第113回井の頭かんさつ会レポート

第113回井の頭かんさつ会

「楽しむ♪野鳥観察会」

日時:平成26年9月27日(土曜日)9:00~11:00
高野 丈(NACS-J自然観察指導員、井の頭バードリサーチ代表)
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
高久 晴子
佐藤 誠(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
田中 雅子(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
日置 日出男(森林インストラクター)
大橋 博資
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
佃 和夫(NACS-J自然観察指導員)

レポート

私が井の頭かんさつ会のメインのリーダーを初めて担当したのが、2005年9月開催の第4回でした。それから10年、かんさつ会は109回開催してきました。今回のテーマは10年前と同じ野鳥観察で、「楽しむ♪野鳥観察会」。10年前の会では、未熟な私は珍しい鳥や目立つ鳥を見つけることを目的や手段にしていました。当日は、1日中サンコウチョウを観察することができて、参加者は大満足でした。結果的には成功でしたし、井の頭公園の自然環境の貴重さを伝えることもできたのですが、今考えればギャンブルのようなものでした。
自然環境を評価するのは珍しい生きものの存在だけではありません。普通種とそれにつながっている生きものを含む生態系と、自然界の仕組みを知ることが大切です。また、珍しい生きものの観察は、見つけてしまえば、そこで満足してしまいがちです。五感を使って観察することで、その生きもののことをもっと深く知ることができます。手に取れない野鳥の場合は、視覚と聴覚しか使えませんので、じっくりと行動を観察することが大切です。「楽しむ♪バードウォッチング」はキジバトでも、ハシブトガラスでも、知っているようでまだまだ知らない生態を発見し、楽しむことを提案するものです。
当日は好天に恵まれました。参加者を4班に分け、探鳥を開始すると、早々にカワセミが現れてくれました。これをスワロフスキーの高性能なフィールドスコープでじっくりと観察することができ、上々のスタートでした。その後も、森ではアオゲラをじっくり観察でき、サクラの木ではモンクロシャチホコを捕食するツツドリを全員がスコープでじっくり観察できました。全体的にはそんなに鳥が豊富というわけでもなかったのですが、ポイントポイントでカギとなる鳥をじっくりと観察できたことに救われました。今回、フィールドへのインパクトと鳥を飛ばさないことに考慮し、各班が離れて行動するように心がけました。各班、観られた種はマチマチでしたが、それぞれ観察を楽しめました。
サクラがあるので、モンクロシャチホコがいて、それがツツドリの渡りを支えているという、生きもののつながりの一つをわかりやすく共有することができました。

(レポート:高野丈)