幹に通り道をつくるものや巣を造らないものもいて、多様であることを実感してもらいました。当日かんさつ会が始まる前に、砂糖をひとつまみ木の根元に置いておくと、トビイロシワアリが集まってきていました。ここからアリが臭いを頼りに餌を探す話をしました。アリは小さくて、子供は喜んで探しますが、大人にとっては小さくて目が疲れます。1mm程度の小さなアリもいて、一生懸命目を凝らしました。

玉川上水沿道の笹にはアブラムシがついていて、そこにアリが甘露をなめに集まります。アリと他の生き物の共生の話をしました。

 

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今回は「虫を探そう」というテーマのため、小さなお子さんとその親御さんという組み合わせの参加者が多かったです。身近な自然が少なくなる中、子供に虫探しを通じて自然を体験させたいという親御さんの気持ちがうかがい知れました。普段公園に散歩に来る親子も、本気で虫を探すのは初めていう人が多い印象でした。

かんさつ会終盤でカイガラムシとアリの共生関係を観察した後に、あるお父さんが「アリもいろいろな生き物と関わって暮らしているのですよね」と正に私が伝えたいことを感想として言ってくれたことが嬉しかったです。これからも住民の皆様に井の頭公園の多様な自然を体感してもらう様にかんさつ会を企画したいです。

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第148回井の頭かんさつ会レポート

第148回井の頭かんさつ会

タイトル 夜のいきもの

■実施年月日 2017年8月12日(土)18:30~20:30

■参加者数  一般参加者 35名(大人21名、子ども14名)

案内人 井の頭かんさつ会スタッフ9名+保全活動班3名

■実施場所: ボート乗り場前(集合)→七井橋 →お茶の水池北岸 →野草園 →御殿山→玉川上水 →第二公園(解散)

■実施レポート

8月恒例の夜の観察会は今年も大人気です。ホームページとポスターと知人の紹介だけの告知でしたが、2日で定員に達しました。4つの班に分かれ、班ごとに違う色のライトリング(発光する腕輪)をつけて出発です。(ライトリングは7歳以上対象の商品のため、未就学のお子さんには夜光塗料のシールを貼った首かけ飾りをお渡ししました。)

ボート乗り場からスタートして七井橋に移るとじきに暗くなります(当日の東京の日没は18:34)。コサギがねぐらに戻る一方で、ゴイサギが活動を始めるという、生き物の昼夜の交代が見られました。

足下の橋の欄干ではズグロオニグモが網を張って獲物を待ちます。網を張る途中のクモや張りたての網を見ることができました。張りたての網は綺麗な円形で、霧吹きで水をかけるとその美しさがよくわかります。

開始前から保全活動班のスタッフに水面をライトで照らしてもらうと、ミジンコなどプランクトンが光に引かれて集まってきました。水面に映るライトの光の中に小さな動く粒が見えると、参加者から歓声が上がりました。プランクトンが集まったところで水を掬って観察すると、光に照らされて動くケンミジンコがたくさん見られました。子ども大人も初めて見る人が多く、見入っていました。

暗くなるとアブラコウモリが飛び回り始める時刻ですが、今年はバットディテクターの反応も無く、ほとんど見られませんでした。

夜に花が咲くカラスウリは注目の観察対象ですが、他の木々を覆ってしまう雑草です。公園事務所に今回の観察会のためにカラスウリを除草しないでいて頂いたため、きれいな花を観察できました。夜に咲くので知らない参加者も多かったですが、レースのような繊細で美しい花をみんなで観察しました。

カタバミの就眠運動といった、昼夜で変化する植物も観察しました。

観察最後の山場は御殿山や第二公園でセミの羽化観察です。今年は羽化するセミの数も申し分無く、野口雨情歌碑近くの木柵にも羽化場所を探す幼虫がたくさん見つかりました。道を歩く幼虫を木の幹に移動させてあげる参加者もいて、微笑ましいものでした。御殿山でも玉川上水脇でも第二公園でも多くの羽化を観察でき、時間がもっと欲しいぐらいでした。

コース途中の玉川上水脇の道では、ライトを消して暗がりを体験しました。街灯に照らされた夜しか知らない子供たちは怖々、大人でも少し怖いぐらいです。生き物ではないですが、子供にとって暗がりを体験する良い機会になったと思います。

 

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今回も小さなお子さんが多く、夜の井の頭公園が初めてという人が多かったです。夜に見られるものを観察するだけでなく、昼と夜とでは何が違うのか、生き物にとってどういう影響があるのかを一緒に考えました。後半で、なんでセミは夜に羽化するのかなと聞くと「敵が少ないから!」と元気な答えが返ってきて、嬉しかったです。

大人でもカラスウリの花をしっかり見たことがある人は少なく、様々な公園の自然の姿を体験してもらって良かったです。

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第147回井の頭かんさつ会レポート

第147回井の頭かんさつ会 

タイトル 夏の樹木

■実施年月日 2017年7月22日(土)10:00~12:00

■参加者数  一般参加者 25名(大人21名、子ども4名)

案内スタッフ 11名

■実施場所  ボート乗り場前(集合)→七井橋を渡り池北岸から池の周りをまわる→ ひょうたん池手前で解散

■実施レポート (作成:第147回企画担当 日置 日出夫)

井の頭池の周りには、グリーンアドベンチャーという案内板の付いた50種の樹木があります。井の頭公園に生育している主な樹木が網羅されているということだと思います。

今回のかんさつ会では、その50種の樹木を中心に観察をし、そこから樹木の種類・特徴などを見つけ出し、樹木の名前の同定の方法、ポイントなどを学んでいくことを狙いとした観察を行いました。

観察の主なものとして、樹形(大きさ・形・枝の付き方など)・樹皮・葉(形・大きさ・厚さ・手触り・香りなど)・生えている場所など様々な方向から樹木を、五感を使って観察しました。

樹皮が特徴的だったり、葉に特徴があったり、樹木によってもポイントとなるところが違います。一本一本何を中心に見たら他の木との違いが分かるのかを観察し、そこから樹木の種類・名前を見つけ出していきました。

3班に分かれた参加者の皆さんの熱心な観察と質問などにより、時間が足りなくなってしまい、50種類すべての樹木の観察は出来ませんでしたが、同じように見える樹木でもこんな見方があるのだ、という発見の多かった観察を楽しみました。

第146回井の頭かんさつ会レポート

第146回井の頭かんさつ会 

タイトル 変形菌 ふしぎな生きもの

■実施年月日:2017年6月25日(日)10:00~12:00

■参加者数 :一般参加者 25名(大人20名、子ども5名)

案内人 井の頭かんさつ会スタッフ11名

  • 実施場所: ボート乗り場前(集合)→井の頭弁財天周辺→井の頭地区公会堂(解散)

■実施レポート(作成:第 146回企画担当 高野 丈)

変形菌観察には難しい雨がちな空模様でしたが、開催時間中は雨があがってくれました。フィールドは湿っていましたが、弁財天周辺ではコカタホコリ、シロジクモジホコリ、ハイイロフクロホコリの3種を確認できました。参加者のみなさまには、変形体の這い跡から子実体を探す方法をお伝えしました。野外で探した後は、屋内講座。変形菌とはなにかを一からご説明しました。その後、私の写真作品を紹介し、20種ほど選んできた標本の観察をしていただきながら質疑応答して会を終えました。

 

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変形菌をテーマに開催するのは今回で3回目ですが、毎回募集して2、3日で満員になるほどの人気ぶりです。不思議な生態をもつこと、色形が美しいことなど、あまり情報がないことが人気の秘密だと思います。異質な生きものだと思われがちですが、生態系の一員としてなくてはならない存在ですので、観察会ではそのことをしっかりとお伝えしました。

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第145回井の頭かんさつ会レポート

第145回井の頭かんさつ会 

タイトル  水辺の生き物

■実施年月日 2017年5月21日(日)10:00~12:00

■参加者数  一般参加者 28名(大人20名、子ども8名)

案内人 井の頭かんさつ会スタッフ12名

進行サポート 井の頭かんさつ会保全班 5名

  • 実施場所  ボート乗り場前(集合)→七井橋→お茶の水池北岸→ボート池北岸
  • →ひょうたん池(解散)

■実施レポート (作成:第145回企画担当 村上 健太)

2度のかいぼりの後、井の頭池の生態系は在来種の増加や水草の復活など大幅に改善しています。一方でブルーギルの存在やザリガニ増加など対応すべき課題もあります。今年の冬に実施予定の3度目のかいぼりを前に、現状での池の生態系を様々な生き物のつながりとして観察してもらおうと企画しました。

先ずは生態系を下支えする、生態系のピラミッドの底辺にあたるプランクトンを見てもらいました。前日夜に採取したプランクトン(肉眼で見えるものはミジンコなど)を瓶に入れたものを参加者に回し、プランクトン写真のパネルを使って説明しました。瓶の中には何かの仔魚も見られ、子供も大人も興味深げに覗き込みました。

七井橋からは魚(ウキゴリ)の魚影が観られた他、カイツブリの狩りも観察しました。かいぼり前は餌となる在来種の小魚が少なかったけれど、それらが増えたのでカイツブリが子育てできる池になって生態系が豊かになったと話すと、参加者からはかいぼりが有効で大切だという感想が聞かれました。

復活したイノカシラフラスコモやツツイトモはプランクトンや小魚の隠れ場所になると話し、水草の再生が生態系にとって重要だと伝えました。

ひょうたん池では前日に設置した張り網揚げとガサガサ捕獲物の観察を保全班のサポートを受けて行いました。張り網には大きなスッポンが2匹も掛かり、参加者も案内人も驚きました。採れたザリガニやブルーギルを見つつ、これらを少なくすることが課題だと話しました。

 

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普段から井の頭池によく来ている参加者も、プランクトンや在来のエビ、スッポンを見るのは初めてという人が多く、様々な種類の生き物が暮らす井の頭池の生態系を感じてもらえたので良かったです。また、ザリガニやブルーギルなど外来種がいることを知ってもらうことで、井の頭池の課題やかいぼり意義も伝わったのではないでしょうか。参加者の皆さんがこのかんさつ会を通じてもっと井の頭公園の自然に興味を持って好きになってもらいたいです。

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第144回井の頭かんさつ会レポート

第144回井の頭かんさつ会 

タイトル 花ならび観察会 ~春のお花観(はなみ)~

■実施年月日 2017年4月30日(日)10:00~12:00

■参加者数  一般参加者 32名(大人21名、子ども11名)

■実施場所  ボート乗り場前(集合)→井の頭池北岸 →野草園 →西園グランド

■実施レポート(作成:第144回企画担当 小町 友則)

春恒例の井の頭の花をテーマに、花をじっくり観察し、花を愛でる観察会です。今年は天候に恵まれて、花観(はなみ)日和となりました。

今まで、花を愛でる観察会として、花の色、花の形、花の匂い、花の進化、花と生きものの繋がり、花と実の関係などをテーマに取り上げてきましたが、今年は「花ならび観察会」として、花がどうやって並んでいるか(=花序)をテーマに観察してみることにしました。

花の並びは、種類によって決まっており、個々の花の並びによって、花全体の形が様々になります。この時期の井の頭公園は、草花や木の花が約50種咲いています。花序は簡単なようで難しいので、その中で、キュウリグサ、ナズナ、ハコベ、タンポポの4種の花についてのみ、花序を調べ、配布資料にある4つどのタイプか考えてもらいました。個々の花の並び方が多様であるから、全体として見た時に、様々な形になることを理解してもらえたようです。また、配布資料には25種の花の写真が並べてあり、参加者に探してもらうようにしました。

今回は子どもを連れた家族での参加が多かったので、家族班2班と大人班2班に分かれて、ガイドしました。各班、工夫をこらして春の花を楽しみました。

 

第143回井の頭かんさつ会レポート

第143回井の頭かんさつ会

■タイトル  春の生き物

■実施年月日 2017年3月26日(日)10:00~11:30

■参加者数  一般参加者 15名(大人11名、子ども4名)
       案内人 井の頭かんさつ会スタッフ11名

■ 実施場所  井の頭地区公会堂(降雨のため屋内で行いました)

■実施レポート (作成:第143回企画担当 佐藤 誠)
 数日前からかんさつ会当日の天候があまり良くないという予報がでており、前日には「明日は雨」の予報確率が急上昇、担当のスタッフは前日土曜日に大慌てで「雨プロ」と称する雨天用のプログラム作成をしました、
 やはり当日は朝から小降りながら冷たい雨がふり、公園内での観察はあきらめ公会堂での雨プロに切り替えました。まず、メンバーの一人が、回る予定だったコースで前日に撮った写真を使って今咲いている花を順に説明、その後他のメンバーの一人が、過去の今の時期に公園で観察された昆虫の写真(別のメンバーのブログから引用)を使って今の時期にみられる昆虫の説明を行いました。
 続いて朝公園で採取したアブラムシ2種(マメクロアブラムシ、ソラマメヒゲナガアブラムシ)
を4台の実体顕微鏡でグループに分かれ詳しく観察しました。最初は「気持ち悪い」と言っていた参加者も、小さい緑の虫が動くところを見て思わず「かわいい」と声を出したり、熱心にスケッチをしたり大いに盛り上がりました。
 最後に質疑応答の時間を設け通常より30分早い11時30分に終了しました。
 
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 雨のため屋外での観察はできませんでしたが、悪天候にもかかわらず参加してくださった参加者の方々の熱意を非常に感じました。またアブラムシの実体顕微鏡による観察は子供から大人まで日常では経験できないことから非常に盛り上がり、企画した自分も大変驚きました。
 今回気になったのは下見をしていた時に例年に較べ昆虫の種類が少ないということでした。最近公園では樹木の剪定や下草の刈り取りなど管理が行き届き昆虫が越冬する場所が少なくなったのも一因ではとちょっと心配になりました。
 もちろんたくさんの方々が利用する公園なので管理は非常に重要なことは十分理解していますが公園管理者には、できるだけ自然の姿を残し、多くの種が生きていける環境を残していただきたいと思います。
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第142回井の頭かんさつ会レポート

第142回井の頭かんさつ会レポート
「春を待つ木々の冬芽」
日時: 2017年2月26日(日曜日)午前10:00~12:00
主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内
佐藤 誠 (NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
村上 健太(NACS-J自然観察指導員)
小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
日置 日出男(森林インストラクター)
大橋 博資
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
高久 晴子
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
中村 芳生(NACS-J自然観察指導員)

レポート

インフルエンザ渦の影響か直前のキャンセルが15名と多くスタッフ人数に対して参加者が少なかったですが、少数でじっくり観察できる会になりました。寒さが少し緩んだ2月の下旬、木々が春の準備を始めています。そろそろ芽ぶく木々の芽を観察します。  冬芽の観察では「裸芽」「芽輪痕」など専門用語を使いがちです。案内人ではできるだけやさしく言い換えるように心がけますが、基礎的な事柄を知っておいていただいた方が観察しやすいため、最初に図を用いた配布資料で用語解説をしました。  基礎講座を終えた後、まずは手始めにボート乗り場前の植え込みでハナミズキを観察しました。葉が出る芽と花が出る芽の違いを重点的に見ることで、冬芽を観る目を養います。弁天池南側の斜面ではトチの芽を見ました。大きな芽でベタベタしています。参加者から「何のためにベトベトしているのですか」との質問があり、知らない事柄だったので、参加者と一緒に考えました。日本庭園近くのアジサイでは、芽が「冠を被った王子様」のように見えることから、よりそのように見える芽を参加者と探しました。  その後様々な木の芽を見ていくうちに参加者の目が慣れてきたのか、「これは人の顔に見える」「この芽可愛い」など感想を言うようになってきました。芽を擬人化して見るということは、気持ちが深く入っていることだと思い、嬉しかったです。ニセアカシア(ハリエンジュ)では葉痕に隠れている芽の(陰芽)の話をするよりも、悪魔の顔のように見えることを楽しんでもらいました。  今回気をつけたのはできるだけ興味が長続きするようなきっかけをつくることです。例えばアジサイやハナミズキなど、自宅近くや街路樹で多く見られる樹種を重点的に観察することで、かんさつ会の後でも生活の中で観察を続けられるようしました。またガマズミなど動物や人の顔に見えるもので何に見えるかと問うことで、興味関心を引こうとしました。参加者がこのかんさつ会を通じて身近な植物にも興味を持ってくれることを期待したいです(村上健太)。

第140回井の頭かんさつ会レポート

第140回井の頭かんさつ会レポート

■タイトル  土に暮らす生き物 ~土壌生物を探そう~

■実施年月日 2016年12月18日(日)10:00~12:00
■参加者数  一般参加者 26名(大人17名、子ども9名)         
       案内人 井の頭かんさつ会スタッフ10名
■ 実施場所  ボート乗り場前(集合)→弁天池南岸→御殿山→小鳥の森→第二公園
     →井の頭地区公会堂(解散)

■実施レポート(作成:第140回企画担当 村上 健太)
 木々の葉が落ちて昆虫の姿を見ることが少なくなる12月ですが、落ち葉の下、土の中には昆虫やクモやトビムシなど様々な種類の生き物が暮らしています。これらの土壌動物は生態系の中で重要な役割を担っているにも関わらず、普段気にかけることが少ない存在です。今回はそんな陰の功労者である土壌動物を探す観察会を行いました。
 ボート乗り場前に集合した参加者に「ダンゴムシとミミズに触ったことがあるか」と聞くと、全員が触ったことはあるようでしたが、それ以外の動物を知らないようでした。まず狛江橋南側のトチ大木付近の落ち葉をめくって土壌動物を探します。子供はもちろん、大人も童心に帰って落ち葉をかき分け、土を掘ります。落ち葉はたくさんおちているけれど、意外に生き物は少なかったです。
 続いて弁天池南側トイレ付近の土を掘ります。普段は人が足を踏み入れないので、土が軟らかく、小石混じりの土なのにハサミムシやトビムシが次々と見つかり、子供達が大喜びで茂みに入って柔らかい土を探しました。また石をひっくり返して虫を探しました。
 玉川上水と小鳥の森の間の地点と第二公園トイレ裏の雑木林でも土を採取し、井の頭地区公会堂へ移動しました。
 井の頭地区公会堂では、パソコンとプロジェクターを使って土壌動物の大まかな種類と生態系の中での役割(特に分解者として重要)を話した後で、テーブルの上で採取した土を丹念に調べました。一見生き物がいないように思える土でも、目を凝らして土を探すと小さなムカデやヨコエビがたくさん見つかります。これらを交代で顕微鏡を使って観察しました。詳しい種類の同定までは行いませんでしたが、土の中に意外にたくさんの生き物(動物)がいることを、楽しく体験してもらえたのではないかと思います。
 
※土を掘った場所は埋めもどし、掘り出した土は元の場所に戻しました。また通常は公園の土を掘り返してはいけない旨、参加者に告知しました。

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子供の参加者の感想として、「久しぶりに土をいじったけれど、たくさんの虫がいることに驚いた」ということが、企画者としてうれしかったです。土に触れることは自然に触れることの始まりですが、今の子供には体験が減ってきていると思います。こうした体験を通じて、生き物の多様性を感じて、多様性を守っていく気持ちを伝えられたら良いと思います。
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第139回井の頭かんさつ会レポート

第139回井の頭かんさつ会 

タイトル 葉っぱの色葉(イロハ) ~落ち葉のアルバム作り~

■実施年月日  2016年11月27日(日)10:00~12:00

■参加者数  一般参加者 42名(大人30名、子ども12名)

スタッフ数 10名

■実施場所: ボート乗り場前(集合)→井の頭池北岸 →分園西側入口前 →御殿山雑木林 →西園グランド

■実施レポート(作成:第139回企画担当 小町 友則)

今回の井の頭かんさつ会は落ち葉をテーマにして、葉っぱのイロハ(基本)を理解してもらえるような内容で企画しました。

週間予報から雨マークが消えず、当日も朝のうち雨がぱらつくこともありましたが、開始時には薄日も差し、気温も上がり、むしろ快適な気候でした。心配していた落ち葉もほとんど濡れてなく、かんさつ会の進行には全く問題がありませんでした。

参加者のミッションは、予め用意したイラストと同じ落ち葉を拾い、じっくりと観察し、ポケットアルバムに収め、落ち葉のフィールド図鑑を作っていくことです。設定した樹種は、ソメイヨシ、ケヤキ、ムクノキ、エノキ、アキニレ、イロハモミジ、カジカエデ、ハナノキ、イタヤカエデ、トウカエデ、コナラ、ピンオーク、アカシデ、イヌシデ、コブシ、カツラ、ミズキ、イチョウの18種としました。

4班に分かれて参加者をご案内しました。リーダーが葉っぱの役目や紅葉の仕組みなど基本的な説明を行い、葉っぱの特徴を一種ずつ丁寧に解説し、参加者はそのヒントで落ち葉を見分けて拾います。人間の採集本能をくすぐるのか、大人も子どもも落ち葉収集に夢中になっていました。

落ち葉にも個性があり、見た目の色・形だけでなく、鋸歯の形、葉脈の入り方、透かして見た時の色合い、質感、ザラザラやフワフワの感触、匂いなど、それぞれの葉っぱの特徴が分かると親しみが感じられます。参加者にもそれが次第に伝わったようで、落ち葉の個性を楽しみながら、アルバム作りを行いました。

途中、七井橋や弁天橋の上から岸を眺めると、見事な紅葉が見られました。葉っぱをじっくりと観察することと、遠目で見た時の感じを結びつけてもらいました。

最後に西園のグランドで振り返りとして、18種の復習を行い、見事に全問正解。友達が増えた感覚です。じっくりと自然を観察することの面白さ、大切さが十分に伝わったと思います。

 

 

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今回の井の頭かんさつ会は公園の自然を楽しんでもらうことが大きな目的の1つでした。そういった中で、今回のように自分で楽しみながら葉を集めて観察することは、自然が好きになるきっかけとなったと思います。また、多くの樹種の葉っぱが拾える井の頭公園の環境はとても大切です。落ち葉も分解されて土壌になることから、生物の多様性を維持する重要な要素の1つです。必要以上に掃き過ぎないことも大事だと思います。

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