第65回井の頭かんさつ会レポート

第65回井の頭かんさつ会

テーマ: 『はっぱの色葉(いろは)』


日時: 2010年11月23日(火・祝) 午前10:00~12:00

場所: 井の頭公園

集合: 午前9時45分 井の頭池ボート乗り場前

主催: 井の頭かんさつ会

後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内:

佐藤 誠(NACS-J自然観察指導員)

大橋 博資

上村 肇

竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)

田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)

小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

高野 丈(NACS-J自然観察指導員)

大原 正子

高久 晴子

田中 雅子(NACS-J自然観察指導員)

日置 日出男

参加者:23名


レポート 

11月のかんさつ会のテーマは、「はっぱの色葉」でした。

回を重ねるたびに、観察に対する視点や深さが増している“井の頭かんさつ会”ですが、 なんといっても自然にふれるのは楽しいと思えることが一番大事です。  季節ごとにその楽しみは異なりますが、今の時期は紅葉を楽しむことではないでしょうか。

資料として配布した井の頭公園を代表する落ち葉のイラストを片手に、 井の頭公園の弁天池周辺の実際に落ちている葉っぱを探すといったゲーム形式での観察でした。  誰しもが知っている「ケヤキ」「サクラ」といった樹も、 葉っぱ一枚だけを見てそれとわかるのは案外むずかしいことです。葉っぱには、 周りにギザギザがあったり、裂けめが入っていたり、上の方が幅広だったり、 その逆だったりと、じっくり観察するといろいろな違いが見えてきます。 また樹によって葉によっても個性があり、イラストの葉っぱとは全然違うということもありました。  また、今回のテーマでもある葉っぱの色についても途中で触れました。

そもそも落葉とは何か、冬という季節が木々にもたらすものはなにか、 といった基本のお話から、赤や黄色に色づく仕組み、 樹のどのあたりから又は葉っぱのどのあたりから色がかわるか、 その樹の日照条件と紅葉の関係といった“井の頭かんさつ会”的なお話までを説明することできました。  この日は開始寸前までは小雨模様でしたが、一人の欠席者もなく参加していただきました。

逆にこの時期の晴天日であれば人出も多く、 落ち葉拾いものびのびとすることはできなかったかも知れません。 途中からは青空ものぞき、終わってみれば最高の観察日和となりました。

(レポート:大橋)

第64回井の頭かんさつ会のお知らせ

第64回井の頭かんさつ会
テーマ: 『まるごと秋観察』~楽しむ生物多様性~

日時: 2010年10月16日(土) 午前10:00~12:00
場所: 井の頭公園
集合: 午前9時45分 井の頭池ボート乗り場前(予定)

主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内:
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
日置 日出男
小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
田中 雅子(NACS-J自然観察指導員)
大橋 博資
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)

定員:35名
参加費(保険代・資料代など): 300円、中学生以下は100円
持ち物: 観察用具(ルーペ、虫めがね、双眼鏡など)
申し込み方法、問合せ先:下記をご覧ください。

ご案内

これまでの井の頭かんさつ会は、ひとつのテーマを設定し、対象をそれにふさわしい生き物に絞って観察してきました。 しかし今度のかんさつ会では、井の頭公園の自然まるごと、すべての生き物を対象にして、秋の見どころをいろいろご紹介し、観察してみたいと思います。
とはいえテーマがないわけではありません。それは「生物多様性」。10月は名古屋で生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10)が開かれる月です。我々も「生物多様性」という視点を持って秋の生き物たちを観察しましょう。  最近やたらと出てくるその言葉。分かったような分からないような、と思っている人は少なくないと思います。 じつは、生き物の姿や生態を観察していて、「素晴らしい!」とか「すごい!」とか感じることのすべてが生物多様性とつながっています。 まずは生物多様性を楽しむところから始めて、徐々に深い理解へとつなげていければと思います。

今年は到来が遅かった秋を満喫したい人、もっと多くの生き物をもっとよく知りたい人、生物多様性を理解したい人、皆まるごと歓迎です。 ふるってご参加ください。

参加申し込み方法
メールでのみ受け付けます。下記をすべて読んでから、必要項目を記入したメールを井の頭かんさつ会事務局 大原までお送りください。(大原の名前をクリックしてください。)

メールに記入すべき項目※ 8)以外は必須項目となります

1)「第64回観察会に参加したい」ことを明記してください。
2)参加希望者全員の氏名
3)住所(市区町村レベルまで必須 例:東京都三鷹市、東京都杉並区など)
4)返信を希望するメールアドレス (ただし参加申し込みメールと同アドレスなら不要)
5)電話番号(当日連絡のために携帯電話番号が望ましい)
6)小中学生は学年、未就学のお子さんは年齢
7)今回のかんさつ会を何で知ったか(例:かんさつ会HP、ポスター、知人、みたか環境ひろば、など)
8)我々(主催者、案内者)へのメッセージ:連絡事項があれば書いてください。また、観察会に参加したい理由や期待することなど、何か書いていただければ嬉しいです。 (必須ではありません)

【ご注意】
・必須項目が抜けている場合は受け付けできませんので、ご注意ください。
- 以上 -

※個人情報保護に関するポリシー:
お知らせいただいた個人情報は観察会に関する連絡以外には使用しません。また、第三者に譲渡することもありません。

受付とその連絡

メール受信後しばらくして、参加可否の返信をさしあげます。受付は原則先着順です。

参加者への詳細情報

集合場所などの詳細情報は、開催日の数日前に、メールでお知らせします。なお、参加者全員へのその後の連絡はメールでなくこのページ上で行いますので、ときどきチェックしていただくようお願いします。

注意事項

参加申し込みにあたっては、下記のことをご了承ください。
□安全について
観察会では、案内役および補助員の指示に従って行動してください。一応保険には加入しますが、あくまでも無事故を目指します。身近な自然観察の危 険性は普通に公園を散歩するのとほとんど変わりませんが、危険がないわけではあり ません。自分の身は自分で守る気持ちでご参加ください。
□対象レベル・年齢について
関心がある人全員向けです。年齢制限はありませんが、小学生以下は保護者同伴で ご参加ください。

問合せ

参加に関する問い合わせはkapock@parkcity.ne.jp (大原)まで、 かんさつ会の内容または井の頭かんさつ会についてのお問合せは tnt-lab@nifty.com(田中)までお願いします。

(2010/9/23 田中 利秋)

第64回井の頭かんさつ会レポート

第64回井の頭かんさつ会

テーマ: 『まるごと秋観察』~楽しむ生物多様性~


日時: 2010年10月16日(土) 午前10:00~12:00

場所: 井の頭公園

集合: 午前9時45分 井の頭池ボート乗り場前

主催: 井の頭かんさつ会

後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内:

田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)

大原 正子

日置 日出男

小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

高野 丈(NACS-J自然観察指導員)

田中 雅子(NACS-J自然観察指導員)

大橋 博資

上村 肇

竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)

参加者:23名


レポート

素晴らしい秋晴れの10月16日、第64回かんさつ会を「まるごと秋観察」 ~楽しむ生物多様性~というテーマで23人の参加者で開催しました。今まさに旬の「生物多様性」を考えながら、井の頭公園の秋を満喫しようと いう、難しくも楽しいかんさつ会となりました。

参加者が3つのグループに分かれてスタートしたかんさつ会。子ども班は 秋のクラフトを楽しんだ後、リーダー工夫の、赤い糸を使っての生物のつな がりを体験。メンバーがいろいろな生物となり、それぞれが持った赤い糸が 複雑に絡み合っていく。一人が糸を引くと(居なくなると)残り全員が引っ 張られる。そのネイチャーゲームをとおして生物のつながり(多様性)を実感しました。

2つの大人班は、七井橋の上でまだ少ない秋を探すことからスタート。渡りの鴨の少なさの意味を考えることから、えさやりの問題・池の生態系 などに想いをうつしていきました。

池のほとりを巡りながら、様々な秋の実り(種子)を集め、そこから見て取 れる遺伝的多様性(種の戦略)について考え、東屋付近では、環境の違いによ る植物の生態の違いを観察し、それぞれの植生の多様性を生む力を実感しました。

梅林では野の花に集まっている虫たちの働きをじっくりと観察、ポリネーターとし ての生態系における存在の意味を目の当たりにしました。

さらにブローチのような素敵な種子の「クサギ」の、葉の嫌なにおいと花の良 い香り・種子の2色効果など、遺伝的多様性を維持するための戦略を実感しました。

すべての生物がテーマの素材となるので、あっという間に時間が過ぎ、少なく なった時間で、御殿山での菌(きのこ)が観察の〆となりました。多様性の土台とも いうべき「菌」の働きとその実態としての様々な形・色の(きのこ)を観察しながら その存在の大切さを学びました。

さいごに代表より、「生物多様性の持つ意味と人間とのかかわり、その大切さ」が 語られ、「さらに観察を深めることで多様性をもっと理解しよう」という言葉でしめ くくられました。

観察会終了後、恒例の懇親会が楽しかったかんさつ会の興奮をひきつぎ、楽しくも 和やかに行われました。

(レポート:日置)

第63回井の頭かんさつ会レポート

第63回井の頭かんさつ会

テーマ: 『夏鳥探鳥会2010


日時: 2010年9月20日(月祝日) 午前9:00~11:00

集合: 午前8時45分 井の頭池ボート乗り場前

主催: 井の頭かんさつ会

後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内:

高野 丈(NACS-J自然観察指導員、井の頭バードリサーチ代表)

田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)

小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

大原 正子

高久 晴子

佐藤 誠

田中 雅子(NACS-J自然観察指導員)

日置 日出男

大橋 博資

上村 肇

竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)

参加者:42名


レポート

恒例、夏鳥の秋の渡りの探鳥会

63回目の井の頭かんさつ会は毎年9月恒例の夏鳥の秋の渡りの探鳥会を開催しました。いったんは涼しくなったのですが、前日から少し暑さが戻っていて、この日も真夏ほどではないにしても、少し蒸し暑い気候でした。こんな日は熱中症に注意しなければなりません。秋になり活動が活発になっているスズメバチ対策と併せて参加者に注意を呼び掛けました。

かんさつ会の前半は呆れるほどに生きものが見当たらない低調さでした。秋に夏鳥を探すには、まずシジュウカラを中心とする留鳥の混群を見つけ、次にそこに混ざっている夏鳥を見つけるのがコツで、それを探すためにはシジュウカラやメジロ、コゲラの声を頼りにするのですが、この日はそれら留鳥がどこにいったのか、なかなか声も聞こえないほど寂しい状況でした。やっとのことで留鳥の声を捉えても、鳥たちは高い樹の上の方にいて、なかなか姿を捉えることができない悪条件でした。夏鳥はおろか、留鳥さえ満足に観察できない状況でしたが、かろうじて森のシンボルになっている高い枯れ木にエゾビタキがとまったのを観察することができました。

後半の巻き返し

その後も全身全霊を傾けて鳥探しをしますが、やはり好条件は訪れませんでした。ところがそろそろ終了という時間帯になって、状況が一変しました。樹の高いところにいた鳥たちがやっと降りて来て、 留鳥から夏鳥まで面白いように観察できる状況になりました。待っていた状況がやってきたので、かんさつ会を延長して徹底的に観察しました。留鳥ではコゲラをじっくり観察することができ、夏鳥ではコサメビタキやキビタキ雄などのを観察することができました。

かんさつ会の最後に、最近取り組んでいる井の頭公園西園整備計画について紹介し、身近な自然の観察の積み重ねがその環境の真の価値を評価することにつながり、観察を楽しみながらしっかり記録として残すことが自然を護る力になることを紹介しました。

(レポート:高野)

第62回井の頭かんさつ会レポート

第62回井の頭かんさつ会

テーマ: 「夜の生きものしらべ」


日時: 2010年8月14日(土) 午後6:30~8:30

場所: 井の頭公園

主催: 井の頭かんさつ会

後援: 東京都西部公園緑地事務所

集合: 午後6時15分 井の頭池ボート乗り場前

案内:

高野 丈(NACS-J自然観察指導員)

田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)

小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

大原 正子

佐藤 誠

田中 雅子(NACS-J自然観察指導員)

日置 日出男

上村 肇

竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)

参加者: 39名


親睦会

日時: 2010年8月14日(土) 午後9:00~11:00

会場: 七井の月


レポート

2005年のかんさつ会立ち上げ以来、8月のかんさつ会は毎年恒例、夏の夜長のナイトウォッチングと決まっています。その伝統を今年は私が主担当として受け継ぎました。毎年同じことをやっても飽きないほど、夏の夜は面白い観察ができるのですが、今年は少し切り口を変えて、参加者全員で夜の生きものを調べよう!というコンセプトで企画しました。この夜のかんさつ会は毎回大人気で、基準定員を大幅に上回る39名の参加者を集めて会を実施しました。

夜咲く花、カラスウリから始め、夜行性のコウモリの観察、樹液に集まる昆虫調査、水中の生きものの夜の生態、ライトトラップ(光に集まる昆虫調査)と進めました。

第一の調査はカラスウリはどうやって「夜」を感じているかで、体内時計か明るさかという点については明るい時間にかぶせものをすることで、時間ではなく明るさの変化(暗さ)に反応して開花していることがはっきりしました。また、どの部分で明るさを感じているかについては、いろいろな部分を覆ってみたところ、やはり花の部分であることがわかりました。

第二の調査は天然樹液、人工樹液、どちらが昆虫に人気か?です。樹液が出ているコナラの隣のコナラに私が独自に研究したスペシャル樹液を仕込み、皆で確認してみました。スペシャル樹液はカルピスがベースで、それに焼酎、酢、蜂蜜を配合して作りました。結果は天然の樹液の圧勝!にわか仕込みの樹液もどきでは全くかないませんでした。

その後コウモリをカウントしたり、寝ている魚を観察したり、開花したカラスウリを観察したりして会は順調に進んでいました。しかしその後、ライトトラップの発電機がガス欠になったと会のメンバーから連絡が入り、ずっこけました。結構大がかりな準備が必要だったし、公園には許可をいただいたし、今回のプログラムの目玉の一つだったからです。しかしながら、電源がなければ蛍光灯もブラックライトも点灯できません。それでも、与えられた条件でかんさつ会を続けるしかないので、参加者の情報を頼りに別の樹液の出る樹を確かめたりと内容を調整したり。ライトトラップも明るい蛍光灯やブラックライトは点灯できなくなったものの、メンバーが頑張って白い幕に懐中電灯やポケットブラックライトを点灯させて何とか虫を集めていたので、少しだけ昆虫を観察することはできました。

そしてナイトウォッチング最後のプログラムはセミの羽化観察。やはり夏の夜はセミの羽化観察がメインイベントです。アブラゼミやツクツクボウシの羽化を観察し、夜と生物多様性の関わりについてお話をしてかんさつ会を終了しました。

かんさつ会の後はこちらも恒例、井の頭かんさつ会の納涼会!今年は久々に七井の月を会場に、夜半まで楽しく歓談しました。

(レポート:高野)

第61回井の頭かんさつ会レポート

第61回井の頭かんさつ会

テーマ: 「夏の昆虫ウオッチング」


日時: 2010年7月24日(土) 午前10:00~12:00

場所: 三角公園・ひょうたん池周辺

集合: 午前9時45分 井の頭公園駅(京王井の頭線)前の広場

主催: 井の頭かんさつ会

後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内:

高久 晴子

小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

田中雅子(NACS-J自然観察指導員)

田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)

高野 丈(NACS-J自然観察指導員)

大原 正子

佐藤 誠

日置 日出男

大橋 博資

上村 肇

参加者:29名


レポート

当日は、朝から熱中症が心配されるような猛暑日。それでも暑さに負けず参加してくださった方々の熱心さに感服しつつスタートしました。

昆虫が少しでも観察しやすいように、全体を大人班2つと子ども班1つの3班に分け、予め決めておいたローテンションで観察して回ります。昆虫は公園のどこででも見つけられるのですが、今回の目当ては、単に昆虫を見つけるだけでなく、その生活ぶりをじっくりウオッチングすることでしたので、いくつか的を絞って、ゆっくり観察してもらうことにしました。

まずは、昆虫界きっての飛行の名手、トンボです。ひょうたん池や神田川には、コシアキトンボ・ショウジョウトンボ・オオシオカラトンボ・モノサシトンボやコオニヤンマなどのトンボが飛び回っています。休む暇なく縄張りを巡回し、ライバルをけん制したり追いまわしたり、飛びながら交尾したり。そんなダイナミックな動きをじっくり見ていると、お馴染みだったはずのトンボからも、今まで気づかなかった面白い発見があったのではないでしょうか。

一方、エゴノキやミズキの木陰では、それらの木に依存してひっそりと暮らす小さなカメムシやゾウムシなどの昆虫に目を向けました。

エゴノキでは、エゴツルクビオトシブミという名前の小さなゾウムシ科の昆虫と、その昆虫が作った揺り籠を観察しました。揺り籠は卵を産みつけた葉をくるくると巻いてつくります。卵から孵った幼虫は親虫が作ってくれた揺り籠の葉を食べて成長するのです。こんな小さな昆虫がこんなにも精巧な揺り籠をつくる不思議さには、何度見ても驚かされますね。

また、たわわに実ったエゴノキの実には、エゴヒゲナガゾウムシが、これも実に産卵しにきているのを観察できました。このゾウムシの顔のユニークさも一度見たら忘れられないものです。

一方、ミズキには、背中にハートのマークをもつエサキモンキツノカメムシが孵化したての幼虫をしっかり守っている様子が見られました。寄生蜂やアリ・クモなどから身を挺して子を守る母虫の姿には、ハートのマークにふさわしい母性愛を感じてしまうものです。

ミズキの葉裏では、母虫から自立した子どもたちが集団で隠れているのを発見。子どもたちはミズキの実の汁を吸っては兄弟たちと葉陰で過ごしながら成長していくのです。臭くて嫌われもののカメムシですが、そんな姿を見ると、ちょっと応援したくなりませんか。

三角公園は井の頭公園の中では数少ない明るく開けた草原で、シロツメクサやギシギシ、イネ科の野草などが一面に生えています。ちょうどモンキチョウのオスとメスがシロツメクサの蜜を吸っていました。モンシロチョウやヤマトシジミも地面近くを低く飛んでいます。またギシギシにはベニシジミの幼虫が見られました。 チョウたちは、自分のエネルギー源になる蜜を吸ったり、幼虫の餌になる食草を見つけて産卵するためにこの場所を訪れているのです。

伸び始めた草原を歩くと、ショウリョウバッタの幼虫が勢いよく跳ねて逃げました。

その他、蝋物質を見にまとったアオバハゴロモの幼虫と成虫、コガネムシやテントウムシの仲間なども観察しました。

今回観察したのは、井の頭に生息する昆虫のほんの一部ですが、それでも昆虫たちの多様な姿や生活ぶりを観察する楽しさが充分味わえたのではないかと思います。

スタッフの方は、参加者の健康第一を考えて、日影を選び、水分補給の時間も考慮しながらご案内しましたが、みなさん元気に観察を終えられたことが一番の成果だったと思います。

中でも子どもたちは暑さもなんのその。次々と昆虫を見つけては、はりきってスタッフに見せにきていたようですね。

これからも、多様な昆虫が生息できる井の頭公園の自然環境が守られていってほしいです。

(レポート:高久)

第60回井の頭かんさつ会レポート

第60回井の頭かんさつ会

テーマ: 「井の頭池の生き物つながり」


日時: 2010年6月20日(日) 午前10:00~12:00

場所: 井の頭池

集合: 午前9時45分 井の頭池ボート乗り場前

主催: 井の頭かんさつ会

後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内:

田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)

大原 正子

高野 丈(NACS-J自然観察指導員)

高久 晴子

佐藤 誠

田中 雅子(NACS-J自然観察指導員)

大橋 博資

上村 肇

協力:

安藤伸良、酒井建樹、竹内隆一、藤森秀一朗、別紙直樹

参加者:26名


レポート

心配された雨雲を皆の執念で吹き飛ばし、梅雨時にしてはまあまあのお天気で観察会はスタートしました。 茶色に濁った井の頭池、そこにどんな生き物達がいるのだろう~参加者達のワクワクした気持ちが伝わってきました。

最初の探索場所はお茶の水池北岸の枝垂れ柳周辺。日ごろ外来魚調査に活躍しているスタッフがチェストウェーダー(胸まである胴長靴)とライフジャケットを着用して池に入り、水中に張り出た柳の根っこの下をサデ網やタモ網でガサガサ~~ すると、網の中には小さなエビ類やハゼ類が何匹も入っているではありませんか! 外来魚調査を始めたころには失われていた光景です。 それらをプラスチックトレイや透明ケースにいれて、皆でじっくり観察。皆初めて観る池の中の小動物に目をぱちくりでした。

次は藤棚の下に移動。、殆どの方たちはそこにあることも気づいていない水中の7つの土管の中の調査です。その土管は直径1m位で、その昔、公園が水生植物を生やそうと設置したらしいのですが、今はオオクチバスの産卵場所になっているため、我々が繁殖抑制活動を行っている場所です。 その土管の中をかき回すと、エビ類、ハゼ類が出てきて、それを網で掬いました。また、後から詳しく観るために底の泥も採取しました。

いよいよ弁天池畔の分園入口前でこの観察会のクライマックスを迎えました。顕微鏡での微細生物の観察です。 参加者たちも、プランクトンネットを使って、陸上からプランクトンの採取。 また、スタッフがいろいろな生き物や、プランクトンの入った池の他の場所の水も予め採取し用意しておきました。 糸のような小さなアカムシを実体顕微鏡で拡大してみると、そこには迫力のある真っ赤なアカムシが~ 肉眼ではただ濁っている池の水も、顕微鏡で100倍にしてみると、なんと美しいクンショウモ(植物プランクトン、緑藻類)の姿が~! 珪藻も藍藻も見えます~ ゾウミジンコやワムシもぴょこぴょこ泳ぎ回っています~

最後に、田中代表が、これらの小さな生き物達が他の生き物に食べられ、さらにその食べた生き物達も別の生き物に食べられて命が繋がっていくこと、そして、誰かが持ち込んだオオクチバスやブルーギルなどの外来生物が増えて、その繋がりがおかしくなったことを解説し、質疑応答も加えて観察会を閉じました。

この観察会は、普段目にすることの出来ない池の中の生き物達を観て、参加者はサプライズの連続だったかもしれません。

(レポート:大原、)

 

第59回井の頭かんさつ会レポート

第59回井の頭かんさつ会

テーマ: 『鳥たちは春の渡り中 ~春の夏鳥探鳥会~』


日時: 2010年5月16日(日) 午前9:00~11:00

場所: 井の頭公園

集合: 午前8時45分 井の頭池ボート乗り場前

主催: 井の頭かんさつ会

後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内:

高野 丈(NACS-J自然観察指導員、井の頭バードリサーチ代表)

田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)

小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

大原 正子

佐藤 誠

高久 晴子

田中雅子(NACS-J自然観察指導員)

日置 日出男

大橋 博資

上村 肇

協力: 井の頭バードリサーチ

参加者:45名


レポート

59回目のかんさつ会は天候に恵まれて、爽やかな初夏の日和を迎えました。 今回のかんさつ会のテーマは探鳥会で、ねらいとしては季節移動中の夏鳥がこの井の 頭公園で羽を休めているのを「声」を頼りに見つけるというものでした。私の経験 上、野鳥の探し方は「声8割、眼2割」です。たとえ姿が眼に見えなくとも、声を聴く ことができれば「存在」に気づくことができるのです。

観察会は探鳥に出発する前に「声の予習」からスタートしました。私は同じ種のい ろいろな鳴き方のパターンを用意してきました。声を憶えるには鳴き方ではなく「声 質」そのものを憶えなければ、実践で役立たないのです。よく「焼酎一杯ぐいっ」や 「東京特許許可局」などいわゆる「ききなし」の話がありますが、フィールドではど れがそれだか全く見当がつかず、ほとんど役に立ちません。私は1種あたり数パター ンの声を用意し、スピーカーをつないで参加者に聞いてもらいました。子供班は小町 指導員の用意した別プログラムに取り組みました。

声の予習が終わったところで慣れている人班、初心者班、既に分かれていた子供班 の3班に分かれ、探鳥に出発しました。いよいよ実践というわけです。各班、リー ダーも 参加者も全員が聴覚に集中し耳を澄まして歩きましたが残念ながら「お目当ての声」 は 少なめでした。主に聴こえた「声」はカワセミとシジュウカラの声くらいでした。 すっかりカモの去った池で遠くにわずかに見えたバンの雛をフィールドスコープで観 察し、 森へ向かいました。 森では昨日聴いていたキビタキのさえずりを期待しましたが、今日はいなくなって いました。昨日の個体はかなりの歌い手だったので残念でした。その後、昨日下見で 観察したアオバトが再び「春の実」である各種サクラに来ているとの報で急行しまし たが、残念ながら間に合わず、到着したのは飛去した後でした。  気を取り直し、あらためて小鳥の森を徹底的に探すとセンダイムシクイとキビタキ ♀を かろうじて見つけることはできましたが、さえずり予習の実践ができたのはセンダイ ムシクイだけでさえずったのは2回だけ、キビタキは♀だったこともあり、目視がた よりでした。

この日、各班が眼と耳で観察できた野鳥をまとめるとカイツブリ、カワウ、オシド リ、カルガモ、バン、 キジバト、カワセミ、アオゲラ、コゲラ、ツバメ、ヒヨドリ、センダイムシクイ、キ ビタキ♀、 エナガ、シジュウカラ、メジロ、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラスの 20種となり、 佐藤班ではシジュウカラの幼鳥をじっくり観察できたそうです。

今回は「声」にこだわったので、最後に各班が全て合流したところでイントロクイ ズを実施しました。 全問正解の方がいらっしゃれば記念の品をご用意しようと思いましたが、残念ながら 該当なしでした。

最後に国際生物多様性年にふさわしい話、月曜日に確認したミゾゴイが今朝の朝日 新聞に掲載された 事例を紹介し、当地の持つ自然環境が生物多様性保全上重要だということを参加者に お伝えして観察会を終えました。

(レポート:高野丈)

第58回井の頭かんさつ会レポート

第58回井の頭かんさつ会

テーマ: 「光と色の自然観察 ~春の色といきものたち~」


日時: 2010年4月18日(日) 午前10:00~12:00

場所: 井の頭公園

集合: 午前9時45分 井の頭池ボート乗り場前

主催: 井の頭かんさつ会

後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内:

小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

田中雅子(NACS-J自然観察指導員)

高久 晴子

田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)

高野 丈(NACS-J自然観察指導員)

佐藤 誠

大原 正子

大橋 博資

上村 肇

参加者:29名


レポート

今回の井の頭かんさつ会は「光と色の自然観察 ~春の色といきものたち」とテーマを設定してみました。 これまでのかんさつ会では鳥、植物、昆虫といった分野ごとか、 神田川、井の頭池といった場所に焦点を当ててテーマを決めていましたが、 今回は光と色というちょっと今までとは違ったテーマで解説を試みました。

ここ1週間弱、天気が不安定で、前日には4月半ばなのに雪が降るような天候でしたが、 当日は光が溢れ、輝くようないい天気で、まさに光と色をテーマにするには相応しい天候でした。 井の頭かんさつ会の”雨が降らない伝説”は相変わらず、健在でした。

観察は大人班2班と子供班にわかれ、そのぞれの班の講師から、 光や色について様々な角度から解説を行いました。班によっては、プリズムを用いて分光したり、 ペットボトルで青空のしくみを知ってもらい、太陽の光が白ではなく、 様々な色が混じって白く見えることを改めて認識してもらいました。

色としてまず、取り上げたのが、花の色です。青や紫色、赤やピンク、黄色、白、黒っぽい色など様々です。 花の色はどうして決まったのでしょうか?理由の1つは、花粉を運んでもらうため、 植物が持つ緑との対比で目立つ必要があります。 もう一つ、花粉を運んでもらうパートナーが好む色に進化していったと考えられます。 花を観察しながら、色や花のつくりを解説しました。

春は新緑が美しい季節です。新緑の緑にも焦点を当ててみました。 新緑が様々な緑となるしくみを説明し、芽吹きが始まった新葉には赤い色が非常に多いことも認識してもらいました。 これら新緑を日本人の伝統的な感性から、鶸色、萌黄、若草色、若葉色などの名前がついていることをお話しし、 理屈から離れて単に自然を”美しい”と感じてもらえる時間も大切にしてみました。

井の頭かんさつ会は5周年を迎えています。この5年間でのべ1500人以上の方々からご参加を頂き、 心から感謝しております。これからも都市公園の中の自然のドラマをやさしく解説していきたいと思っております。

(レポート:小町)

 

第57回井の頭かんさつ会レポート

第57回井の頭かんさつ会

テーマ: 「木々の履歴書 樹形」を楽しもう!


日時: 2010年3月22日(月祝) 午前10:00~12:00

場所: 井の頭公園

集合: 午前9時45分 井の頭池ボート乗り場前

主催: 井の頭かんさつ会

後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内:

田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)

佐藤 誠

大原 正子

小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

高久 晴子

田中雅子(NACS-J自然観察指導員)

日置 日出男

大橋 博資

参加者:37名


レポート

今回のかんさつ会は、「木々の履歴書=樹形」を楽しもう!というちょっとマニアックなテーマなので、参加者が集まるかどうか心配しましたが、心配は杞憂に終わり、37名(うち子供5名)もの参加者が集まりました。

観察は4班に分かれ、まずそれぞれのリーダーから、樹形とは先祖から受け継いできた遺伝的なものと、育った環境により後天的に得たものの組み合わせであることの説明をうけ、メタセコイヤやラクウショウ、ケヤキなどの姿を見ながら七井橋をスタートしました。

林の中の実生から育ったミズキの幼樹の形を見てその木が生まれついて持っている姿を知った後、大きく育ったミズキを見て、育った場所の日当たりや、ほかの木との競争、池の影響などでどんなふうに育ってきたかを考えました。

そのほかにもムクノキの板根がどうしてできたのか、その木の歴史を考えてみたり、過去に落雷で幹を真っ二つに裂かれたのであろうイロハモミジの木が頑張っているところや、2本のケヤキが1本にくっついてしまったのや、イヌシデがアカマツにもたれかかりそれでも空間の光を求めて枝を伸ばしているところを見て、その履歴を想像したりしました。

今回のかんさつ会では木にどんなことが起こったのかを想像することによって、 参加者の皆さんは自分がその樹木の気持ちになって、 その生きてゆく苦労を身をもって体験できたことが大きな収穫だったと思います。 木の根のすぐ近くが舗装されたり、人に踏み固められたり、 それによって木がストレスをうけている様子を見て「かわいそう」という声もあがりました。

我々に憩いと安らぎを与えてくれる樹木たちに、 都市公園という制約の中で、出来るだけストレスを与えず共存してゆくことが 非常に大切だということを再認識したかんさつ会でした。

(レポート:佐藤)