第103回井の頭かんさつ会のレポート

第103回井の頭かんさつ会

「秋の実り 公園の果実と種子を楽しむ」

日時:平成25年11月23日(土曜日)10:00~12:00
主催:井の頭かんさつ会
後援:東京都西部公園緑地事務所

案内:
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
佐藤 誠(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
田中 雅子(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
日置 日出男(森林インストラクター)
大橋 博資
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
佃 和夫(NACS-J自然観察指導員)

参加者:50名(大人33名+小人17名)

レポート

  かんさつ会で「空飛ぶ種」を飛ばしたい……そんな私のささやかな夢を実現するために、今回のかんさつ会を企画し、準備を進めました。
 秋は実りの季節。多様な果実と種が実り、それぞれ異なる機能や仕組みによって散布されます。今回のかんさつ会では、それを紹介しながら、転がしたり、飛ばしたり、味わったりして五感で楽しみました。
 今回は探鳥会の回並みに参加者が多かったので、声がきちんと届くよう、6班に分けました。
 ボート乗り場前のハナミズキの果実から観察を始め、ラクウショウの実を池に浮かべてみて水流散布の実験をしたり、イロハモミジやアキニレの種子を飛ばしてみたりしました。今回のテーマは見どころが多いので、各ポイントで少し話をしているだけで時間はどんどん過ぎていきます。ハンノキを過ぎて、スーパーボールのように跳ねるヤブランの種子で遊び、ルーペでヤブミョウガの種子の形の多様性を観察しました。
 サンシュユの果実を味わい、未熟なアオキの果実を観察し、すっかり古くなったコブシの種子やハゼノキの種子を観察し、御茶ノ水でスダジイを拾って味わう頃には1時間近くが経過していました。今回は三角広場までということで、経路が長かったので、なるべくポイントを絞らなければいけなかったのですが、観察を始め、話をし始めるとあっという間に時間は過ぎていきます。サワフタギ、ムラサキシキブ、サカキ、カナメモチ、イタヤカエデを観察し、弁天橋で何とか手が届くムクノキの実を味わい、日本庭園でコナラを拾う頃には残り30分!ここに来てようやく今回のテーマとコースを観察するには2時間では足りないことをはっきりと悟りました。
 その後は少し急ぎ足で三角広場を目指しました。サイカチの果実を拾い、マンリョウの果実を観察し、トネリコの種子を飛ばし、オニグルミの果実を拾い、三角広場にたどり着いたのは12時過ぎでした。まだまだ紹介したい実はたくさんあったのですが挨拶し、一旦終了しました。
 終了後すぐに、私がやりたかった余興をやりました。アルソミトラ マクロカルパ(インドネシア産)の、大きな翼のついた種を飛ばすというものです。この種はグライダーのようなつくりをしていて滑空します。一説にはステルス戦闘機のモデルになったともいわれます。下見で試験飛行した際には上昇気流に乗ってぐんぐん舞い上がり、ついには凧のように、大きなエノキの木に引っかかってしまいました。本番もそんな展開を期待しましたし、そこで拍手喝采を浴びるというのが、私のささやかな夢でした。しかし、この日は風が弱かったので、下見の時のように飛ぶまでには至りませんでした。それでも、よく滑空し、好評をいただくことはできました。


 昼過ぎには予報通り暖かくなりました。会終了後の親睦会にも多くの方が参加してくれ、自然観察談義に花が咲きました。またいつか、「飛ぶ種」アルソミトラを青空に飛ばしてみたいものです。

(レポート:高野、写真:上村)