第136回井の頭かんさつ会レポート

第136回井の頭かんさつ会レポート

「植物と動物の夜の不思議」

日時:2016年8月13日(土)18:30~20:30

主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所
案内
村上 健太(NACS-J自然観察指導員)
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
高久 晴子
日置 日出男(森林インストラクター)
上村 肇
佃 和夫(NACS-J自然観察指導員)
中村 芳生(NACS-J自然観察指導員)

参加者57名(大人31名、子供26名)

レポート

8月恒例の夜の観察会は今年も大人気です。総勢68名の大集団となりました。これを4つの班に分けて、班ごとに違う色のライトリング(発光する腕輪)をつけて出発です。(ライトリングは7歳以上対象の商品のため、未就学のお子さんには夜光塗料のシールを貼った首かけ飾りをお渡ししました。)
ボート乗り場からスタートして七井橋に移るとじきに暗くなり(当日の東京の日没は18:33)、ハトがねぐらに帰る一方で夜行性のゴイサギが活動を始めるという、鳥の交代劇が見られました。参加者からは「昼間いるカモはどこで寝ているの」と突っ込んだ質問がでるなど、関心の高さを感じました。
足下の橋の欄干ではズグロオニグモが網を張って獲物を待ちます。昼間に一定の区画の網を取り除いておいたので、網を張る途中のクモや張りたての網を見ることができました。張りたての網は綺麗な円形で、その美しさに参加者は感心していました。
1週間前の下見では、水面をライトで照らすとミジンコなどのプランクトンが集まり、それに引かれてモツゴなど魚も集まったので本番でもやってみましたが、思うように集まりませんでした。その理由は水温?水の透明度?正解はわかりませんが、参加者と一緒に考えて生き物の不思議を実感できました。
暗くなるとアブラコウモリが飛び回り始める時刻です。コウモリを初めて見たという参加者や、見てはいたけれど蛾だと思っていた方もいて、今回の観察を通じて夜の生き物に対する体験が広がって良かったと思います。
夜に花が咲くカラスウリは注目の観察対象ですが、他の木々を覆ってしまう雑草です。公園事務所に今回の観察会のためにカラスウリを除草しないでいて頂いたため、きれいな花を観察できました。レースのような繊細で美しい花を初めて見たという大人の参加者も多く、「普段通っている道なのに全然気づかないけれど、改めて観察するといろんな生き物がいることが分かった」と嬉しい感想を聞くことができました。
カタバミの就眠運動といった、昼夜で変化する植物も観察しました。
観察最後の山場は御殿山や第二公園でセミの羽化観察です。今年は例年より実施時期が遅かったからか羽化するセミの数が少なかったですが、それでも羽化のために木に登るもの、上半身だけが出て来たもの、翅を伸ばし途中のものなど何匹も見つかり、それぞれの班がじっくりと観察できました。羽化のための木に向かう幼虫に対して参加者のお子さんが声援を送る姿は微笑ましいものでした。御殿山でも第二公演でも特定の木で多く羽化が行われるようで、それはなぜかという疑問も出てみんなで理由を考えました。
御殿山から第二公園に移動する途中の玉川上水では、ライトを消して暗がりを体験しました。街灯に照らされた夜しか知らない子供たちは、最初怖々でも大人の手を握って歩きました。生き物ではないですが、子供にとって暗がりを体験する良い機会になったと思います。
今回の参加者は小さなお子さんが多く、夜の井の頭公園に初めて来た子が多かったように思います。子供にとって、昼と夜の環境が違うこと、昼とは生き物がいることをまず体験してもらえたことが良かったです。大人の方で普段から夜の公園を通っている人でも夜に自然観察をしたことがある人は少なく、カラスウリやコウモリを初めてみたという声が聞かれ、参加者の自然体験の幅が広がったことを嬉しく思います。

(村上)