第138回井の頭かんさつ会レポート

第138回井の頭かんさつ会

タイトル 実りの秋〜木の実 草の実いろいろ〜

■実施年月日 2016年10月9日(日)10:00~12:00

■参加者数  一般参加者 17名(大人11名、子ども6名)

案内人 井の頭かんさつ会スタッフ9名

■実施場所: ボート乗り場前(集合)→井の頭地区公会堂(実施および解散)

■実施レポート (作成:第138回企画担当 村上 健太)

秋雨前線の通過による雨が朝から降り始め三鷹市に雷注意報が出たため、室内でのスライドや事前に用意した木の実草の実を観察する屋内プログラムに変更しましたが、荒天などによるキャンセルが相次ぎ、参加者は申し込みの半分以下の17名となりました。

しかしながら、この17名の意欲は高かったです。最初の40分ぐらいは木の実の画像スライドや動画を用いて、井の頭公園の木の実草の実を説明しました。その後調理・アク抜き加工をしておいたカヤの実、マテバシイのクッキー、スダジイなどを希望者に食べていただきました。(ナッツアレルギーの他、クッキーの乳・卵・小麦粉アレルギーの注意喚起を行いました。小麦アレルギーのお子さん一人は食べなかったです。また手の消毒のため、アルコール除菌ティッシュを用意しました)

その後、様々な木の実草の実を4つのテーブルで観察しました。トチの木はアク抜きすれば栃餅などに加工して食べられるが、生での食用には向かないと説明すると、「せっかくなので食べてみたい」という参加者が多かったので、ほんの少しずつ食べてアクの強さを体感して頂きました。またガマズミやムクなど食べられるものは食べてみたいと意欲的な参加者が多く、自己責任の上食べていただきました。(事前にガマズミなど食べられる実とヨウシュヤマゴボウなど有毒な実について説明しました)

参加者は食べる以外でもイロハカエデの実が回転しながら落ちる様や、イイギリの実には多くの種が入っていること、ヤブランの実が思ったほど弾まないなど、実際に実を触ったり分解したり、投げてみたりと、様々な角度から実に接して楽しんでいました。

 

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雨だったので、実際に実がなっているところは観察できませんでしたが、逆に腰をおちつけてじっくりと種の様子を観察できました。参加者の一人が「屋内での観察は集中できることが良いですね」と言っていたことが嬉しかったです。ただ見る・観察するだけでなく、割ってみたり、つぶしてみたり、匂いを嗅いでみたり、食べてみたりと自然に対して五感を使って接することができたので、参加者の皆さんの自然体験の幅が広がったのではないかと思い、もっと自然や井の頭公園を好きになってくれることを期待したいです。(ただし通常は公園での植物採取は禁止であると事前にお伝えしています)

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第137回井の頭かんさつ会レポート

第137回井の頭かんさつ会

■タイトル:「クモ―その神秘な世界をのぞく―」

■実施年月日: 2016年9月17日(土)10:00~12:00

■参加者数  一般参加者 16名(大人12名、子ども4名)

案内人 井の頭かんさつ会スタッフ10名

■実施場所: ボート乗り場前(集合)→ 弁天池北岸 →お茶の水手前

→御殿山 →玉川上水 → 小鳥の森(解散)

■実施レポート (作成:第137回企画担当 佃 和夫)

今回は2度目、2年ぶりのクモをテーマの観察会でした。都合で2班だけの編成にせざるを得なくて普段よりは少なめ、参加者は3名の欠席者を除き16名でした。

幸い好天に恵まれ、様々なクモに出会えました。まずオープニングでクモの体や雌雄の見分け、網の様々など観察に必要な基本事項をごく短時間で解説してから出発しました。

ギンメッキゴミグモの銀色に輝く背中(腹部)と精巧で美しい円網に目を見張る参加者が多かったです。網のいろいろなタイプすなわち縦の正常円網、水平円網、一見でたらめのようで、実は巧妙な仕掛けの不規則網、ヒラタグモの受信アンテナつき網のなどを見ていただきました。観察のかたわら誤解されることが多い。本当のクモの生態を解説し、クモが農業益虫としても活躍していること、なども実物を見ながらおはなししました。

観察できたクモのうち主なものは、ジョロウグモ、

ズグロオニグモ、ギンメッキゴミグモ、

アシナガグモ、シロカネグモsp、ヨツテゴミグモ、

コガタコガネグモ、

ウズグモ(以上は円網を張るクモ)、チリイソウロウグモ、シロカネイソウロウグモ(以上は円網に居候)、ヒメグモ、オオヒメグモ、クサグモ、コクサグモ、(以上は不規則網や棚網)ジグモ、キシノウエトタテグモ(以上は地中性のクモ)受信糸網のヒラタグモ、条網を使うオナガグモおよび徘徊性のハエトリグモの仲間も数種類やササグモも見ることができました。

クモというと普段は何となく遠ざけていたり、嫌っている人が多いようです。しかし何人もの参加者が目から鱗で誤解が解けたと述べられ、この観察会によってクモのよき理解者になって頂けたことと思います。そしてクモの巣はクモが蚊やハエを捕らえてくれる道具であり、それがあることは「だらしないこと」や「汚れ」の象徴ではなく風景の一つと理解いただけたと思います。

 

 

 

第136回井の頭かんさつ会レポート

第136回井の頭かんさつ会レポート

「植物と動物の夜の不思議」

日時:2016年8月13日(土)18:30~20:30

主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所
案内
村上 健太(NACS-J自然観察指導員)
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
高久 晴子
日置 日出男(森林インストラクター)
上村 肇
佃 和夫(NACS-J自然観察指導員)
中村 芳生(NACS-J自然観察指導員)

参加者57名(大人31名、子供26名)

レポート

8月恒例の夜の観察会は今年も大人気です。総勢68名の大集団となりました。これを4つの班に分けて、班ごとに違う色のライトリング(発光する腕輪)をつけて出発です。(ライトリングは7歳以上対象の商品のため、未就学のお子さんには夜光塗料のシールを貼った首かけ飾りをお渡ししました。)
ボート乗り場からスタートして七井橋に移るとじきに暗くなり(当日の東京の日没は18:33)、ハトがねぐらに帰る一方で夜行性のゴイサギが活動を始めるという、鳥の交代劇が見られました。参加者からは「昼間いるカモはどこで寝ているの」と突っ込んだ質問がでるなど、関心の高さを感じました。
足下の橋の欄干ではズグロオニグモが網を張って獲物を待ちます。昼間に一定の区画の網を取り除いておいたので、網を張る途中のクモや張りたての網を見ることができました。張りたての網は綺麗な円形で、その美しさに参加者は感心していました。
1週間前の下見では、水面をライトで照らすとミジンコなどのプランクトンが集まり、それに引かれてモツゴなど魚も集まったので本番でもやってみましたが、思うように集まりませんでした。その理由は水温?水の透明度?正解はわかりませんが、参加者と一緒に考えて生き物の不思議を実感できました。
暗くなるとアブラコウモリが飛び回り始める時刻です。コウモリを初めて見たという参加者や、見てはいたけれど蛾だと思っていた方もいて、今回の観察を通じて夜の生き物に対する体験が広がって良かったと思います。
夜に花が咲くカラスウリは注目の観察対象ですが、他の木々を覆ってしまう雑草です。公園事務所に今回の観察会のためにカラスウリを除草しないでいて頂いたため、きれいな花を観察できました。レースのような繊細で美しい花を初めて見たという大人の参加者も多く、「普段通っている道なのに全然気づかないけれど、改めて観察するといろんな生き物がいることが分かった」と嬉しい感想を聞くことができました。
カタバミの就眠運動といった、昼夜で変化する植物も観察しました。
観察最後の山場は御殿山や第二公園でセミの羽化観察です。今年は例年より実施時期が遅かったからか羽化するセミの数が少なかったですが、それでも羽化のために木に登るもの、上半身だけが出て来たもの、翅を伸ばし途中のものなど何匹も見つかり、それぞれの班がじっくりと観察できました。羽化のための木に向かう幼虫に対して参加者のお子さんが声援を送る姿は微笑ましいものでした。御殿山でも第二公演でも特定の木で多く羽化が行われるようで、それはなぜかという疑問も出てみんなで理由を考えました。
御殿山から第二公園に移動する途中の玉川上水では、ライトを消して暗がりを体験しました。街灯に照らされた夜しか知らない子供たちは、最初怖々でも大人の手を握って歩きました。生き物ではないですが、子供にとって暗がりを体験する良い機会になったと思います。
今回の参加者は小さなお子さんが多く、夜の井の頭公園に初めて来た子が多かったように思います。子供にとって、昼と夜の環境が違うこと、昼とは生き物がいることをまず体験してもらえたことが良かったです。大人の方で普段から夜の公園を通っている人でも夜に自然観察をしたことがある人は少なく、カラスウリやコウモリを初めてみたという声が聞かれ、参加者の自然体験の幅が広がったことを嬉しく思います。

(村上)

 

第135回井の頭かんさつ会レポート

135回井の頭かんさつ会

■テーマ:かいぼり後の井の頭池 ~どう変わったか~
■実施日時:2016年7月24日(日曜日)10時~12時
■参加人員:大人29名 子供11名

スタッフ15名(かんさつ会班10名、保全班5名)

■場所:井の頭池(お茶の水池・ボート池・ひょうたん池)
(作成:第135回企画担当 村上 健太)
 2度目のかいぼりを経て5ヶ月経過する井の頭池では、その間にイトモの群落が見られたりカイツブリやカルガモ・バンといった水鳥が営巣・繁殖するなど目立った変化が顕著でした。
かいぼりの基本を踏まえてその効果を見るだけで無く、体験して頂くことをテーマに今回のかんさつ会は企画しました。そのため池の中に何がどれだけいるのかを網やワナを使って捕獲することに時間を割きました。
ボート池の北岸ではお魚キラーに練り餌を入れて数分たつと、大小様々なモツゴが十数匹捕れました。
またひょうたん池に前日から準備した張り網にはさらに多くのモツゴ・スジエビ等が入っており、参加者の皆様も感嘆の声を上げていました。この日に捕獲されたモツゴの総数は380匹以上でした。
但し、喜んでばかりは居られません。張り網には60匹ものブルーギルの稚魚が入っており、外来魚との
戦いがこれからまた本格化することを意識せざるを得ませんでした。
またイノカシラフラスコモについても参加者の関心は高く、写真を使った解説でも改めてその復活に驚き喜ぶ方や今後の維持管理を心配される方等がいらっしゃいました。
かいぼりによって井の頭池が良い方向に向かっているのは理解頂けたと思いますが、一朝一夕には理想型にはならないこともまた充分判って頂けたと思います。
今後の池の変化をよく見て次回のかいぼりに活かしてていくことが大事ですので、興味を持ち続けて下さいと最後にお願いしました。

第134回井の頭かんさつ会レポート

第134回井の頭かんさつ会

テーマ:変形菌 ふしぎな生きもの

■開催日時:2016年6月26日(日)9:00~11:30

■参加者数:一般参加者 31人(大人23人、子ども8人)

スタッフ 11人(外部協力者2人を含む)

 

■場所:自然文化園分園前~弁天池畔~井の頭地区公会堂~井の頭第二公園~小鳥の森

 

■実施内容:(作成:第134回企画担当 高野 丈)

変形菌類の観察と入門講座を実施しました。

最初に弁天池畔で観察し、ウツボホコリ、シロウツボホコリ、クモノスホコリ、シロエノカタホコリを観察するグループと、ツツサカズキホコリが群生しているのを観察するグループに分かれ、ローテーションしました。最初に実物に触れておくことで、そのスケールの小ささや、野外でどんな感じで出ているかを実感してもらいました。

井の頭地区公会堂へ移動し、パワーポイントを使って、変形菌はどういう生物かをレクチャーしました。「菌」とついても、菌類や細菌とは分類も生活史もまったく異なる生きものだということがポイントでした。

レクチャー後、第二公園へ移動し、観察を実践しました。落ち葉がたまっている個所を中心に探し、参加者自身で見つける楽しさを体験してもらいました。シロエノカタホコリ、ガマグチフクロホコリ、キミミズフクロホコリ、ホネホコリ、バークレイホネホコリ、シロジクキモジホコリや種不明の変形体が次々に見つかり、参加者は一様に喜んでいました。

後半は小鳥の森で観察。ヒメカタホコリ、コシロジクキモジホコリ、褐色のサカズキホコリ、外部協力者でもすぐに同定できない不明種などが追加で見つかり、虹色の光沢がある人気種、ジクホコリを最後に観察して終了時間を迎えました。

本企画では、ふしぎな生きものである変形菌が身近にたくさんいることを知ってもらい、自身で発見する喜びを体験してもらうことがねらいでしたが、実践できたと思います。また、色形がおもしろく、小さいので非日常に感じるかもしれないが、変形菌を観察することは決してマニアックな趣味ではなく、生態系の中で分解者を捕食してバランスをとっている重要な役割のある生きものを知るこということをお伝えしました。楽しみながら、生態系を実感する。それが実践できたと考えています。

第132回井の頭かんさつ会レポート

第132回井の頭かんさつ会

タイトル 春色観察会 ~春のお花観(はなみ)~

■実施年月日 2016年4月17日(日)10:00~12:00

■参加者数  一般参加者 34名(大人30名、子ども4名)

■実施場所: ボート乗り場前(集合)→井の頭池北岸 →野草園 →井の頭地区公会堂

■実施レポート(作成:第132回企画担当 小町 友則)

春恒例の花を愛でる観察会ですが、今年は天候に祟られ、開始直前からパラパラと大粒の雨が降ってきました。また、風が強く、落枝による事故も心配されるため、安全に配慮して、室内での雨天プログラムを実施することにしました。ただ、雨がひどくない内に池の西半分を周り、春の色を観察しながら井の頭地区公会堂へ向かうことにしました。

 

この時期の井の頭公園は、ハナミズキ、ツツジ、ヤマブキなどの樹木の花、イチリンソウ、ニリンソウ、イカリソウなどの野草園の草花、ハルジオンやハルノノゲシといった雑草の花など多くの花が咲き誇っており、予定したルート上だけで、約50種の花が咲いています。今回のテーマは春の色です。花も色とりどりですが、それに加えて、この時期は何と言っても新緑の緑です。新緑に多様な色があることを見て頂き、日本の伝統色と合わせて話をしました。また、春の芽出しには、紫外線から植物を守るため、赤い色の葉や芽がみられます。そういった様々な色を足早に眺めながら、井の頭地区公会堂へ向かいました。

 

室内プログラムの第一部は、この時期に見られる約50種の花について、一つ一つ写真で見て、解説を行いながら、白い花、黄色い花、赤またはピンク色の花、青または紫色の花、その他の色の花の5種類に分け、何色の花が多いか、調査をしてみました。一番多かったのが、白の花で16種ありました。その次が黄色の12種、赤またはピンクと青または紫色は8種程度でした。

 

室内プログラムの第二部は、人間の目では識別できない紫外の領域で数多くの花を撮影した写真を可視光の写真と対比させて見て頂きました。黄色い花の多くが、紫外でコントラストが強いことが分かりました。

 

室内プログラムの最後は、予め採取した花をグループ単位でじっくりと観察し、花のしくみや虫との関係などを考えてみました。

 

 

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今回は雨天プログラムを実施しましたが、短時間とはいえ、外で花を観察し、その後、講義で詳しく解説し、手に取って理解することは、非常に分かりやすかったと、参加者からコメントを頂きました。

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第130回井の頭かんさつ会レポート

第130回井の頭かんさつ会 

タイトル かいぼり中の池底

■実施年月日 2016年2月21日(日)10:00~12:00

■参加者数  一般参加者:46名(大人34名、子ども12名)

案内人:井の頭かんさつ会スタッフ12名+保全活動班補助2名

■実施場所: ①野外ステージ(集合)→②かいぼり屋 →③七井橋 →④弁天池底(弁天堂付近) →⑤お茶の水橋〜雨情碑(池底) → ⑥サギ島〜七井橋(池底)→⑦野外ステージ(解散)*全体5班のうち2班は②〜⑥を逆回りに実施。

■実施レポート (作成:第130回企画担当 村上 健太)

かいぼり中の池底に入る今回は市民の関心が高いからか、50名の定員が募集開始からわずか2日で満員となりました。前日までの荒天で開催が危ぶまれましたが、開催を願うスタッフと参加者の願いが届き、何とか雨が上がって実施できました。

まず最初に”かいぼり屋”の前でかいぼりの説明をしました。概要はもちろんですが、何のために行っているのか、どうして生き物を池に放ってはいけないのかを説明しました。井の頭公園の本来の生態系を守るために、国内であっても井の頭池以外の生き物を放つことはいけないと強調しました。

七井橋の上から泥に残る生き物の足跡を観察しました。前日までの雨で多くは消えてしまいましたが、カモやカメの足跡が残っていました。子供さんに「カモの足には足ヒレがあるよ、だから水をかいてスイスイ泳げるんだ」と体の構造と行動の関係を説明すると、興味深げな反応を返してくれました。

今回の観察テーマの一つは”湧水”です。弁天池に入り、大人の方には湧水のしくみや湧水が枯れたと思われていたけれど実は残っていたことを説明し、子供達も一緒に湧水の起点を探しました。「ここで砂が舞って湧いている!」と歓声が上がります。これが神田川の源流だと説明すると、納得した顔の反応を返してくれました。前日の雨の影響か、湧水付近の水温が約14度と通常の湧き水よりも(前週の下見よりも)低かったのですが、その理由の推察も含めて話すことができました。

続いてお茶の水橋付近からお茶の水池に入ります。護岸のコンクリート板の隙間から伸びる木の根や、水質浄化装置など、普段は水の中にあるものを見ることができ、参加者だけでなく案内人もワクワクしていました。水たまりにはアズマヒキガエルの卵がありました。カエルの卵に初めて触る参加者は大喜びでした。「ヌルヌル」「ひんやりしてる」と感想を言い合っていました。

親水デッキ脇からサギ島の横を通り、七井橋まで歩きました。サギ島横の水路を行くのは、探検をしているようでドキドキします。七井橋横の水草株ではすでに今年の芽がでていたので、水草が増えることを期待していることを説明できました。

 

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池底は生き物が少なかったのですが、それでも池底に入れたことや、普段は見られないものが見られたことに参加者の皆さんは興奮し、満足してくれたようです。単純に池に入るだけでなく、かいぼりの意義や井の頭池の本来の自然・生態系について理解も深まったことと思います。

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第129回井の頭かんさつ会レポート

第129回井の頭かんさつ会

■タイトル  「冬の野鳥観察を楽しもう」

■実施年月日 2016年1月17日(日曜日)9:30~12:00

■参加者数  一般参加者数 46名(大人39名+小人7名)

井の頭かんさつ会スタッフ13名+保全班1名 計60名

  • 実施場所 井の頭公園駅前~池尻~ボート池~七井橋~お茶の水池~御殿山~松本訓導碑
  • 実施レポート(作成:第129回企画担当 高野 丈) 葉が落ちて観察しやすいのがこの季節。やぶにこもりがちなウグイスがもろに出てきたり、求愛行動が活発になってきたアオゲラをじっくり観察できたりしました。2時間30分の観察会はあっという間に終焉へ。各班、充実した観察ができたという声がリーダー、参加者両方から出るなど全員で楽しむことができた会でした。
  • このところ続いていた好天が下り坂になるという予報に空模様を心配しましたが、晴天率9割以上を誇る当会の晴れパワーは健在でした。参加者スタッフ計60名を高野、小町、中村の3班に分け、井の頭公園駅下を出発。会が始まる前から多くの人が観察していた、アキニレやサワラの実を食べるカワラヒワをあらためて観察。トウネズミモチの実を食べるヒヨドリ、アキニレの実を試して流したシジュウカラ、それぞれ植物と鳥の関係を考えました。池尻では繁殖放棄したてのキジバトの巣の構造を確認し、キセキレイをじっくりと観察。そして、餌やり自粛キャンペーン以来まとまった数が飛来しているユリカモメ軍団。もう10年近く、年間に1羽出るかどうかという状況が続いていました。それが、今回かいぼりのために池の水を抜いている状況をどこで知ったか、30羽ほどがやってきました。そして、水が少なくなった池で魚を捕食したり、オオバンが捕らえた魚を横取りしたり、やりたい放題。カワウもスゴイ勢いで魚を捕食しているので、かいぼりの前に魚類が喰い尽されてしまうのではという冗談が出るほどです。オオバンも今まで最高で3羽だったものが、今シーズンは10羽ほど来ています。お茶の水池の水が抜けてくると、潜水して暮らしているカイツブリやキンクロハジロは姿を消しました。そのように、環境が変わると鳥たちに動きが出ることを参加者と一緒にじっくり観察しました。
  • 129回目の井の頭かんさつ会では、新たにかんさつ会に加わった中村芳生さんがリーダーデビューしました。以前は常連の参加者だった方です。熱心なリピーターがかんさつ会メンバーに加わるという流れは、当会の伝統のようになっています。このように仲間の輪が広がり、新たな参加者を迎えるという流れは、かんさつ会の目的の一つである生物多様性保全の普及啓発の上で理想的だと考えています。

第128回井の頭かんさつ会レポート

第128回井の頭かんさつ会レポート

「生き物の冬越し」

日時:2015年12月13日(土)10:00~12:00

主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所
案内
村上 健太(NACS-J自然観察指導員)
高久 晴子
小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
佃 和夫(NACS-J自然観察指導員)
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
佐藤 誠(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
日置 日出男(森林インストラクター)
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
大橋 博資

参加者30名(大人23名、子供7名)

レポート

冬は太陽の光が弱く気温が低いため、生き物にとっては暮らしにくい季節ですが、植物も動物もそれぞれの方法で適応して冬を乗り切っています。今回は生き物の中でも昆虫をメインに観察し、冬でも昆虫が見られることを実感していただこうと企画しました。 常緑で冬に花を咲かせるヤツデには様々な昆虫やクモが集まります。常緑というだけでなく、大きな葉で太陽の光を浴びるので、周りの木々よりも少し暖かいのです。葉をめくるとヨコバイ類やチャタテムシ類、カイガラムシ類などたくさんの小さな昆虫やクモがみつかります。参加者は楽しそうに葉をめくって虫を探しました。特に子供さんは嬉々として葉をめくり、いろいろな虫を見つけていました。 日本庭園の東屋にはオオミノガのミノムシがいました。5年ぐらい前には寄生バエの影響で生息数が激減したこと、さらにここ数年では、その寄生バエに寄生するハチにより、オオミノガの数が回復しつつあることを説明すると、自然の複雑さに参加者は感心しきりでした。 オオミズアオの繭が隠れている木の隙間を観察した時には、昆虫は寒さや風を防ぐため、または鳥などの天敵に見つからないために落ち葉の下やいろいろな隙間に入り込もうとすると説明しました。サシガメの幼虫もクヌギカメムシの卵塊も、隙間や影になる場所を選んで冬越しします。自然の叡智に興味が広がります。 当日は小雨が降ったり止んだりと気温が低い生憎の天気だったので、クロスジフユエダシャク雄が飛んでおらず、参加者と一緒に探しました。冬に繁殖するためだけに羽化してくる虫の話がしたかったので、見つからなくても一通り説明し終わったところで、玉川上水の擬木柵にチャバネフユエダシャク雌が発見されました。通常夜行性の昆虫がまるで観察会のために出て来てくれたような出来事に、参加者だけでなく案内人も興奮気味でした。 観察のクライマックスは小鳥の森南側でウラギンシジミ探しです。成虫で越冬するする小さなチョウが葉の裏に隠れているので、子どもも大人もみんな目を凝らして木の枝を見つめます。「あ!いたいた!」「まだ分からない」とにぎやかに話しながら、ゲームのように楽しむことができました。
 参加者からは「冬でもたくさんの昆虫など生き物がみられるのですね」という感想を頂きました。冬の自然を見る目が変わり、冬の公園の楽しみが増えたことだとうれしく思います。

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第127回井の頭かんさつ会レポート

第127回井の頭かんさつ会 

タイトル  「果実と種のすべて」   ~大きさ・色・かたちのすべて~

■実施年月日 2015年11月15日(日)10:00~12:00

■参加者数  一般参加者19名 (大人16名、子ども3名)

  • 実施場所 ボート乗り場前~七井橋~お茶の水池北岸~藤棚周辺~梅林~弁財天周辺 ~井の頭地区公会堂
  • 実施レポート(作成:第127回班リーダー 日置 日出夫) まず全員に、種・種子・果実・木の実など様々な呼び方をされているが、それはなぜか、どう違うのか、何が違うのか、その違いはなぜかなどについてリーダーから簡単に説明があり、各班ごとに実際の種子の観察がスタートしました。自らは移動手段を持たない植物が、子孫を残し種の保存を図るための様々な方法と工夫(鳥などの動物を利用する種子・風を利用する種子・水を利用する種子・自らの力を利用する種子など)の実物を観察し、驚いたり感心したりの連続です。屋内では、あらかじめ集めておいた様々な種類の種子・種・木の実をグループごとに広げ、各リーダーの説明と実際に手で触り、ルーペ・実体顕微鏡を使っての細かい部分までの観察です。イイギリの小さな赤い実の中にはいくつの種が詰まっているのか?サイカチのさやで石鹸が本当にできるのか?などなどを確かめながら、自然の素晴らしさと楽しさを受け止め、ますます自然を大切にしなければならないこと実感した観察会でした。
  • そんな中でも様々な種子を食べるヒヨドリは種子散布に非常に貢献しているという話や、ヒメガマの5センチほどの小さな房の中に数万の真綿のような小さな種が隠れていて、時期が来ると一斉にあたりが真っ白になるくらいに風に乗って飛び立つ工夫、鳥にたくさん散布してもらうために色と味を工夫しているムクノキなどを1時間にわたって観察し屋内のかんさつ場所に移動しました。
  • まず目についたのは「ハナミズキ」の真っ赤な種子。なぜ真っ赤なのか?構造はどうなっているのか?などについてじっくりと実物を観察します。次に観察した種子は「イロハモミジ」。プロペラのような独特の形はどうしてなのか、実際にどう飛んでいくのか、など、参加者一人一人がわいわい言いながら飛ばし確かめていました。
  • 今にも雨粒が落ちてきそうな天気の中、参加者19名とスタッフ12名の計31名が3班に分かれて定刻にスタートしました。