来生物防除活動に至る経緯について

来生物防除活動に至る経緯について

餌やり抑制によって、カイツブリが繁殖できない池の実態を確認

040715_6061.jpg2004年7月の魚影井の頭かんさつ会立ち上げ前の2004年夏、私は仲間と共に井の頭池の水面近くにちらつく外来魚の影を確認し、がっかりしました。ブラックバスのゲリラ放流については昔から知っていましたが、愛する井の頭公園までも釣りの快楽を求める心ない人たちの欲求によって毒されていたなんて…ただ、その時は池中が外来種だらけの現在の状況になるとまでは予測できませんでした…

餌やり自粛キャンペーンは大変多くの方にご理解とご協力を賜り、餌やりが大幅に抑制されたのは素晴らしい成果だったのですが、皮肉にもこのことでカイツブリがまともに繁殖できない池の現状が浮き彫りになりました。なんと井の頭池の中は外来生物で満ちていて、在来生物が壊滅的に激減している状況だったのです。
本来、この池のカイツブリは頻繁に潜ってモツゴ(クチボソ)やスジエビなどの餌を採るのですが、それがなかなか観察できません。人が餌を与えなければ自力で餌を採りはじめるはずなのに…そして繁殖をはじめても、抱卵中に突如繁殖を放棄してしまうことが頻繁に起きるようになりました。070814[1].jpg親鳥が抱卵を放棄し、放置された巣と卵

これには餌不足が影響しているようで、ペアが十分な餌を採って相手に供給することができないために、抱卵している個体は空腹状態に耐えかねて巣を放棄してしまうということのようです。カイツブリに限りませんが、生きものは十分に餌が採れなければ繁殖することはできません。子育てをするということは、何羽分か余計に餌を採らなければならなくなるのに、卵が孵る前から自分たちが飢えているようでは到底無理です。そのことは親鳥も良くわかっているのです。
カイツブリがブラックバスやブルーギルを採れれば、まだいいのですが、これら外来魚は魚を食べる魚だけあってさすがに動きが素早く、採るのが難しいようです。たまに採るのを見かけますが、頻繁には採れないようで、これでは子育て不可能と判断するのも無理はありません。
私たちは、今まで水面下で見えなかったもののすぐ目の前にあった大きな問題にようやくここで気づいたのです。池の外来生物問題、これは放っておくわけにいきません。
餌やり問題を一段落させたのも束の間、次なる大きな問題が浮上してきました…
040518_2507.jpg微笑ましい子育ての様子をまた観たい

外来魚をめぐる2007年以前の動き

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2006年の夏、NPO神田川ネットワーク主催で外来魚駆除のイベントが催されました。
井の頭かんさつ会はこのイベントにオブザーバーとして参加しました。
イベントでは外来魚の調査という目的で、普段は禁止されている釣りが許可され、
NPOのメンバーが次々にブルーギルを釣り上げるのを、驚きながら見学しました。
ほとんど入れ食い状態で、大小次々に釣れるからです。井の頭池にはたくさんの
外来魚がいるのだと、その一部始終を垣間見ました。
イベントの終盤には外来魚問題を象徴するような大型のブラックバスを見つけ、
それも見事に捕えることができました。
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こうして私たちは井の頭公園が抱える環境問題の一つをはっきり
認識するに至ったのですが、繁殖力旺盛な外来魚ですので、
今回のようなイベントを年に何回か実施するだけでは問題の
根本的な解決にはならず、いずれ状況が悪化することを危惧しました。