第78回井の頭かんさつ会レポート

第78回井の頭かんさつ会

『木の実・木の観・木の美』~木の実づくしの観察会~

日時: 2011年11月20日(日) 午前10:00~12:00
場所: 井の頭公園
主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所
案内:
小町 友則(NACS-J自然観察指導員 森林インストラクター)
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
佐藤 誠(NACS-J自然観察指導員)
高久 晴子
日置 日出男
大橋 博資
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
参加者:37名(大人33名、子ども4名)

レポート

今回のかんさつ会は、「木の実・木の観・木の美」~木の実づくしの観察会~をテーマに井の頭公園を巡って、この季節に見られる木の実を徹底的に楽しみました。
配布資料として渡した30種の木の実の写真を手がかりに、本物の木の実を探してみました。実際に探してみると、目が慣れていないため難しいものです。見つけたら、1種ずつその木の実をどんな物(動物)が運んでいるか考えてみました。木の実が緑から赤く熟すのは、緑の葉の色から目立たせるため、鳥に美味しいから食べてと宣伝するためです。運ぶのは鳥だけでありません。カヤやムクロジ、ツバキなどの実は小動物、イチョウは成育していた年代を考えると、恐竜が運んでいたかも知れません。
また、翼がある実は風に乗って出きるだけ遠くへ運んでもらうための構造です。実際に飛ばしてみると、綺麗にクルクル周りながら落下します。中でもトウカエデの種は大きく、とても良く周りました。
もう1つ今回の観察会の大事なテーマがドングリです。井の頭公園には7種のドングリの木がありますが、当日ドングリが見られたのは5種、特に丸くて小さくてかわいいピンオークのドングリは大人にも子供にも大人気で、落ち葉を掻き分けて、みなさん一生懸命探していました。
今回、木の実を探して、拾って、観て(木の観)、その色や形に美しさ(木の美)を感じて、正に木の実づくしの観察会でした。


(レポート:小町、写真:上村)

第77回井の頭かんさつ会レポート

第77回井の頭かんさつ会

「よくわかる!バードウォッチングのポイント秋編」

日時: 2011年10月8日(土) 午前9:30~12:00
場所: 井の頭公園
主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所
案内:
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
小町 友則(NACS-J自然観察指導員 森林インストラクター)
大原 正子
佐藤 誠(NACS-J自然観察指導員)
高久 晴子
日置 日出男
大橋 博資
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
参加者:37名(大人33名、子ども4名)

レポート

77回目の井の頭かんさつ会は恒例・秋の探鳥会です。例年、秋の探鳥会は9月末日に開催していましたが、今季9月のかんさつ会では秋の昆虫を取り上げ、探鳥会は10月上旬に設定しました。今回のテーマですが、「丸の内さえずり館」という施設で同名のタイトル・内容で座学としてのネイチャーセミナーを数日前に開催し、同タイトルのこの会はその実践編ということになりました。実際、セミナーでお誘いした方でかんさつ会に来てくれた方がいらっしゃいました。

爽やかな秋晴れの下、集まった約40名の参加者を3班に分け、秋のバードウォッチングのポイントを3つのステップに沿って案内しました。それは、この時期に雄のカモが地味な姿をしているエクリプスという生態とその見分け方を観る「視点」としてのポイント、夏鳥を探すのに、留鳥をまず探し、その後留鳥を消去法していく「シジュウカラ消去法」という「方法」としてのポイント、そしてこの時期には実のなる樹木に野鳥が集まるという「場所」としてのポイントです。野鳥には羽があって、いつもそこにいるわけではないので観察は運に左右される部分が少なくないですが、だからといって何のアテもなくさまようのではなく、こうしたポイントを知った上で探鳥した方が楽しめるわけです。

今年はやはり季節が遅いのでしょうか。例年なら9月末日頃であるはずの秋の渡りのピークがちょうど今時分に来ているようで、夏鳥は豊富でした。逆に冬鳥の筆頭であるカモの到着は遅く、当日はオナガガモが観られませんでした。(観られたグループもありました。)池ではハシビロガモでエクリプスを観察し、ここ井の頭公園では越冬しないヒドリガモを観察することもできました。森の方ではマミチャジナイを確認し、ポイントであるミズキの木で待っているとキビタキのメスは豊富に現れてくれました。

通常のかんさつ会よりも30分長めに設定した分の時間をたっぷり使い、ゆっくりじっくりと森のポイントで探鳥していると、運が良いことにじっと動かないオオルリのメスを発見。私の班の全員が高級フィールドスコープであるスワロフスキーSTS65HDでしっかりと観察することができました。動物の行動には必ず理由があります。普通せわしなく動く小鳥がじっとしている理由を私は経験から「(ミズキの)種を出そうとしている」と読みました。じっとしていたオオルリは獲物を狙う猫のように頭を下げて前傾のポーズを取り、これは初めて観ましたが、その後スコープを覗いて観察していたご婦人が「種、出しました!」とその瞬間をご覧になって、私の読みは当たりました!

最近、スケジュールが立て込んでいて朝もロクに観察できる時間が取れなかったので、私は案内しつつも、自身も久しぶりにじっくり鳥観する機会でもあり、より参加者と同じ目線でバードウォッチングを楽しむことができた秋の良い日でした。

かんさつ会後は10月恒例の親睦会。私はその後も予定があったので短時間の参加でしたが、田中代表が4日間あく抜きし、炒ってきてくれたカヤの実の美味しさは格別でした。参加者と一緒に秋の爽やかな日を楽しみました。

(レポート:高野、写真:上村)

第76回井の頭かんさつ会レポート

第76回井の頭かんさつ会

「秋の鳴く虫・鳴かぬ虫」 ~昆虫たちの小さい秋を見つけよう~

日時: 2011年9月18日(日) 午前10:00~12:00
場所: 井の頭公園
主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所
案内:
高久 晴子
小町 友則(NACS-J自然観察指導員 森林インストラクター)
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
日置 日出男
大橋 博資
上村 肇
参加者:39名(大人25名、子ども14名)

レポート

「秋の鳴く虫・鳴かぬ虫」と題して行われた第76回かんさつ会でしたが、秋にはほど遠い夏の暑さに見舞われました。
参加者全員への注意事項の一番目には、「水分等を補給して、熱中症対策に対応してください」と、まるで夏のかんさつ会のようなはじまりでした。

はじめに空が開けた明るいお花畑のような場所に移動して、花の蜜を求めて飛び回る昆虫を探しまた。
ツマグロヒョウモンやキチョウがひらひら飛んでいます。よく見ると小さなヤマトシジミやイチモンジセセリの姿も見えます。そんななか、ずんぐりむっくりなクマバチが、ハナ(カク)トラノオの花にしがみついているのが見えます。クマバチは、身体が大きくその花の中には入れません。チョウのような長い口も持っていません。どうやって蜜を吸うのでしょう。よく見るとクマバチは、花の外側から穴をあけて蜜を吸っています。花は、虫に花粉を運んでもらうために蜜を提供しているのですが、クマバチの吸い方ではハナトラノオは大損をしてしまうのです。萩の花では、クマバチも正面から頭を入れてちゃんと蜜を吸っていました。
リーダーの解説に参加者のみなさんは、耳をすましているようでした。
次の舞台は、原っぱです。原っぱの上では、アキアカネやウスバキトンボが飛び回っていて、秋を感じさせてくれました。
夏の間伸びた野草は、大人の腰のあたりまであります。そんな草むらにはたくさんの虫がいるはずです。そこで、参加者全員で大きな人の輪を作り、その輪をだんだん小さく狭めて虫を集める実験をしました。みんなの息をあわせて、さらに輪を小さく小さくしていきます。すると、原っぱに隠れていた虫たちも小さな輪の中に集められてきます。真ん中に置いてあったシートの大きさにまで輪が小さくなると、たくさんの虫たちが飛んだり跳ねたりして、誰かの背中や頭に虫がくっつきました。子供の参加者は、声をあげて大興奮です。
見つかった虫は、トノサマバッタ・ショウリョウバッタ・ホシササキリなどです。トノサマバッタを中心に、バッタの仲間の解説を話しました。参加者は、炎天下にいることを忘れるほどの集中力で聞いていました。かんさつ会での虫捕りは公園の許可をいただきました。もちろん、捕まえた虫は観察してから放しました。
一転してちょっと暗い、ひんやり涼しい林のなかにきました。
そんな環境にいる虫は、目より耳をたよりに生活しています。また、葉の影や石の裏などの見つかりにくいところに潜んでいるのです。つまり、鳴き声(?)はすれども、姿が見えないのです。そこで炎天下のなかを傘を持って歩いていたスタッフの活躍する場面がきました。傘を開き逆さまにして草や木の葉のしたに置き、その上の葉をゆらします。すると、細かい虫がたくさん落ちてきます。その中に、声は聞こえるけれど姿がみえない昆虫の一つ、カネタタキがいました。実際にみると鳴き声のわりに小さい虫で、翅が退化していることがわかります。
また暗い地面にはエンマコオロギの姿も見つかりました。トノサマバッタの脚の形との違いが、暮らしぶりによることがわかりました。
参加者のみなさんには、鳴く虫・鳴かぬ虫、日向にいる虫・日陰にいる虫など、様々な環境でいろいろな虫が生活していることが少しわかっていただけたのではないでしょうか。


(レポート:大橋、写真:高野)

第75回井の頭かんさつ会レポート

第75回井の頭かんさつ会

「ナイトウォッチング」 ~夜の生きものの神秘に迫る~

日時: 2011年8月13日(土) 午後6:30~8:30
場所: 井の頭公園
主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所
案内:
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
高久 晴子
佐藤 誠(NACS-J自然観察指導員)
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
参加者:37名(大人27名、子ども10名)

レポート

まったく風がなく蒸し暑い夕暮れの御殿山雑木林はヒグラシの大合唱に包まれていました。欠席も多かったものの、定員を超える数の参加者が集合し、恒例の夜のかんさつ会が始まりました。

夜の雰囲気を十分味わえるよう、三班に分かれてコースを進みます。まず弁天池へ下りると、開き始めたカラスウリの花が迎えてくれました。弁天橋では、明るさが残る空を飛び交うコウモリが見えました。彼らは超音波レーダーを持っているので、暗闇で虫を捕ることができます。超音波を人が聞こえる音に変えてくれる装置「バット・ディテクター」でコウモリが出しているパルスを聞いたら、コウモリがしていることがさらによく分かりました。橋のたもとでは、虫を捕りに出てきた大きなヒキガエルに出会いました。

再び雑木林へ戻り、夜活動している生きものを探しながら、ジブリ美術館の前まで進みます。羽化する場所を探して歩いているセミの幼虫や羽化途中のセミが随所で見つかったし、大きなミミズを夢中で食べている二匹のオサムシ、高い幹で休んでいる何匹ものカタツムリ、幹を歩いているカミキリムシ、ササの葉上で鳴いているウマオイ、羽化直後のオオミズアオなどが次々に見つかりました。目の数が多い利点です。誰かが見つけて声を上げると、すぐにそこへ人が集まります。携帯で連絡を受けた他の班もやって来ます。子供も大人も、初めて見る神秘的な光景の連続に皆興奮気味です。そんな雰囲気を感じてか、最年少参加者の1歳児も元気に歩いていました。

クヌギの樹液に来ていたカブトムシとたくさんのゴキブリ!に驚き、葉を閉じて眠っているネムノキの姿を確認してから、セミの羽化観察の名所、第二公園へと向かいました。そこでセミの”イナバウアー”(脚を抜くために上体を反らす姿勢)を楽しんだところで時間切れとなりました。昼に同じ場所を見ると、生きものたちにとっての夜の意味がさらによく分かりますという話でまとめ、次回第76回「秋の虫」のお知らせをして、解散としました。用意した題材は消化できませんでしたが、いちばん楽しい「自分で発見する喜び」に満ちた観察会になったと思います。

 

その後の親睦会に向かう途上、親睦会参加者や同じ方向へ帰る人たちと池へ戻り、完全に開花したカラスウリなどをさらに楽しみました。

親睦会は吉祥寺駅前の店で、18名が参加して行われました。汗をたくさんかいた身体に染み込むビールのおいしかったこと! この恒例行事もやめられませんね。もちろん、普段ゆっくり話す機会がない参加者とじっくり情報交換できたのがいちばんよかったことです。

ところで、かんさつ会の累計参加者数が今回で2千人を超え、2,032人になりました。これまでご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。今後も、身近な自然の面白さと大切さをできるだけ多くの人にお伝えするため、井の頭かんさつ会は頑張ります。
(レポート:田中利秋、写真:高野・高久)

第74回井の頭かんさつ会レポート

第74回井の頭かんさつ会

「基礎からわかる!池の生きもの」~魚からプランクトンまで~

日時: 2011年7月24日(日) 午前10:00~12:00
場所: 井の頭公園
集合: 午前9時45分 井の頭池ボート乗り場前
主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所
案内:
大原 正子
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
小町 友則(NACS-J自然観察指導員・森林インストラクター)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
高久 晴子
佐藤 誠(NACS-J自然観察指導員)
日置 日出男
大橋 博資
参加者:19名(大人14名、子ども5名)

レポート

台風が猛暑を一緒に連れ去って、暑さがちょっと一息ついた観察会日和でした。
テーマとしては地味な一般受けのしにくいものでしたが、池の生きものに興味を持つ参加者たちが、井の頭池に集合しました。

今回は参加者もスタッフも息つく暇も無いほど実に盛りだくさんの内容~!

まず、お茶の水池北岸の石畳デッキの水辺でウェーダー(胴長)を着用したスタッフが、サデ網で「ガサガサ」とやると、水中に張り出た柳の樹の根っこの下から隠れていた小さなエビたちや小魚たちがサデ網の中に入り、参加者たちはびっくりです。
別のスタッフがそれらの生きものたちをケースに入れると、皆ルーペでしっかりと観察。スジエビとテナガエビはどこが違うのかな?

分園中門前では、大きなシートの上に座って、全員で煮干しの解剖に挑戦です。煮干しは生の魚の代わりとなる優れた教材で、その解剖は小学校高学年向けに開発された実習なのです。
参加者達は魚に関するいろいろな解説に耳を傾けながら、小さな煮干しの頭を指でそっと割り、中から出てきた小さな脳みそや耳石や心臓などをルーぺで確認。白いゴマ粒のような耳石を見つけると、「これですか~?」と。

次は、スタッフが捕獲した大きなブラックバスやブルーギルを見てまたもやびっくり。そこで外来魚問題についてのレクチャー。
子ども達は、バスやギルを手で触ってワイワイキャーキャー大はしゃぎです。なにしろバシャバシャ跳ねる大きな魚を手づかみしたのは皆初めてのことだったのですから。
さらに、普段見慣れているコイを弁天橋の上から双眼鏡を使って観察し、学んだことを確認しました。

最後は池の微細生物=プランクトンの登場です。始まる前にスタッフが池の水を採取し、さらにそれを濃縮し、目指す物を探し出してプレパラートに載せて、さあどうぞ、と待ち構えていました。参加者達は慣れない顕微鏡にワクワクしながら、息を詰めてミジンコやクンショウモなどを覗き込みました。

池には、食物連鎖の底辺を支える微細生物から頂点にたつ大きな魚たちまで、実にいろいろな生きもの達が棲息しています。
今回見られた生きもの達はそのごくごく一部でしたが、2時間の観察会はあっという間に過ぎてしまいました。

これからは池や湖などをを見る時は、たとえ実際に見えなくとも、そこに棲む生き物たちへの思いを馳せていくことでしょう。

(レポート:大原、写真:高野)

第73回井の頭かんさつ会レポート

第73回井の頭かんさつ会

「土壌生物」 ~土の中の働きもの~

日時: 2011年6月18日(土) 午前10:00〜12:00
場所: 井の頭公園
主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所
案内:
佐藤 誠 (NACS-J自然観察指導員)
日置 日出男
大橋 博資
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
高久 晴子
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
参加者:12名(大人9名、子供3名)

レポート

5月の井の頭かんさつ会は、73回の歴史のなかで初めての雨天中止(延期)となりました。理由は、顕微鏡等の精密機器を使って屋外で観察するプログラムであったためです。
6月は、5月よりも雨の確率が高い月です。にもかかわらず、『土壌生物』という顕微鏡なしでは成りたたないプログラムで望んだのです。しかも『土壌生物』は、井の頭かんさつ会が初めて取り組むテーマでした。今までも何度となく候補にあがっていたテーマではあったのですが、最後の一歩が踏み切れないでいたのです。それは、このテーマで参加希望者がどの程度いらっしゃるかという問題でした。しかし我々は、ついに最後の一歩を踏み出したのです。

当日、雨は降っていませんでした。天気予報は、午後から雨模様と告げています。判断に迷うなか、代表の田中が「やろう」と決断の意を示しました。
そんな空模様のせいか、テーマのせいか、参加者はいつもの三分の一くらいだったので、班を分けず全員で観察会のスタートです。
集合場所のボート乗り場から七井橋を渡り、お茶の水橋の方に向かいました。参加者の手には、割り箸が握られています。通行人からみれば異様な光景かもしれません。これは、落ち葉をどかしたり、大きめの土壌生物をつかむために井の頭かんさつ会がお渡しした割り箸だったのです。
昨日までの雨のせいか、公園の土や落ち葉は湿っています。そのせいでミミズの動きが活発なのか、モグラが土を掘ってできる跡がたくさんありました。その一つの小山をスコップで丁寧にくずしてみました。すると、地表から5cmくらいのところに穴が現れました。モグラの作ったトンネルがはっきりと見えたのです。参加者のテンションは一気にあがりました。それから30〜40分程、藤棚周辺の土壌を、手に手に持った割り箸で生物を探しました。私自身もけっこう夢中になってしまったのですが、ふっと周りを見ると参加者もスタッフも地面にしゃがみ込み、熱心に割り箸を振るっています。このテーマをとりあげて良かったことを確信させてくれる光景でした。
生物が入ったたくさんのシャーレやビニール袋、落ち葉や土を入れたバケツを持ち、顕微鏡等が設置してある分園前に移動しました。
まず肉眼で見える生物を各シャーレに整理しました。ミミズ・ミズジコウガイビル・シデムシ幼虫・ダンゴムシ・ムカデの仲間・ハサミムシの仲間・マクラギヤスデ・ゴミムシの仲間・クモの仲間などを、実体顕微鏡を使って詳しく観察しました。奇麗な彩りのクモ・ミミズの顔・ムカデの足などのアップに時を忘れました。
運んできた土や落ち葉は、白い紙の上に平たく広げました。割り箸でさらに平たく広げてみると、何か小さなものが跳ねています。トビムシの仲間が何種類か見つかりました。顕微鏡で覗いてみると、面白い顔で「カワイイ」という声が多数あがりました。また、土を振るいにかけて下に白い紙を敷き目を凝らしてみると、本当に小さなものが動いています。顕微鏡で確認してみるとダニの仲間です。なかでもアカケダニはその名の通りアカ色で、顕微鏡でみるとその鮮やかな色に驚かされました。
場所を移しての詳しい観察においても、参加者の大人も子供も興奮していらっしゃったように見えました。今このホームページを見ていただいている方のなかで、今回のテーマに二の足を踏んだ方に一言申しあげます。「やってみると面白いですよ」。
最後に今回のリーダーの佐藤より、目に見えない土壌には数えきれないくらいの生物が暮らしていて、様々な段階で植物の分解に関与し、土として栄養分として植物に返していくことを説明し、第73回かんさつ会を終了しました。

(レポート:大橋、写真:高野)

第70回井の頭かんさつ会レポート

第70回井の頭かんさつ会

「花観」~春の花をじっくり観察~

日時: 2011年4月24日(日) 午前10:00〜12:00
場所: 井の頭公園
集合: 午前9時45分 井の頭池ボート乗り場前(予定)
主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所
案内:
小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
高久 晴子
佐藤 誠 (NACS-J自然観察指導員)
日置 日出男
大橋 博資
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
参加者:38名(大人31名+子ども7名)

レポート

今回の井の頭かんさつ会は「花見」ではなく、「花観」です。これは、花をただ見るのではなく、じっくり観察してもらたいという気持ちを込めて選んだタイトルなのです。
前日の嵐が嘘のように当日は快晴。春の花を見るのも観るのも打って付け陽気で、観察日和でした。かんさつ会での晴れ神話は70回を越えても、まだまだ健在です。
申込者は約50名と非常に好評で、花に関する関心の高さが伺えます。人数が多いため4班に分けての行動としました。各班に分かれて、がく、花弁、雄しべ、めしべなど花の基本的なしくみを解説した後で、いよいよ花の観察に出発です。陽気も良いので、初めから和やかなムードでした。
各リーダーはたくさんある春の花のなから特に面白い花を選んで解説していきます。今回、公園より特別に許可を頂き、貴重なものではなく雑草など多く咲いている花を採集して分解し、観察することができました。1つに見えるタンポポの花は、実は多くの花が集まってできています。これを一つずつ分解して、じっくりルーペで観察してみました。すると、1枚に見える花弁は元々5枚であり、5枚の花弁が合着した形跡があったり、がくは綿毛として花が咲いている時からちゃんとついてたりと、普段見ていないものが見えてきて皆で感動しました。
その外、ツツジ、アオキ、タチツボスミレ、ツバキ、シャガ、イロハモミジ、コナラ、キュウリグサ、ハナニラ、ドウダンツツジ、ショカッサイ、クサノオウ、ハルジオン、セリバヒエンソウ、ヒトリシズカ、シロヤマブキ、ヤマブキ、ニリンソウなど多くの花を観察し、2時間はあっという間でした。
最後に、見ごろを迎えたウワミズザクラの花を観察し、締めとしました。
今回のかんさつ会で、がく、花弁、雄しべ、めしべの数や構造、花の形などじっくり観てもらい、花の進化やポリネータとの関係などを感じ取ってもらうことができたと思います。


また、かんさつ会終了後、恒例となった春の野外懇親会(花見)を行いました。参加者とスタッフで和気藹々と話をしたり、子どもたちとネイチャーゲームを楽しんだりと花観&花見で楽しい1日でした。

(レポート:小町、写真:高野)

第71回井の頭かんさつ会レポート

第71回井の頭かんさつ会

シーズンピークの「渡りの夏鳥探鳥会」

日時: 2011年4月30日(土) 午前9:30〜12:00
場所: 井の頭公園
集合: 午前9時15分 井の頭池ボート乗り場前
主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所
案内:
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
大原 正子
高久 晴子
佐藤 誠 (NACS-J自然観察指導員)
日置 日出男
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
参加者:60名(大人53名、子供7名)

レポート

夏鳥の季節移動のピークは4月末日~5月初旬ですが、今まで様々な理由でこの時期に探鳥会を開催していませんでした。これはもったいないということで、今回は初めて月2回の開催とし、第70回(4月24日)の翌週、30日に今回の第71回を設定しました。
探鳥会では事前に鳴き声の予習をしてから実際の観察に出発するという流れでやってきましたが、早い時間帯の方が野鳥のさえずりが多い、観察に充てる時間が減ってもったいないことから、すぐに出発するスケジュールにしました。その代わりにを用意し、各人が事前に予習できるように工夫しました。
探鳥会は毎回大人気です。先週70回を開催したばかりだったし、GW中にあたるので参加者がどれくらい集まるかは見えませんでしたが、募集してみるとあっという間に定員は埋まり、直前には満員の60人に達しました。本当にありがたいことです。
当日は好天に恵まれました。参加者を4班に分け、それぞれ出発。夏鳥を目当てに探鳥しました。早朝の直前下見ではエゾムシクイ、センダイムシクイ、キビタキ、オオルリなどの夏鳥が一通りいたのですが、かんさつ会の時間にはまるで気配がなくなってしまいました。五感を研ぎ澄ませて探しましたが、夏鳥の観察は困難でした。
アオゲラの営巣の様子、エナガの巣立ち雛が団子状に並んでいる様子、巣立った後のエナガの巣など留鳥に関しては充実した観察ができましたが、主題の夏鳥については満足いく観察ができませんでした。かろうじてエゾムシクイとセンダイムシクイが観察でき、キビタキの地鳴きは聞けましたが、他はさっぱりでした。
時間一杯になり、全班集合してまとめると他の班も同じような結果だった中で、子供班はキビタキ、オオルリを観られたそうです!大人の班は少しばかりタイミングが悪かったようです。植物観察と違って野鳥は動くので、思い通りにいてくれないことはつきものではあります。
やはり早朝の方がさえずりが多いし、鳥たちも活発です。次回は早朝の探鳥会を設定することを検討したいと思います。
~~~観察種~~~(全班まとめて)

オシドリ、カルガモ、キジバト、カワセミ、アオゲラ、コゲラ、ツバメ、サンショウクイ(この日初認)、ヒヨドリ、シロハラ、ツグミ、エゾムシクイ、センダイムシクイ、キビタキ、オオルリ、エナガ、シジュウカラ、メジロ、カワラヒワ、クロジ、スズメ、オナガ、ムクドリ、ハシブトガラス、ワカケホンセイインコ

今季は動植物全般に季節が遅れていて、従来のピークに合わせて開催日を設定したのが裏目に出てしまいました。しかしながら、参加者の中にはバードウォッチングが初めての人も少なくなく、アオゲラをはじめとする留鳥をじっくり観察でき、特に可愛らしいエナガの巣立ち雛や空になった巣を間近で観察できたことは十分に魅力でした。
来季はピークを予測した上で日程を調整し、早朝+午前中の2回制で開催したいです。


(レポート:小町、写真:高野)

第69回井の頭かんさつ会レポート

第69回井の頭かんさつ会レポート

「春さがし」

日時: 2011年3月19日(土) 午前10:00〜12:00
場所: 井の頭公園
集合: 午前9時45分 井の頭池ボート乗り場前(予定)
主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所
案内:
佐藤 誠(NACS-J自然観察指導員)
日置 日出男
大橋 博資
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
高久 晴子
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)

定員:17名

レポート

東北関東大震災から約一週間後のかんさつ会でした。 次から次へと様々なニュースが飛び交う一週間でした。 そして、確実に「冬」から「春」へと季節が移る一週間でもあったのです。 参加者のみなさんもスタッフも確実にそれを感じていたはずです。

シダレヤナギは、いち早く淡い緑を芽吹いていました。スギは、離れたところから見てもやる気満々な様子で雄花を重たそうにしていました。
今回のかんさつ会の「春さがし」のメインである野草と昆虫はどうだったのでしょうか。
野草の花は小さいものが多いし、この時期出没するアブやハチの仲間も小さいものが多いので、参加者の方がたにもご一緒に「春さがし」をしていただきました。
井の頭公園は、来園者のとても多い公園です。そのため土の地面であっても、人々によって踏み固められたようなところあり、いくら野草であってもなかなか生えていられないようです。しかし、陽あたりがあまりよくないベンチの真下、園内の道の端、園内の植え込み植物の下などには、タネツケバナ・オオイヌノフグリ・ハコベ・カラスノエンドウetc.といった野草が花をつけている姿をみせてくれました。
野草園においては、アブやハチの仲間が花から花へといそがしそうに蜜を吸っている姿がみられました。また、ギシギシの仲間には、短い春の間に孵化から産卵までする生活をしているコガタルリハムシをみることができました。
最後にジブリ広場に行き、多くの人にとっての春の主役であるサクラ(早咲き)を満喫してかんさつ会を終了しました。
例年の同時期に比べると、花や虫の数は少ないようでしたが、本当にあたたかい春の日差しに恵まれた一日でした。

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(レポート:大橋、写真:高野)

第68回井の頭かんさつ会レポート

第68回井の頭かんさつ会レポート

「冬芽」~春支度の木々に顔をさがそう~

日時:2011年2月27日(日)午前10:00~12:00
場所:井の頭公園周辺
集合時間・場所:午前9時45分 京王井の頭線 井の頭公園駅前
主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所
案内:
上村 肇
竹内隆一(NACS-J自然観察指導員)
田中利秋(NACS-J自然観察指導員)
小町友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
大原正子(井の頭かんさつ会事務局長)
佐藤 誠(NACS-J自然観察指導員)
高久晴子
田中雅子(NACS-J自然観察指導員)
日置日出男

参加者: 41名

レポート

今回のかんさつ会は「冬芽」をテーマに冬の樹木をゆっくりとめぐって頂きました。 一段と暖かな日和の中40名を越す大勢の参加者の皆様がお集まり頂き、7名の案内者で4班に分かれてスタートしました。

コースは三角公園を中心としたエリアをぐるっと一周するコースで、ケヤキ・ハンノキ・エノキ・ミズキなどの大きく育った樹木とアジサイ・ムクゲ・ドウダンツツジ・ハナミズキといった植栽された木々、そしてアオキ・ネズミモチなど鳥さんたちのおかげなどで実生として増えている木々などバリエーションに富んでいて楽しいエリアです。

ガード下のエンジュの半隠芽から始まってニガキの愛嬌のある冬芽と葉痕や悪魔のようなハリエンジュは誰にでも見やすく、印象的だったと思います 日頃は見過ごしている冬芽にルーペを向けてじっくりと覗き込んで、どれが一番可愛い芽かとか、資料に載っている写真はどの芽なのかなどとわいわい言いながら辿っていると比較的小さなエリアであっても全てを回ることは難しかった2時間でした。

ただ、ケヤキやエノキ・ハンノキ等一部の木々は大きく育ちすぎた上に下枝をきっちりと落とされてしまっているので、実生が見つからないものはルーペでじっくりとはいかず観察を断念したり、双眼鏡を使って遠目に見て頂く必要がありました。管理された都市公園の限界とはいえ少し残念・・。その反面ライラックとその台木のイボタノキが仲良く芽を出しているところや、思いもかけないところにオニグルミが発見され、その冬眼をじっくりと見ていただけたりと公園管理者に感謝!と言った出会いもご案内できた充実したかんさつ会でした。


(レポート:上村、写真:高久)