第34回井の頭かんさつ会レポート

第34回井の頭かんさつ会

テーマ: 「夏鳥探鳥会」


 日時: 2008年4月29日(火曜・祭日) 午前9:00~12:00

9:00~11:00 探鳥会

11:00~12:00 講座(屋内)

場所:井の頭池~御殿山~玉川上水~小鳥の森(探鳥会)

井の頭恩賜公園西園会議室(講座)

主催:井の頭かんさつ会

後援:東京都西部公園緑地事務所

案内:

 高野 丈(NACS-J自然観察指導員)

田中利秋(NACS-J自然観察指導員)

小町友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

大原正子

高久晴子

佐藤 誠

田中雅子(NACS-J自然観察指導員)

日置日出男

参加者:39名

井の頭かんさつ会3周年記念親睦会(参加者:25名)


 レポート 

34回目の観察会は旬の季節移動中の夏鳥の観察をテーマにしました。

今は鳥類の季節移動の真っ盛り。この時期にバードウォッチングしない手はありません。

 今回は過去最高39人もの参加者を迎え、感謝感激でした。この4月で井の頭かんさつ会はちょうど3周年を迎えました。3年前の今頃、田中さんがカイツブリをテーマに最初の観察会を実施した頃はこんなに多くの参加者にこんなに多くのスタッフが対応するとは想像もしませんでした。

私たちがここまで来られたのは熱心な参加者の皆さまのおかげに他なりません。心から感謝いたします。 

   今季は夏鳥の出がぱっとしないのですが、幸いなことに不振が著しかったムシクイ類が昨日になって がばっと飛来して状況が良くなっていました。少なくともキビタキの声と姿を憶えて帰ってもらおうと思いました。

参加者を3手に分けて出発。双眼鏡の使い方のおさらいから、聴覚を研ぎ澄ますことなどをレクチャー。雑木林ではセンダイムシクイ、エゾムシクイの声はするものの、なかなか姿を観ることができませんでした。

  キビタキやオオルリもいるのですが、こちらは頼みのさえずりがありませんでした。

こんな感じで野外での観察はちょっと不完全燃焼でした。 

  屋内講座は会が現在外来種問題に取り組んでいる理由を説明し、夏鳥についてレクチャーし、最後に声を当てるクイズを実施しました。

会終了後は3周年を記念して野外で親睦会を実施。こちらも参加者スタッフ総勢25人が参加し盛況でした。皆が思い思いのおつまみを持ち寄って一杯。この時期野鳥観察もさることながら、外で飲み食いするのがとても気持ちいい時期です。皐月の風に吹かれながら自然談義に華を咲かせました。

(レポート:高野)

 

第33回井の頭かんさつ会レポート

第33回井の頭かんさつ会

テーマ: 「春のお花見~愛でながら観察~」


日時: 2008年3月23日(日) 午前10:00~12:00

場所: 井の頭池~小鳥の森周辺

主催:井の頭かんさつ会

後援:東京都西部公園緑地事務所

案内:

小町友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

田中利秋(NACS-J自然観察指導員)

高野 丈(NACS-J自然観察指導員)

大原正子

高久晴子

佐藤 誠

田中雅子(NACS-J自然観察指導員)

日置日出男

参加者:22名


レポート 

 例年より早いソメイヨシノの開花宣言を受けて、春爛漫のお花見日和。

まず、集合場所の目の前に咲く枝垂桜から始めて、コースを回りながら、 資料の写真にある25種の花を観て回りました。参加者はそのつど、小町指導員の案内に従って、 資料の写真に花の名称を書き込みながら、その花の特徴について説明を聞いたり、実際に試したりしながら確認していきます。

井の頭公園では、枝垂桜やソメイヨシノ以外にも、オオシマザクラ・カンヒザクラ・河津桜・大寒桜・小彼岸など多種ののサクラが見られるので、 サクラだけでも、その特徴(花が先に咲く・花と葉が同時など)や系統(野生種・園芸種)など多くのことを観察しながら確かめることができました。

また、ふだんは花としてあまり注目されないアカシデ・イヌシデ・カツラ・モミジ・アオキなどの花の様子も観察でき、花の多様性を感じ取ることができました。

一方、それぞれの花のつくりや花粉を運ぶしくみも詳しく観察できました。

例えば、ヒイラギナンテンの花は、楊枝やペンの先などで雄しべに触れると、雄しべが動いて花粉をポリネーター(花粉を運んでくれるパートナー)につける仕組みを持っています。 また、オオイヌノフグリの花は、自家受粉の後に花びらがポロリと落ちて、雌しべが残ります。 河津桜では、蜜を出す若い葉の蜜腺を探して、実際にその甘さを賞味してみました。

こうした花の仕組みを一層詳しく観るために、最後に実体顕微鏡を使ってカンヒザクラやアセビなどの花を詳しく観察しました。

今回の観察会では、花とポリネーターとの関連など、普通の図鑑には記載されていないような説明があり、 また、実際に花に触れて花のダイナミックな仕組みを観察したことで、花の美しさのみならず、 花が子孫を残すための戦略基地であることもうかがい知ることができ、花に対する関心が一層高められたのではないでしょうか。

(大原・高久)

  

第32回井の頭かんさつ会レポート

第32回井の頭かんさつ会

テーマ: 「生き物たちの越冬作戦」 


日時: 2008年2月24日(日) 午前10:00~12:00

場所:ボート乗り場前→弁天池周辺→御殿山→玉川上水→第二公園→西園

主催:井の頭かんさつ会

後援:東京都西部公園緑地事務所

案内:

高久晴子

田中利秋(NACS-J自然観察指導員)

高野 丈(NACS-J自然観察指導員)

小町友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

大原正子

佐藤 誠   

参加者:20名


レポート 

  晴天に恵まれたものの真冬のような寒さとなり、強風の為交通機関が混乱して集合に遅れる人もいましたが定刻には開始しました。

まず、生き物たちがどんなところで越冬しているか予想を立てから、コースを回りながら観察。

樹皮の下や樹木名の記されているプレートの裏などに、プラタナスグンバイの成虫やクサギカメムシの成虫・シマサシガメの幼虫、カマキリの卵のう、寄生蜂の繭、クモなどが見つかりました。樹皮の表面にも小さなキイロテントウがじっとしています。

また、樹皮に覆われた空洞で2匹のヤモリが抱き合うようにして越冬している様子を観察し、参加者たちは皆一様に驚嘆の声をあげていました。 また、ヤモリの子どもが、スダジイのプレートの裏にもひっそりと身をまるめていました。

松のコモマキは、幼虫が潜り込んで越冬する性質を利用して駆除するためのものであることを解説しました。

イヌシデのミツバチの巣の前では集団で越冬するミツバチについて解説。樹木の小さなウロにひっそりと身を隠して越冬しているオオスズメバチの女王を皆で恐る恐る覗き込み、 女王だけが単独で越冬するスズメバチとミツバチの違いを確認しました。

井戸小屋の軒下や、玉川上水の柵にはたくさんのミノムシがついています。ミノムシの生態について解説しました。

さらに、エノキの側では、落ち葉の裏に張り付いて越冬しているゴマダラチョウの幼虫を参加者全員で探し、数個体見つけました。

最後に数本のヤマボウシの木でどんな虫が越冬しているのか皆で探しました。ハラビロカマキリやオオカマキリの卵のうやミノムシを見つけました。 冬越しに関する解説を以てかんさつ会を締めくくりました。

意外なところに隠れている生き物たちを発見し、寒さに耐え、天敵から身を隠す工夫をしながらひっそりと冬を越している小さな虫たちを観察していくうちに、その健気さに心を寄せ、愛おしそうに見ているようにすら思えました。 樹木を切り倒したり、枝を切り落としてしまえば、そこに隠れていた虫たちも命を終えてしまいます。それだけでなく、落ち葉を掃き清めるだけでも、落ち葉の裏に張り付いていた幼虫が生きていけなくなるということを知りました。またその結果野鳥の食べ物も少なくなってしまい、この井の頭公園に集まって来る野鳥にとっても大きなダメージになるのです。人間が快適さを求めて自然を変えてしまうことによって自然の豊かさが失われ、結果として人間にとっても逆に快適でない環境になってしまうでしょう。

                                                    (大原・高久)

 

第31回井の頭かんさつ会レポート

第31回井の頭かんさつ会

テーマ: 「もっと知りたい!カモのこと」 


開催:2008年1月20日(日曜日)

時間:10:00~12:00

場所:七井橋~小鳥の森(野外観察)、西園会議室(屋内講座)

主催:井の頭かんさつ会

後援:東京都西部公園緑地事務所

案内:高野 丈(NACS-J自然観察指導員)

田中利秋(NACS-J自然観察指導員)

小町友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

大原正子

佐藤 誠

高久晴子

田中雅子(NACS-J自然観察指導員)

日置日出男

参加者:26名


レポート  

 雪が降るかもしれない天気予報でしたが、幸い思ったよりは暖かで観察日和となりました。参加者は「識別班」(担当・高野指導員)、「行動班」(担当・田中指導員)、「初心者班」(担当・小町指導員)の3班に各自の希望で分かれ、指導員の解説を聞きながら、カモを中心とした水鳥を観察して回りました。

「識別班」は細かな観察を通してカモの徹底識別を主に学び、途中ルリビタキなどの森林性の鳥類も観察しました。

「行動班」はカモのいろいろな行動(エサのとりかた、潜水のしかた等)を主に学習しました。

「初心者班」は双眼鏡の使い方に始まり、カモの基本的な知識を勉強しました。

各班とも観察をしながら資料にあるビンゴをして楽しみました。

西園会議室では、まずは田中指導員がビンゴ(資料)に載っているカモの行動について解説しました。

次に高野指導員が井の頭池のカモの現状(モニタリングによる数の変化)を解説し、今シーズンのカモ数の減少の原因を皆で考え、自然環境の保全が大事であることを皆で認識しました。 続いて資料に基づいてカモのメスの識別、マガモと交雑種との見分け方を解説し、終了となりました。

同じ種のカモであっても雄のエクリプス(地味な夏羽根)と雌、さらには交雑種などの問題があり、判別はなかなか難しいものです。 ポイントをつかんでよく観察することによってその違いが分かってきます。

また、カモたちを良く見ると、いろいろな行動をしていることが分かります。 その行動が何の為であるか、また、種によってどのように行動の違いがあるのか、その違いはなぜ生じるのか・・・・といった解説は、参加者に新たな感動を呼び起こしたようです。

井の頭池はこの冬、カモの飛来が例年よりかなり減りました。 その原因は主にエサやり自粛にあると思われます。しかしながら、カモの数が減ったということは、もともと井の頭池の自然度が低く、自然にある食べ物がこの程度のカモしか養えないということです。 これから必要なのは、いろいろな生き物が生息できる自然を回復することであるということを参加者とともに再認識いたしました。 このような詳しい観察を通じて、多くの人々が自然を愛する気持ちをより一層深め、自然を保全することの大切さを痛感してくれているということを、スタッフも実感した観察会でした。


(大原・高久)

 

第30回井の頭かんさつ会レポート

第30回井の頭かんさつ会

テーマ: 「昼下がりの探鳥会」


日時: 2007年12月16日(日) 午後14:30~16:30

場所: 井の頭公園(小鳥の森~七井橋)

主催: 井の頭かんさつ会

後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内:

高野丈 (自然観察指導員)

田中利秋 (自然観察指導員)

小町友則 (自然観察指導員、森林インストラクター)

大原正子

佐藤誠

高久晴子

田中雅子(自然観察指導員)

参加者:21名


レポート 

当日は、風は強かったものの好天に恵まれ、小鳥の森観察窓前には参加者が早くから集まってきました。

まず、担当の高野指導員から資料が配られ、当日の目当てについて説明がありました。

参加者は2班に分かれ、双眼鏡の使い方などを確認した後、鳥の声に耳を澄ませながらコースを回って探鳥していきました。途中、鳥の特徴や食性などの解説もありました。

今回の目当ての一つは、今季例年になくよく見られるキクイタダキを見つけることにあります。小さくて、よく動き回るので見つけるのはかなり難しいのですが、みんな声を頼りに必死に姿を追いました。

 

小鳥の森の南側のムクノキには、その実を求めてくる、アカハラ・シロハラ・ツグミなどの大型のツグミ類が観察できます。ちょうど観察しているときに、20~30羽のカラスに追われて飛翔するオオタカの姿も観察することができました。参加者の間に興奮の渦が巻いたようでした。

御殿山では、カワラヒワやヤマガラなどが見られ、また池では、この日、幸運にもヨシガモがきており、当地では珍しい鳥なので参加者も驚いていました。

都会に残された貴重な井の頭の自然の中で、冬に集う鳥たちを満喫できた午

後のひと時だったと思います。

 


忘年会

忘年会には十数名が参加しました。一人ひとりが一年間を振り返ったり、かんさつ会に参加した経緯を語ったりしながら、それぞれの熱い思いをみなで共有しつつ飲み交わし、楽しい忘年会となりました。

一年間ありがとうございました。また、来年もよろしく。

(大原・高久)

第29回井の頭かんさつ会レポート

第29回井の頭かんさつ会

テーマ: 「落ち葉のいろいろ」 


開催:2007年11月23日(金)

時間:観察会  10:00~12:00頃

場所:ボート乗り場前→狛江橋→弁天池南岸→弁天橋→御殿山雑木林

主催:井の頭かんさつ会 後援:東京都西部公園緑地事務所

案内:

田中利秋(自然観察指導員)

小町友則(自然観察指導員、森林インストラクター)

高野 丈(自然観察指導員)

大原正子

田中雅子(自然観察指導員)

佐藤 誠

高久晴子

 

参加者: 29名


観察記録

晩秋の小春日和となった当日、参加者は、資料の入ったポケットアルバムを配布され、使い方の説明を受けました。資料と同じ落ち葉を捜してポケットに入れるのです。また、袋に入れられた特別の手触りがある落ち葉(ムクノキ)を触ってみて、それと同じ手触りの葉を探すこと、独特の香りを持つ落ち葉(カツラ)のにおいを嗅いで、それと同じ香りの落ち葉を探すことも課題です。

指導員は、道々一つ一つの落ち葉の特徴を、色や形、手触りなどから説明して回りました。

主な落ち葉は、エノキ・ソメイヨシノ・ブナ・トチノキ・ムクノキ・カツラ・イノハモミジ・コブシ・イヌシデ・アカシデ・カジカエデ・コナラ・ヤマザクラ・ピンオークなどです。

最後に参加者が集めた落ち葉を確認してしめくくりました。

大人も子どもも夢中になって落ち葉の積もった地面を見つめ、お目当ての落ち葉を見つけると、とても満足そうでした。ふだん見慣れた落ち葉も、ずいぶんいろいろな違いがあることに改めて気づかされ、落ち葉を観察することの楽しさを知ったようです。

井の頭公園の秋を満喫した一日になったのではないでしょうか。(大原・高久)

第28回井の頭かんさつ会レポート

第28回井の頭かんさつ会

テーマ: 「実りの秋を楽しむ」


開催:2007年10月21日(日)

時間:観察会  10:00~11:30頃

屋内講座 11:30~12:00頃

懇親会  12:00頃~

場所:井の頭池~小鳥の森(観察会)西園事務所(屋内講座)

主催・案内:

田中利秋(NACS-J自然観察指導員)

小町友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

高野 丈(NACS-J自然観察指導員)

大原正子

田中雅子(NACS-J自然観察指導員)

佐藤 誠

高久晴子

参加者: 33名


観察記録

秋晴れの空気が清清しい当日。集合場所の御殿山→玉川上水沿いの訓道→小鳥の森→第二公園→西園の広場とゆっくり歩きながら、たくさんの木の実を探し、観察しました。

アカシデ・トウカエデ・コナラ・ピノーク・ヒノキ・イイギリ・クリ・マテバシイ・ケヤキ・アラカシ・シラカシ・クヌギ・スダジイ・オニグルミ・ヤマボウシ・ムクノキなど、それぞれの見分け方や特徴、食べられるかどうかなどを小町指導員がていねいに楽しく解説。

大人も子どもも夢中でドングリ拾いに興じたり、味わったりしました。

11時半過ぎから西園の会議室へ場所を移し、小町指導員がドングリや木の実について講義を行いました。

ドングリとは何か。日本にはどんなドングリがあるか。解説をしながら、小町指導員が収集したドングリの標本や、世界の珍しい木の実のコレクション(フタバガキやモダマ)を参加者に回覧してみてもらいました。参加者からは、珍しい形の木の実やや大きな木の実に驚嘆の声があがりました。

午後は西園のお弁当広場で親睦会を開きました。25名以上が参加して、芝生に輪になって座り、各自が持ち寄った飲み物と食べ物をいただきながら、親睦を深めました。

炒ったドングリなどの木の実や、ドングリ・クッキー、きのこ料理も味わいました。

また、子供たちのために、小町指導員がドングリを使ったクラフトもいろいろ紹介しました。

さわやかな秋空の下、実りの秋をさらに楽しんだひと時でした。

(大原・田中利秋・高久)

第27回井の頭かんさつ会レポート

第27回井の頭かんさつ会

テーマ: 「秋の渡りを探そう」


日時: 2007年9月24日(月) 午前9:00~12:00

場所: 井の頭池~小鳥の森(探鳥)西園事務所(屋内講座)

主催:井の頭かんさつ会

後援:東京都西部公園緑地事務所

案内:

高野 丈(NACS-J自然観察指導員)

田中利秋(NACS-J自然観察指導員)

小町友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

田中雅子(NACS-J自然観察指導員)

佐藤 誠

高久晴子

協力:井の頭バードリサーチ

参加者: 30名


観察記録  

  今回は参加者が30名で、経験のレベルもまちまちなので、グループをレベルに合わせて3班に分け、それぞれにスタッフが2名ずつついてかんさつ会を実施しました。

初心者の班は、双眼鏡の使い方から解説。まず池のカルガモやカイツブリ、藪に隠れるゴイサギ、遠くのハシビロガモなどを観察したり、探したりしました。

ついでオシドリのオスを見つけて『エクリプス』についての説明がありました。

御殿山へ入って、ツツドリが見られるかと期待しましたが、残念ながら現れませんでした。でも、シジュウカラやメジロ、コゲラの混群が現れたので、小さな鳥を双眼鏡で捉える練習になりました。  森では、初心者が小鳥を見つけるのは難しいかと思われましたが、渡りの鳥エゾビタキが枯れ木に止まってくれたので、みんな姿を確認することができました。

上級班では、キビタキやセンダイムシクイ・オオルリ、サンコウチョウと思われる鳥なども観察されたようです。

11時過ぎから高野指導員の室内講義。まず、『混群消去法』。秋の渡りの鳥を見つけるには、シジュウカラやエナガ、コゲラなどが混じった群れ『混群』を見つけるのがポイント。その群れから、よく知っているシジュウカラやコゲラなどを消去していけば、珍しい渡りの鳥が早く見つかる。高野さんの撮影した鳥の写真を見て、素早く見分ける方法を説明してもらいました。

次に『エクリプスの見分け』について説明を受けた後、オナガガモやハシビロガモのオス・メス当てクイズをして楽しみました。

最後は今年の3月に井の頭池の北岸で落命したオオタカの剥製が披露され、参加者から驚きの声があがりました。

今回は、遠く沖縄県からの参加者があり、かんさつ会の広がりを感じました。(高久)

 

 

第26回井の頭かんさつ会レポート

第26回井の頭かんさつ会

テーマ: 「夏の夜を楽しもう」


日時: 2007年8月19日(日) 午後6:30~8:30

場所: 井の頭公園

主催: 井の頭かんさつ会

後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内:

田中利秋 (自然観察指導員)

小町友則 (森林インストラクター)

高野丈 (自然観察指導員)

大原正子

佐藤誠

田中雅子


親睦会

日時: 2007年8月19日(日) 午後9:00~11:00

会場: 吉祥寺駅近くの店


 レポート 

8月は恒例の夜の観察会です。夜の自然は昼とはすっかりようすが違います。 夜には夜の生き物たちの世界があるのです。 身近な井の頭公園で、夜はいったい何が起きているのか、知りたいと思いませんか?

まず、七井橋で集合。挨拶をしている間にもコウモリが飛びまわる姿が目に入ります。 さっそくコウモリの発する音波を、機械を使って聞きながら、その習性を観察しました。

池を回って歩いていくと、樹液に集まるいろいろな昆虫 (なんとゴキブリがたくさん!小さな甲虫、ツユムシなども。後でクワガタが出てくるかもしれないと期待も高まりました。)、 羽化する場所を求めて地面から出てきたセミの幼虫がいます。また、夜に開く白いレースのカラスウリの花が、そこここにひっそりと咲いているのが見つかります。

第二公園では、セミの羽化をじっくり観察しました。 子供たちはもちろん、大人たちも羽化という神秘的な営みに大興奮。 イナバウアーの姿勢で殻から抜け出ようとがんばる姿に息をつめながら応援しました。 ツクツクボウシが圧倒的に多かったですが、アブラゼミやミンミンゼミの羽化も見られました。

さらに今年は、空の星も対象で、木星などを天体望遠鏡で観察する予定でしたが、残念ながら雲が出てきて、 観察は困難に。小町指導員の星についての楽しいお話で締めくくりました。  参加者一同、夜の自然の雰囲気にすっかり感動して、解散後もそれぞれにもう一度セミの羽化を見に行ったり、 樹液に集まるクワガタを探しに行ったり、熱気は冷めません。

観察会終了後の親睦会も大いに盛り上がりました。(高久)

第25回井の頭かんさつ会レポート

第25回井の頭かんさつ会  

『在来種と外来種(外来種の調査捕獲観察)』


開催日:2007年7月22日日曜日

時間:10:00~12:00

場所:井の頭公園

主催:井の頭かんさつ会

後援:東京都西部公園緑地事務所

協力:NPO生態工房

案内:田中利秋(自然観察指導員)

小町友則(自然観察指導員、森林インストラクター)

高野 丈(自然観察指導員)

大原正子(事務局長)

佐藤 誠

高久晴子

田中雅子(自然観察指導員)

協力・案内:佐藤方博(NPO生態工房)

参加者:28名+飛び入りの方々数名 


レポート

今の井の頭池は、人間によって持ち込まれた動植物、いわゆる「外来種」で満ちています。その影響で昔からそこに棲んでいた「在来種」は追い詰められています。井の頭池を、水が澄み、水草が茂り、生き物がいきいきと暮らす池に戻すには、何とかしなければならない大事な問題のひとつです。そこで今回のかんさつ会のテーマは「在来種と外来種」とし、井の頭池の動植物を「在来種」と「外来種」という観点で観察しました。

かんさつ会は「これは外来種?在来種?」ゲームから始まりました。これにより「外来種」とは何かを理解し、さらに七井橋からお茶の水橋まで歩きながら主に池の動物を観察しました。たくさんの外来カメがいることが確認できました。

最後にお茶の水橋で、今回のかんさつ会の最大の関心事である捕獲調査の結果を観察しました。これは外来カメや外来魚の調査と駆除に活躍しているNPO「生態工房」の協力を得て実現しました。

お茶の水橋で前日に池に仕掛けたトラップの説明を受け、捕獲した池の動物の観察をしたところで、外来種であるミシシッピアカミミガメ(子ガメがお祭りの縁日等でミドリガメと称して売られている)の多数の捕獲に参加者一同の驚きがあがりました。在来種はクサガメが捕獲されましたがその数はアカミミガメの約5分の2程度でした。

魚類はトラップの場所が悪かったのか、目視では多くの外来種が確認されているにもかかわらず、わずかな数でした。それでも外来種のオオクチバス及びブルーギル、在来種のモツゴ(クチボソ)とスジエビを観察することができました。なお、かんさつ会終了後に解剖したブルーギルは卵を持っておりブルーギルが井の頭池で繁殖していることをうかがわせるものでした。

28名という参加者数の多さからも外来種に対する関心の高さが伺われましたが、参加者の皆さんには井の頭池にはどんな外来種が棲んでいるのか、それはどうやって池へやってきたのか、どうしてこんなに増えたのか、そして、この問題を解決するにはどうすればよいのか、などを考えてもらえたと思います。

(田中雅子)