第175回井の頭かんさつ会レポート

地衣類って、何?

■実施年月日:    令和1年12月22(日)13:00~15:00
■参加者数:    一般参加者 16名(大人15名、子ども1名)
井の頭かんさつ会スタッフ 10名
■実施場所:  三鷹市井の頭地区公会堂(集合・室内での解説)→ 黒門 → ペパカフェ下の樹幹 → 狛江橋手前の欄干 → 日本庭園 → 弁天橋欄干 → ペパカフェ下(解散)

■実施レポート
 都市部でも身近な生き物でありながら、ほとんど知られていない(気づかれていない)「地衣類」を、井の頭かんさつ会としては初めてとりあげてみました。
 地衣類の正確な見分けは、顕微鏡観察や地衣類が作る化学成分(二次代謝産物)の確認が必要なことが多く、野外において目視で正確に同定できるものは多くはありません。したがって、今回のかんさつ会も同定することや同定方法を覚えることが目的ではなく、身近な都市公園にも、気づいていないけどまだまだ面白い生き物がいることを紹介し、生き物の多様さを身近に感じてもらうこと、「地衣類」という藻類と共生して生育場所を広げている菌類の面白い生き方を知ってもらい、生き物や自然の魅力を伝えたいという思いで開催しました。
 また、大気汚染物質(二酸化硫黄やNOx)に対して敏感な地衣類があり環境指標となること、温暖化により従来見られなかった南方系の地衣類が見られるようになることなど、環境との関係についてもふれました。
 最初に30分ほど屋内でスライドによる基本的な地衣類の解説をした後、公園及び公園付近で見られる地衣類を観察しました。地衣体の形による違い(葉状地衣、固着地衣、樹枝状地衣)、繁殖体のいろいろ(子器の形や色、栄養繁殖を行う粉芽や裂芽など)、次亜塩素酸ナトリウム(ハイターの希釈液)による二次代謝産物の呈色反応(赤くなる)など、参加者の皆さん、熱心に観察していました。
 観察場所としては3~4ヶ所の限られた場所でしたが、19種の地衣類を観察しました。初めてのテーマで解説や観察方法など、わかりにくい点もあったと反省していますが、参加者の皆さんには、地衣類という生き物に興味を持っていただけたのではないかと思います。

フィールド観察前に地区公会堂で座学        こんなところにも地衣類が!      
1本の樹に7種類の大型葉状地衣類が!     コンクリートの橋の上にのダイダイゴケの仲間
ヘリトリゴケの黒い縁のある子器を観察     樹幹にかぶせたネット上にも小型葉状地衣類