第196回井の頭かんさつ会 レポート

タ イ ト ル:    「地衣類って、何?」
■ 実施年月日:    令和4年12月18(土)10:00~12:00
■ 参 加 者 数:    16名
■ 実 施 場 所:  井の頭公園ボート乗り場前(集合)→ 狛江橋を渡ったペパカフェ(レストラン)下
         周辺の樹木 → 黒門周辺 → 日本庭園 → ペパカフェ下の開けた場所(解散)

■ レポート
 当日の未明まで雨が降り続きましたが、朝には快晴となり、寒い日でしたが参加された皆さんには初めての地衣類を楽しんでいただけたようです。最後に「面白かった」「楽しかった」という声も聞かれ、企画側としても嬉しく思いました。
 都会の自然の中にこのような生きものもいることを紹介し、「こんなところに地衣類!」という発見と共に、その生き方の不思議について知っていただけたらと企画しました。さらに、身近な環境でも様々な生き物が生息している生態系についても、少し思いを馳せていただけたらという思いもありました。
 都会の自然の中にこのような生きものもいることを紹介し、「こんなところに地衣類!」という発見と共に、その生き方の不思議について知っていただけたらと企画しました。さらに、身近な環境でも様々な生き物が生息している生態系についても、少し思いを馳せていただけたらという思いもありました。
 とは言え、地衣類初心者対象のかんさつ会なので、まずは「地衣類は植物?」「コケではないの?」など、お話しながら実際に地衣類を見て回りました。対象が微小でルーペでの観察が欠かせないので、場所は公園内の3ヶ所に絞り、色、全体の形状(大型葉状・小型葉状か、固着か、樹状か?)、子器の形(椀状か、ドーム状か、溝状か、など)、栄養繁殖器官(裂芽、粉芽など)をゆっくり観察しました。また、コケ植物と一緒に生育していることが多く、どう違う?なども観察しました。
 さらに、地衣類はそれぞれ特有の化学成分(二次代謝産物)を作るので、その簡易検出方法の一例として、次亜塩素酸ナトリウム希釈液(ハイター薄め液)による呈色反応も実際にやってみました。1滴たらすとすぐ赤変するので、化学成分の確認を実感できました。
 最後に、イワタケのように食用になるものや、トナカイの食料であったり(当日の夜のNHK番組「ダーウィンが来た!」でもやっていました)、染料や薬用、環境指標になったりと、人の生活にも関わりがあることもお話しました。


<見ることのできた地衣類(種名は見た目での判断)>

葉状地衣類:    ウメノキゴケ、キウメノキゴケ、ナミガタウメノキゴケ、マツゲゴケ、
          ハクテンゴケ、コフキメダルチイ、コナロゼットチイ、ロウソクゴケ
固着(痂状)地衣: コナロウソクゴケモドキ、ミズイロレプラゴケ*、レプラゴケ(類)、
          モジゴケ(類)、サネゴケ(類)、コフキバラゴケ*、ヘリトリゴケ、
          キッコウイボゴケ
樹状地衣:     ヒメジョウゴゴケ
               (*)化学成分検出の呈色反応を実施してみた地衣類

 

地衣類とコケ植物とは同じ場所に生育し、似ています.何が違うのでしょう?
案内者「これはナミガタウメノキゴケで…」
参加者「これが地衣類…!?」
石に固着する地衣類をライト付きルーぺで観察中.地衣類の観察にはルーペ必携です.
ルーペで覗くと別世界が広がります.

地衣類は安定した環境が維持されれば、同じ場所でじっくり何年もかけて生長する生物です。
公園の環境の変化の一つの目安として今後も公園で観察を続けてみたいと思います。
                                  (田中雅子・記)