第217回実施レポート 生きものたちの秋

■実施年月日 2024年10月27日(日)10時~12時

■参加者数  参加者 20名(大人 15名、 子供5名)

■実施場所:  ボート乗り場前広場集合 → お茶の水池北岸 → 梅園 → 御殿山 

→ 訓導碑周辺 → 小鳥の森

■実施レポート:生き物にとって秋ってどんな季節なんだろう?植物は夏の間溜めた栄養で種を作り、多くの昆虫は交尾をして次世代につなげる(卵を産む)。一方でカワウなどは繁殖を再開したり、冬に咲く花は花芽を準備したりします。そんな生き物の秋の過ごし方を色々見ました。

 今年は紅葉の進みが遅いですが、アキニレやトウカエデなど色付き始めた木々がありました。紅葉のしくみや、そもそもなぜ木々は秋に葉を落とすのか、生き物の不思議をお話ししました。

マユミにつくキバラヘリカメムシは青リンゴの香りがするということで、参加者と一緒に嗅いで見ました。当初訝しげな顔をしていた参加者も、青リンゴのような香りに驚き、カメムシのイメージが変わったと言っていました。

御殿山の林縁の草地には多数のひっつき虫(種子が獣散布の草)が生えていました。大人も子供も、自分の服につけてみて、種子散布の仕組みを体感しました。大人にも楽しい観察です。

成虫で越冬する虫をいくつか紹介しました。かんさつ会終盤にルリタテハがやってきました。大型で瑠璃色が綺麗なこの蝶にスタッフも参加者も大盛り上がりでした。



また
参加頂いた永井明子さんが、かんさつした内容を素敵なイラストにしてまとめて下さいました。
永井さんのホームページはこちら http://lovely-garden.no.coocan.jp/

第215回井の頭かんさつ会実施レポート「まるで妖精!?セミの羽化をナイトウォッチング!」

■実施年月日 2024年7月27日(土) 18時30分~20時30分頃

■参加者数 一般参加者 30名(大人19名、子供11名)

■実施場所 井の頭地区公会堂→井の頭公園第二公園  

■実施レポート

 今年の夏は昨年に比べるとセミの出現が遅く、加えて今年は雷雨も頻発し、当日は直前まで雷雨となりセミの出現の心配に加え天気の心配もしながらの開催となりました。 

 当日は、まず室内で「セミの一生」について学びました。セミが生まれてから大人になるまでには多くの試練があることを企画スタッフ(セミちゃん)自ら撮影した写真や動画を使ってクイズ形式で楽しく参加型で学び、セミちゃん自作の絵本「セミくんとコナラさん」の朗読で更に理解を深めてもらいました。

今年もセミをこよなく愛するセミちゃん登場!
第1問「セミはどこに卵を産むの?」
生まれたばかりのセミの赤ちゃんどこにいるかな?「ここ!」と前に出てきてくれた男の子
セミちゃんによるレクチャーは熱がこもります

 幸運にも雨は止んでいたので、4班に分かれて夜の井の頭公園へ。第二公園や西園では羽化しようと地上に出てきたセミの幼虫が園路上に出てきて自転車などに轢かれ多数死んでいる悲しい現状があります。この現状を参加者にも知ってほしく今年も第二公園の園路を歩きながら観察をスタート。園路上を歩く幼虫には今年も遭遇できず今年も轢かれている幼虫が1匹だけいてそれを観察できました。それから羽化しているセミをみんなで探しました。地面を歩いている幼虫、木に登っている幼虫なども観察でき、ニイニイゼミの幼虫も観察できました。最終的に羽化しているアブラゼミ、ミンミンゼミを数匹観察でき、その神秘的で美しい姿に大人も子供も皆で感動しながら無事に羽化するまでを見守りました。途中、子供目線で羽化しているミンミンゼミが羽化中に地面に落下するというハプニングもあり、それが残念でしたが、何とか救出することができました。

こんな間近でセミの羽化を観察!
羽化しているセミを発見!
大人も子供も羽化しているセミの姿に目が釘付けに
羽化中に落下してしまい救出したミンミンゼミ。無事に羽化できました!

 雨が上がり、何とか羽化しているセミの神秘的で美しい姿を観察してもらうことができ本当によかったです。当日はテレビ局の撮影も入り、後日、テレビ東京の番組「出没アド街ック天国」(9/14放送済)で観察会の様子を紹介いただきました。ありがとうございました。

 今年の夏の雷雨や猛暑は人間だけでなくセミや生き物たちにとっても影響があったと思います。セミの孵化には雨が必要ですし35℃を超えるとセミは鳴かなくなるようです。セミに限らず生き物達にとっても気候変動や猛暑は深刻な問題だと思うので、これからも生き物達への影響を観察し見守っていきたいと思います。

参加頂いた永井明子さんが、かんさつした内容を素敵なイラストにしてまとめて下さいました。
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井の頭かんさつ会 実施レポート 第213回野鳥ウォッチング

タイトル:  野鳥ウォッチング〜野鳥の井の頭公園活用術〜

■実施年月日: 2024年5月12日(日)10時~12時

■参加者数:  参加者 31名(大人 23名、 子供8名)

 ■実施場所:  ボート乗り場前広場集合 → 狛江橋南岸 → お茶の水池北岸 → お茶の水橋

→ 弁天池(水生物園入口付近) → 御殿山 → 玉川上水沿道 → 小鳥の森

■実施レポート:

 今回のかんさつ会テーマは野鳥です。いわゆる探鳥会でななく、鳥が井の頭公園をどのように利用しているのかに焦点を当て、カラスやシジュウカラといった住宅地にもいる鳥の他、カワウやカイツブリなど今井の頭で産卵子育てをしている鳥、エナガやオオタカなど気にしないと出会えない鳥なども紹介しました。

 まずは野鳥観察のマナー(鳥に影響しない、人に迷惑かけない、マナーを守れない人に場所を教え
ない)を確認してからのスタートです。狛江橋の南岸からスコープでカワウの巣の観察をします。
大きく映し出される巣の中に特に子供は驚いたようです。

 そこからお茶の水池北岸に移り、カルガモやカイツブリを観察しました。かいぼりの前後など環境の変化で営巣環境がどのように変化して今につながっているのかなど、周囲の環境と鳥の
行動との関係も話すことができました。弁天池のカイツブリ巣でちょうと転卵するタイミングに
あたった班もありました。

 御殿山ではシジュウカラがたくさん鳴いていて、縄張り争いの声も聞きこえます。また訓導碑近くの
クワの木でクワの実を食べるシジュウカラを観察した班もありました。落ちていたエナガの巣を見せ、巣の材料には多くの自然の素材を使っていることを示し、エナガの生息には井の頭の自然が必要であることを説明し、御殿山と玉川上水の樹林帯は周囲の緑を繋ぐ大切な緑地で
あること話しました。オオタカの営巣は遠くからスコープで一人ずつ観察し、井の頭が貴重な自然が
みられる環境であることと、改めてその自然を守る意義を話しました。

実施風景


また
参加頂いた永井明子さんが、かんさつした内容を素敵なイラストにしてまとめて下さいました。
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第212回井の頭かんさつ会実施レポート

■実施年月日 2024年4月14日(日) 10時~12時

■参加者数  一般参加者 25名(大人19名、子ども6名)

                       ※申込受付数32名、キャンセル7名

       案内人 井の頭かんさつ会スタッフ13名

■実施場所:井の頭池周辺、野草園、交流広場周辺

■実施レポート

 4月の観察会のテーマはこの時期の恒例のお花観(はなみ)です。今年は特に花びらの色や形をじっくりと観察する「花びらウォッチング」を行いました。当日は天気も良く、春うららの気持ちの良い気候の中、観察会を開始しました。最初に花についての説明と、花びらの形状を植物の進化や昆虫との繋がりの面から解説を行い、タンポポ、オオイヌノフグリ、シラユキゲシ、シャガ、オオアラセイトウ、ハナニラ、クサノオウなどの草花やドウダンツツジ、ハナミズキ、ツバキ、ツツジなどの樹木の花を探し、実際に間近で花びらの観察を行いました。特にタンポポやオオイヌノフグリなどは実際に分解したりして、虫との共生のための巧妙な仕組みが小さな花の中にある事を知ることができ、参加者から驚きの声が上がりました。遅咲きのサトザクラなどを含めて、楽しく花々を観察した後に、参加希望者とスタッフで交流広場にてお花見を行い、交流を深めました。

第211回レポート 生き物たちの春

■タイトル 生き物たちの春

■実施年月日 2024年3月17日(日)10時~12時

■参加者数  一般参加者 26名(大人 21名、 子供5名)

■実施場所: ボート乗り場前広場集合 → お茶の水池北岸 → お茶の水橋 → 梅園
→ 御殿山 → 文化交流広場

■実施レポート:
 集合場所近くの花壇にはツルニチニチソウとカラスノエンドウが咲いており、アブラムシも発生しており、植物上の生態系ができつつありました。また付近にはヒサカキが臭い匂いを放っていおり、子供が嗅いでみると顔を顰めつつも楽しそうでした。ソメイヨシノの開花はまだでしたが、ヤマブキ、ミツマタ、ヒュウガミズキ、トサミズキ、サンシュユ、コブシといった樹木の花が咲き誇っていました。草花の花もオニタビラコ、セイヨウタンポポ、クサノオウなどがさき、ヒメオドリコソウとホトケノザが混生している場所では両者の見分けも楽しみました。また当日カタクリも咲いており、可憐な姿が楽しめました。
御殿山ではイヌシデとアカシデの花が咲いており、風媒花の紹介もできました(スギ花粉の例も引き合いに出して説明しました)。御殿山の林ではシジュウカラの囀りやウグイス地鳴きが聞こえ、繁殖に向かう鳥の生態を説明できました。
 小鳥の森近くのツバキではツバキキンカクチャワンタケ(きのこ)を探しました。ツバキの花の栄養で生えるという生態は参加者にも生き物の不思議さを伝えられたと思います。
 当日は暖かくて花が多く咲いてくれて昆虫も出現したので、スタッフも参加者も春の生き物にたくさん出会えて良い時間が過ごせました。

第210回井の頭かんさつ会 実施レポート

タイトル  樹皮と樹形に見る木の履歴

■実施年月日 2024年2月18日(日)10時~12時

■参加者数  一般参加者 23名(大人 21名、 子供2名)

              井の頭かんさつ会スタッフ 11名

■実施場所:  井の頭公園駅下集合 → ボート池北岸 → お茶の水池北岸→ 梅園

→ 御殿山 → 万助橋付近

■実施レポート:

 冬は落葉樹が葉を落として見通しが良くなるので、樹形を観察するのにぴったりな季節です。今回は樹皮と樹形を観察し、そこからその木の過去を推理するという謎解き企画です。幼児には難しい内容なので、小学生以上を対象としました。

 まずは木の成長の基礎(光を求める、頂芽優勢など)を説明し、木の種類によって成長の仕方が変わるために基本となる樹形が異なることを観察しました。七井橋からはたくさんの木々の樹形が観察できました。樹皮も木の種類によって異なり、ムクノキは縦に剥がれる、ケヤキは鱗状に剥がれる、エノキは像の足のよう、と公園の木々を見分けていきました。

 公園の中の様々に曲がった木を観察しました。池畔で池に倒れ込んだソメイヨシノは倒れた理由の推理や、倒れても反対側から引っ張って支えている説明に参加者は楽しそうで、自分の推理を言う場面もありました。万助橋付近の第一駐車場近くのコナラは幹や枝が複雑に曲がり何度も環境が変わったことが推察されます。近くの木や切り株から昔の環境、駐車場ができる前の環境などを想像して、そのコナラの履歴を参加者と話し合いました。

第209回井の頭かんさつ会 実施レポート

テーマ: 照葉樹からのメッセージ 照葉樹を見分けよう!

■実施年月日 2023年1月28日(日)10時~12時

■参加者数  一般参加者 21名(大人のみ)

■実施場所:井の頭池周辺、第二公園、玉川上水沿い

■実施レポート

今月の観察会のテーマは照葉樹です。照葉樹とはシイやカシ、ツバキなどの葉の表面がテカテカしている常緑の広葉樹です。井の頭公園周辺の自然植生としては照葉樹林となり、本来、非常に身近な樹木ですが、どれも似ていてとっつきにくいので、識別点を理解して、知り合いになるのが目的です。まず、狛江橋の南のエリアで、互生・対生/全縁・鋸歯縁といった樹木の見分け方の基礎を習得して、資料を基に一般的な10種ほどの見分け方を学習しました。街中の樹木も見つつ、第二公園を通って、玉川上水エリアに行き、実際の観察を行いました。幸橋からほたる橋までの区間の玉川上水両岸の照葉樹をつぶさに観察して、分類していきました。「難しい」と言いながら、最初は戸惑っていましたが、多くの参加者は最後には自分自身である程度同定できるようになりました。玉川上水の木々に親しみを持てるようなったようで、ある程度照葉樹からのメッセージが読み解けるようになったと思います。

第208回井の頭かんさつ会実施レポート

生き物たちの冬ごし

実施年月日 2023年12月23日(日)10時~12時

参加者数  一般参加者 19名(大人14 名、子供5名)

実施場所: 井の頭公園駅下集合 →ボート池南岸→狛江橋南岸→第2公園→玉川上水→小鳥の森

実施レポート:
年末の寒い中にも関わらず、親子も含めて多くの人が参加してくれました。今回はボート池尻に集まる冬ガモを観察するため、井の頭公園駅下広場からスタートしました。この時期アキニレに小鳥がいることも多いのですが、当日はいなかったので(全体的に小鳥は少なかった)鳥の冬の食べ物探しの話をしました。ボート池尻でエノキの木の下にカモが群れている様子を観察し、ラクウショウの梢でカワウが繁殖している様を観察して、鳥にとっての冬の意味を考えました。トモエガモを見つけた子供は嬉しそうでした。第2公園では、越冬中の昆虫を探し、小鳥の森南側では越冬中のウラギンシジミを探すといった、参加者が自ら見つけることもできて良かったです。子供よりも大人の方が積極的だったシーンもあり、楽しく進行できました。

実施写真:

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第206回井の頭かんさつ会 実施レポート

テーマ: 木の実・草の実

■実施年月日 2023年10月28日(日)10時~12時

■参加者数  一般参加者 24名(大人18名、子ども6名)

■実施場所:井の頭池周辺、第二公園、御殿山

■実施レポート

秋晴れの日、大人も子どもも井の頭公園の秋の恵みを楽しました。今月の観察会のテーマは木の実・草の実です。その中でも、これらの実の散布方法(種を運ばせる方法)について、観察しました。今回の主役は、どんぐりなど動物に運ばせて埋めてもらって、食べ残しが芽を出す貯食散布種子、動物にくっついて運ばれる「ひっつき虫」と呼ばれる付着散布種子、風に乗って運ばれる風散布種子たちです。参加者は興味津々でドングリを拾い集め、“ひっつき虫”を衣服にくっつけたり、風散布の種子を飛ばしたりして、楽しみながら、自然の不思議を探求しました。特に子どもたちはドングリが大好きで、興奮しながら拾い集め、大人たちはひっつき虫の付着の構造に好奇心を刺激させ、楽しんでいるようでした。
この観察会は自然を身近に感じ、その不思議に触れる貴重な機会となりました。自然界の小さな驚きが、参加者一人ひとりの心に深い印象を残したことでしょう。また、木の実や草の実に触れることによって、何かほっこりする安らぎが伝わってきました。

参加頂いた永井明子さんが、かんさつした内容を素敵なイラストにしてまとめて下さいました。
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第207回井の頭かんさつ会実施レポート

■タイトル 木の葉のカタチ

■実施年月日 2023年11月26日(日)10時~12時

■参加者数  参加者 25名(大人21 名、子供4名)

■実施場所: ボート乗り場前集合 →狛江橋南岸→お茶の水池北岸→御殿山→西園

■実施レポート
事前の天気予報では曇りでしたが、当日はうっすらと霧雨が降る時もある肌寒い朝でした。雨が強くなったら途中で中止することにして、予定通りスタートしました。
 今回は葉の形の意味を考えます。葉の大きさの意味、葉が裂ける意味、針葉樹の葉はなぜ細いのか、諸説あって難しいけれど、実際の葉を観察しながらなぜそんな形をしているのかを考える企画です。でもそれだけでは難しすぎるので、いくつか似た形の葉を見分けることをイベント的に楽しめるように考えました。分類上は大きくちがうのにイイギリとアカメガシワの葉の形が似ていることを観察し、イロハモミジとオオモミジの違いなどを観ました。意外にハナノキとトウカエデが見分けづらいと感じる参加者が多いようでした。またエノキとムクは触れば区別がつくものの、形だけで見分けるのが難しいことも参加者と一緒に発見しました。
 最後に西園のホオノキを観ました。大人にとって木の名前は聞いたことがあっても見た人はすくなかったです。子供にとってはとにかく大きな葉でびっくりして楽しかったようです。

参加頂いた永井明子さんが、かんさつした内容を素敵なイラストにしてまとめて下さいました。
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