第111回井の頭かんさつ会レポート

第111回井の頭かんさつ会

■タイトル  「かいぼり後の池」 ~かいぼりでどう変わったか~

■実施年月日 2014年7月19日(土曜日)10:00~12:00

■参加者数  一般参加者名 41名(大人40名 子供1名)

井の頭かんさつ会スタッフ11名、保全活動班スタッフ6名

  • 実施場所 井の頭公園ボート乗り場前~お茶の水池エサやりデッキ~ボート池北岸~ひょうたん池
  • 実施レポート (作成:第11回企画担当 上村 肇)
    昨年に引き続き、7月のかんさつ会は「井の頭池のかいぼり」をテーマに行いました
    本年1月から3月にかけて行われたかいぼりで井の頭池がどう良くなったのか、或いは思
    い通りにならなかったのか、新たな課題は見つかったのかを4つの切り口で調べていきます。さらに、金魚やメダカ・タイリクバラタナゴといった新たな放流魚が見つかっている現実を踏まえ
    て、水の中だけを相手していてもかいぼりの目的は達することは出来ず、池を訪れる多くの人々の
    目と意識が池の維持にとても重要だとの説明も行いました。
    かいぼり作業を見ていない参加者にも変化が理解できるように説明を行いました。
  • “最初の切り口は「水(水質)」です。集合場所の左右にある七井橋・狛江橋からそれ ぞれの池を
    覗き込んで池の水の違いを見て、直感的に感じた後でマーカーを沈めてかいぼり後の池の方が
    約2倍の透視度があることを確認しました。当日は小雨模様ということもあり、反射が少なかった
    ため七井橋では池底までしっかりと見えていました。続いて「水草」を調べます。七井橋の西側には育ち始めたたくさんの水草が見えるようになってい
    ます。かいぼりをした際には露出した池底には、全く見られなかったことを説明すると参加者から
    は、驚きの声が上がると同時に、透明度が上がることで池底に太陽光が届く事による変化だろうと
    いう、的確な指摘も返ってきました。さらに水質の改善や生物多様性のベースといった水草の効用
    を説明するとこれからの池に対する期待も大きくなったようです。三番目は「トリ」です。かいぼり前には暫く見られなかったカイツブリの子育てが今年はいくつも
    確認されています。卵を抱えた親や、親の後をついて回るヒナたちを見て頂きながら、昨年までの
    実態を資料のグラフで説明してその違いとかいぼりとの関係を考えてもらいました。
    かいぼり前の池には外来魚ばかりでエビや在来魚の稚魚がほとんどいなかったため、ヒナたちのエ
    サが不足していたことがカイツブリに井の頭池を忌避させる要因になっていたのではとの回答が
    参加者から直ぐに返ってきて、関心の高さを表していました。”

    そして最後の「サカナ~外来魚の現状」です。池の中を覗く度に小さなブルーギルの稚魚がたくさ
    ん泳いでいるのが参加者の目にも嫌でも入ってきます。この池はかい掘りしたところですよね、と
    の指摘を参加者が思わず口にしていました。さらにオダ網やカゴワナといった定置網と手釣りで捕
    獲した数々のブラックバス・ブルーギルを見て事態の深刻さを確認しました。

    多くの参加者が井の頭公園駅前の親水エリアで子供たちがザリガニ捕りをしているのを見知ってい
    ましたが、池で捕れているサイズが大きめで、数も多いことにびっくりされていました。このアメ
    リカザリガニが井の頭池全体に蔓延し始めており、先ほど喜んだばかりの水草の復活がこれにより
    無に帰すかもしれないとの説明に絶句する参加者もありました。

参加者各位が今後も池の様子に興味を持って、その変化に気がついてもらえたらと幸いです。さらに次回のかいぼりへの関心を持って頂き、かいぼり作業への参加を具体的に検討してもらえる事も期待
して終わりました。