「シダを楽しむ~シダ入門」
■実施年月日: 令和5年6月18(日)10:00~12:00
■参加者数: 一般参加者 24名(大人23名、子ども1名)
■実施場所: 井の頭公園駅下→ (神田川沿いに)夕焼橋 → (折り返して) → ボート池南岸 →
弁天様向かい石垣→野草園→弁天池池畔(解散)
■実施レポート
井の頭公園には29種のシダ植物があるそうです(最近の調査会社の調査による)。今回はその中の特徴的なシダと見分け易いシダ約20種を観察しました。
観察会の目的はシダの精密な同定をすることではなく、シダという「美しい」植物が都市公園にも沢山あり、それらをもっと身近に感じ、楽しむことです。いわゆる「きれいな花」はつけず、人の目を引くことの少ない植物ですが、恐竜時代以前に出現し、長い進化の歴史を経て今日の生態系の一員として生きていることや、井の頭公園の生物多様性なども併せて感じていただければと企画しました。
シダの全体の形、色合い、羽片のつき方や切れ込みなどを観ると、その特徴から大まかなグループがわかることが多く、中には「こんな形のシダは○○一種しかない」、「このような形の小羽片を持つシダは○○の仲間」というものもあります。今回もそういったシダが5~6種類くらいあり、まずこれを覚えると、「シダはどれを見ても同じに見える」から、ちょっと抜け出せると思います。
さらに形を目で楽しむだけでなく、「触ってみる」ことにより、シダの葉にも、硬い・柔らかい、カサカサ、ふわふわ・・・など、いろいろな違いがあることを感じ、その感触も楽しみました。また、被子植物(いわゆる花が咲く植物らしい植物)と何が違うのか、どのような生活史を持っているのかなども少し紹介しました。
被子植物と違う大きな点は、種子ではなく胞子を作ることです。それぞれが特徴的なソーラス(胞子嚢群)を持ち、そのいろいろなソーラスを観察するのも楽しみのひとつです。違うタイプのソーラスを、ルーペや実体顕微鏡で観察しました: 包膜が奇麗な赤色のベニシダ、浅いコップ状のイヌシダ、包膜のないノキシノブ、葉の縁が巻き上がって偽包膜となりその中に胞子があるイノモトソウ等々。
またシダには山菜として昔から食されている身近なものがありますが、「これがゼンマイ!?」と参加者からあったように、大きくなった姿は意外と知られていないようです。因みに、井の頭公園には山菜となるシダはないようです(前述のゼンマイは某宅の植栽です)。
今回の観察会では以下のようなシダの観察を楽しみました。
小葉類: イヌカタヒバ
大葉類: イヌワラビ、トラノオシダ、イノモトソウ、オクマワラビ、カニクサ、
コバノヒノキシダ、ベニシダ(類)、イノデ(類)、ゼンマイ、
リョウメンシダ、ミドリヒメワラビ、ノキシノブ、タチシノブ、
イヌシダ、ゲジゲジシダ、オオバイノモトソウ、シケシダ、ホシダ