第50回井の頭かんさつ会レポート

第50回井の頭かんさつ会
テーマ:「夜のふしぎ発見探検」


日時: 2007年8月15日(土) 午後6:30~8:30
場所: 井の頭公園

主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所
集合: 午後6時15分 井の頭池ボート乗り場前
案内:
小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
佐藤 誠
田中 雅子(NACS-J自然観察指導員)
日置 日出男
大橋 博資
杉浦 千愛(NACS-J自然観察指導員)

参加者: 40名


レポート

今回のテーマは8月恒例の不思議と驚きがいっぱいの夜の観察会です。
夏らしい夕暮れ、天気も上々。集合はいつものボート乗り場前です。夏休みということで、子どもたちも数多く参加してくれました。中には公園周辺に帰省中のついでに観察会に参加してくれたご家族もいたようでした。七井橋の上で、暮れていく空や、塒入りの時を待つコサギ、飛び立つゴイサギを観察しました。

一旦池を離れ、野外ステージ横の道を暗がりに入っていきます。子どもたちは懐中電灯を片手に暗闇を進むだけで、すっかり冒険気分で興奮気味でした。最初の主役は樹液の甘い匂いに集まる夜の虫たち。。。といても今回目立ったのは大量のゴキブリと同じく大量のカマドウマでした。それでも参加者達は歓声?(悲鳴?)を上げて喜んで?(怖がって?)いました。その外にも、サトキマダラヒカゲやハラビロカマキリなんかも見つけました。七井橋に戻ると、あたりは随分暗くなっています。次の主役、コウモリの観察です。ただ、当日は池の上にあまり登場してくれません。しかたなく、水辺を観察しながら、池沿い進みます。途中、ライトの光で赤く不気味に輝く目を持つエビや寝ているブルーギルなど見られ、大騒ぎです。また、意外にも羽化直前のセミの幼虫は池沿いのコンクリート製の柵にも多いのです。

スタッフがあらかじめ仕掛けておいたオダ網を引き上げてみます。網の中にいたブルーギルは完全に寝ては居ませんでしたが、動きが悪く、寝ぼけ状態でした。御茶ノ水橋の上で再びコウモリの観察、バットディテクターでコウモリが餌を捕まえる時の音をキャッチ。皆さんコウモリを間近に見て、声を聞いて、親しみを覚えたようでした。バットディテクターを用いて他の生き物を探してみました。何と!木の上鳴いているキリギリス類をピンポイントで発見!翅を擦り合わせるキリギリス類の鳴き声には超音波の成分が含まれているのです。捕まえて観察しようとしましたが、残念ながら、逃げられてしまいました。

今年新たな発見は夜寝る葉です。マメ科のクズやノササゲ、ヤブマメなどは夜間、葉を閉じて寝ているのです。それらを観察し、第二公園に移動しました。全員でセミの羽化の様子を観察です。羽化したての透き通るようなセミの美しさに驚きの声が上がります。

夜の観察会は毎年少しずつ発見があり、ネタがドンドン増えてしまい、2時間の時間内に収めるのは大変でした。それでもまだ、皆さんが気づいていない驚きがきっとあるはずです。

観察会も今回で第50回、立派な歴史が生まれてきました。これからもいろいろな人から愛されるような観察会を続けていけるようスタッフ一同、頑張っていきたいと思っています。


(レポート:小町)

第49回井の頭かんさつ会レポート

第49回井の頭かんさつ会
テーマ:「植物たちの日照権争い~つる植物の生存戦略」


日時: 2009年7月26日(日) 午前10:00~12:00
場所: 井の頭池畔、玉川上水緑道
集合: 午前9時45分 井の頭池ボート乗り場前

主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所
案内:
佐藤 誠
大橋 博資
日置 日出男
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
高久 晴子
杉浦 千愛(NACS-J自然観察指導員)

参加者員:20名


レポート

素晴らしい好天に恵まれた7月26日(日)第49回かんさつ会が行なわれました。

今回は、いつもと参加者の様子が少し違います。まず参加者の人数が、20名・・・ いつも参加希望の人が募集人数をオーバーしてしまうのに。また珍しいことに子どもの 参加者も一人もいません。夏休みに入っているというのに!! その原因は、参加者の一人のこんなメールに隠されていました。 「今回のテーマは植物の日照権争いとか、生存戦略とか・・マニアックですね」 そうです。実にセンセーショナルでしかもマニアックなテーマだったのです。 しかも対象は植物の中でも、普段はあまり気にも留めないつる性植物なのですから。
でもこの反応こそ今回の計画メンバーの狙いだったのです。 つる性植物、普段は目に付かないつる性植物ですが、井の頭公園周辺に意外と多い のです。ざっと廻って探してみただけで30種類以上あります。実際にはもっと多い と思われます。 そんなつる性植物。葛・山葡萄・ツタなどのように他の木などに絡みつき、上へ上へ と伸びて行き、最後にはその木などを覆い尽くしてしまうのはどうして?そんな素朴 な疑問を抱かせくれます。 観察をしないわけにはいきません。特にこの季節はつる性植物の一番の成長時期でも あると同時に、多くの種類が花をつけているのですから。

前置きはここまでにして、実際のかんさつ会の様子を報告します。。 20人を3つの6~7人とこじんまりグループに分けスタートしました。 「植物は光合成をしなければ生きてはいけません。しっかりとした茎や幹を持たない つる性植物は、他の草本などを支えにして太陽目指して成長していくのです」 と今回のかんさつテーマを小出しに話しながら、様々なつる性植物の成長の様子、他の 草本を利用する様子、つるの巻き方などなど観察する内容は膨大でした。

特にカラスウリの先端のつるを指で刺激すると、なんと2~3分で指に巻きつこうと 先が丸く曲がってくる、テイカカヅラは太陽の良くあたる場所に生えている葉は大きく、 当たりにくい場所の葉は小さいなど、面白い発見が数多くありました。
その中でもやはり圧巻だったのは葛の太陽を求めての生存戦略でした。スタートで橋の上 から見た、お茶の水橋の横の大きな緑のかたまり。行ってみるとそこには10メートルを 越す木を覆った緑のかたまり!!まさにマントのようでした。しかもそのマントは、太陽の陽を如何にたくさん受けとるかを、実に巧みに考えた戦略を持っていたのです。 まず、5月は枝も葉も無い枯れたような細い茎があっただけだったものが、3ヶ月たった現在は10メートルの大きな木を覆うほどの成長を見せています。さらに3枚の複葉を閉じたり開いたりして無駄なく太陽の光を受け止め、更なる成長をめざしています。
同じように、細い幹から大きな木の先までその枝を張り巡らせている藤・山葡萄など太陽を求めての戦略を繰り広げているつる性植物たちの姿は感動的ですらありました。
それは、玉川上水のほとりでも見られました。上水の柵を頼りに日照権争いを繰り広げている植物たちの中にも、ヤマノイモの仲間のオニドコロのマント状態がはっきりとかんさつ出来ました。
さらにつるの巻き方、右巻きか左巻きかなど専門家でも混乱している問題ついても触れ、弁天様入り口の扉の両脇に生えている藤を観察しての、巻き方による藤と山藤の違いなど 実際のまき方から植物を同定できる事を語り、かんさつ会としての統一した見方などについても話をしました。

見て名前を覚えるだけではなく、実際に触ったり、匂いをかいたり、味わってみたりと五感を駆使してのかんさつの面白さを満喫したかんさつ会でした。


(レポート:日置)

第48回井の頭かんさつ会レポート

第48回井の頭かんさつ会

テーマ:「池の生き物探し~水中の生態系を考えよう」


日時: 2009年6月21日(日) 午前10:00~12:00

場所: 井の頭池

集合: 午前9時45分 井の頭池ボート乗り場前

主催: 井の頭かんさつ会

後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内:

田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)

大原 正子

小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

高野 丈(NACS-J自然観察指導員)

高久 晴子

佐藤 誠

日置 日出男

大橋 博資

杉浦 千愛

参加者:25名(雨天のためキャンセルあり)


レポート

井の頭公園の特徴のひとつとして「井の頭池」があげられます。そして池があることは、周辺の生き物にとって大きな意味をもっていると考えられます。井の頭の自然を考えるうえで、池は重要な場所であることは間違いなく、第48回井の頭かんさつ会のテーマとなりました。

しかし、相手は水の中にいます。鳥や樹木の観察のように双眼鏡でみることも、昆虫や花々のように近付いてルーペでみることもできません。スタッフ一同頭を悩ませました。  下見調査を繰り返し、池の生き物の捕獲、プランクトン等の採取を参加者ができるだけ体感できるようなプログラムを考えました。

当日の朝、天気は気象庁の予報を裏切らず、本格的な雨模様でした。数人の参加者のキャンセルもでましたが、多くの方が傘をさし、長靴を履きボート乗り場に集まってくださいました。みなさんの意識の高さを感じました。そんななか定刻に挨拶と注意事項・コース説明を終え、観察会はスタートしました。

まず七井橋の上からお手製のプランクトンネットを投げ入れ、参加者に橋の上からカメの散歩をするように引いていただきました。  これは、動物性プランクトンや植物性プランクトンなどを採取するのですが、もちろん橋の上から見えたり、手応えがあるわけではありません。参加者の方々は、少し不安な感じで採取を体験していただきました。結果は、後でのお楽しみです。

七井橋を渡り、池の北側をお茶の水方面に歩き、池の淵ギリギリのところにあるヤナギの下でガサガサをしました。ガサガサとは、タデ網という“どじょうすくい”のときに使用するカゴのような形の網で、生き物がいそうな場所をガサガサとすくいとるのです。 この作業は池に入らなくてはならないので、スタッフによって行われました。 事前の調査により、池のなかに伸びているヤナギの根が小魚等の隠れ家になっていることがわかっていたので、予想どおりにスジエビ・ヌマチチブ(幼魚)を観ることができました。

さらに歩みをすすめ、前日の夕方と当日の朝に仕掛けたトラップを参加者の皆さんに引き上げていただきました。作業を囲むようにみている参加者の目は、大人も子供も同じく興味津々な眼差しでした。  トラップはなるべく多くの生き物が入りそうな場所を選んだのですが、悪天候のせいか下見の時よりも量はいくぶん少なかったようです。しかし、これも自然の側面ですのでしかたありません。 とはいえ、井の頭池で増え続けている外来魚であるオオクチバス(稚魚)・ブルーギル、なんとか生き残っている在来種のモツゴ(クチボソ)・ヌマチチブ・テナガエビなどを観ることができました。

次に井の頭かんさつ会オリジナルの常設が可能なトラップである「オダアミ」の説明が製作にたずさわった大原氏によってなされました。「オダアミ」は、大きく口が開いた網状のもので、生き物の出入りが自由であることが特徴です。カメのような息継ぎをしなくてはならない生き物が入っても窒息しないので、常設が可能となりました。名前にある“オダ”は、池に浮かぶ木の枝や枯れ葉などの浮遊物を現す言葉です。このオダは、水中の生き物にとって身を隠すのに便利なものと考えられています。そのオダを人工的に作り生き物のたまり場にして引き上げます。すると小魚等の生き物は、水の深いところに逃げようとする性質があるので、上に大きく口を開けていても小魚等を捕らえることができるのです。生き物の習性を利用したこの方法は、他の場所の外来魚問題を考えている団体からも視察にみえたほどの優れものです。

いよいよ採取した池の生き物をルーペや顕微鏡を使っての観察です。本来は、会場予定地である弁天池のほとりで、参加者のみなさんに思い思いの場所から水や泥や池に浮いている落ち葉など採取していただき観察する予定でしたが、雨は、まだまだやみそうにありませんでした。そこで、雨の日用にかりていた三鷹市の施設である井の頭会館に移動することにしました。スタッフにより、和室の旅館のような公民館が顕微鏡がならぶ理科室のようにセッティングされました。 倍率の異なる顕微鏡ごとに班分けし、顕微鏡で生き物を探しです。

100倍の倍率の顕微鏡では、プランクトンネットにて採取した池の水を無作為にスポイトにて吸い取り、ピントを合わせていきました。すると、おもしろい形の植物性プランクトンが見えてきました。

20倍?40倍の倍率の顕微鏡では、まず池から採取した泥や落ち葉を含んだ水を白いトレイに移し、しばらくトレイ内の水が安定するまで待ちます。一見ただの泥水ですが、よく目を凝らしていると、何か動いているのが見えます。黒ごまよりもっともっと小さいものが動いています。ミミズのようにニョロニョロしているものいます。ゲジゲジのようなものも発見!あっちこっちのテーブルから、参加者の声がこだまします。でも、このような生き物を見つけるのは、どうも子供の方が得意なようです。

次に、見つけた生き物を慎重にスポイトで吸い込み顕微鏡にセッティングするのですが、思った以上に動きが速いのです。彼らを人間にたとえたら、ものすごいスピードでしょう。 黒ごまの正体は、ミジンコでした。初めて見たと感想をもらす参加者や小学生以来だと顔をほころばす参加者もいらっしゃいました。

赤くニョロニョロしていたのは、ユスリカの幼虫のアカムシです。成虫のユスリカは、ご存知の参加者もたくさんいらっしゃいました。しかしその印象は、あまりいいものではないようです。ユスリカは、私たち人間が公園などを歩いていると、ちょうど顔のあたりに蚊柱のようにまとわりついてきて気持ち悪いのです。しかし、実は井の頭の自然の食物連鎖の底辺をささえてくれている重要な生き物であると、とスタッフにより説明がなされました。

怪獣ゲジゲジは、エビやカニの仲間のミズムシでした。  スポイトによるほんの数滴の小さな小さな池の世界を垣間観ることができました。そしてその世界の集合体である池の中では、たくさんの命が絡み合っていることがわかりました。

これから池のほとりを歩く際に、今日のことを少し思い出していただければ、今までとは違った景色が見えるかもしれません。

※井の頭公園は里山のような自由な場所ではなく、多くの来園者が様々な楽しみ方をする公共の場です。第48回井の頭かんさつ会のプログラムを実現するにあったては、公園関係者の特別な許可をいただき行いました。

(レポート:大橋)

第47回井の頭かんさつ会レポート

第47回井の頭かんさつ会

テーマ:「渡りの夏鳥を探そう!2009春」


日時: 2009年5月9日(土)

観察会:午前9:00~11:00(希望者対象に延長~12:00)

親睦会:11時過ぎから

場所:井の頭池~御殿山~玉川上水~小鳥の森

主催: 井の頭かんさつ会

後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内:

高野 丈(NACS-J自然観察指導員)

田中利秋(NACS-J自然観察指導員、)

小町友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

高久晴子

佐藤 誠

田中雅子(NACS-J自然観察指導員)

大原正子

日置日出男

大橋博資

杉浦 千愛

参加者:45名


レポート

前日まで降り続いた雨もなんのその。 抜けるような青空の下、たくさんの方が双眼鏡を片手にご参加くださいました。 その数なんと45名!鳥の大人気ぶりが伺える人数です☆

観察する前に、こども班おとな班に分かれ「渡りの夏鳥ってなに?」「どんな種 類がいるの?」 など夏鳥についての解説からスタートしました。写真や録音した鳥の鳴き声など を使ってレクチャー、 クイズ形式でさえずりを聴き比べたりしました。

その後、4つのグループに分かれて観察を開始。 まず七井橋で今季初のオオヨシキリの声を聴きました。 姿は見られませんでしたがその特徴的な鳴き方「ギョギョシ」にみなさんじっく り聴き入られていました。 つづいて御殿山では夏鳥の声は聴こえるものの姿はみえず、枯れ木で元気に動き 回る留鳥の コゲラを見つけました。同じキツツキでも種類によって住み分け、餌を探してい ることなどを話しながら 観察しました。 小鳥の森付近では、キビタキやセンダイムシクイの声を確認するも・・・姿を見 ることができず消化不良でした。

あとからわかったことですが、この日はかんさつ会開始前にツミがハンティング に現れたようで、小鳥たちがなりを ひそめてしまっていたようでした! 相手が自然なだけに、いつどこでどの鳥と出会えるかわからないのが鳥観察の醍 醐味ですが、今回は 思うように見られず残念でした。

最後に「夏鳥は何故井の頭に来るのか?」をみんなで考え、指導員が解説を行い ました。 また、最近井の頭公園に飛来ししばらく逗留していた「ミゾゴイ(絶滅危惧ⅠB 類)」の話題を取り上げ、 玉川上水と井の頭公園のまとまった緑と水の環境がいかに貴重であるか、そして その環境を守ることは 生物多様性を考えた時どれだけ重要であるかということをお話ししました。 いつまでも渡り鳥がやってくる井の頭公園でいてほしい!そんな思いを語りつつ 終了しました。

終了後、数人の方が延長探鳥会に参加されました。井の頭公園では井の頭かんさ つ会4周年記念の 親睦会を行い、新緑の中、参加者のみなさまと楽しいひと時を過ごしました。

(レポート:杉浦)

第46回井の頭かんさつ会レポート

第46回井の頭かんさつ会

テーマ:「活動し始めた昆虫たち」


日時: 2009年4月19日(日) 午前10:00~12:00

場所: 小鳥の森・玉川上水周辺

集合: 午前9時45分 井の頭池ボート乗り場前広場

主催: 井の頭かんさつ会

後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内:

高久晴子田中利秋(NACS-J自然観察指導員)

小町友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

高野 丈(NACS-J自然観察指導員、)

大原正子

田中雅子(NACS-J自然観察指導員)

日置日出男

佐藤 誠

大橋博資

杉浦 千愛

参加者:39名


レポート

春と言うより初夏を思わせるような日差しと気温の中、第46回かんさつ会は39名もの参加者を集め、定刻の 午前10時に井の頭池ボート乗り場前から始まりました。

まずイロハモミジやツルニチニチソウにつく アブラムシの観察です。普段は気にも留めないアブラムシですがそこには色々な生き物のかかわり合いが あります。アブラムシを食べるテントウムシが集まり、幼虫がアブラムシを食べるヒラタアブが 産卵に訪れ、ヒラタアブの幼虫やさなぎも見つかりました。また寄生バチに寄生されてミイラのように なったアブラムシなどもありました。

次に御殿山の梅林の下でスジグロシロチョウやキチョウ、そして春にしか見ることのできないツマキチョウ などシロチョウの仲間や長い触角がユーモラスなヒゲナガガ、美しく青光りするオサムシ、テントウムシに そっくりなイタドリハムシなどを観察しました。

最後は玉川上水の沿道と小鳥の森の周辺です。ここでは木の枝に擬態して隠れているナナフシや羽化した ばかりのヨコズナサシガメ、ノイバラに集まるキイロテントウなどを観察し、定刻に終了となりました。

2時間の短い時間でしたが、美しい昆虫を見るだけでなく昆虫たちがどうやって身を守り子孫を増やして 行こうとしているのか、それぞれの係わり合いはどうなっているのか、新たな興味を持っていただけた 観察会でした。

(レポート:佐藤)

 

第45回井の頭かんさつ会レポート

第45回井の頭かんさつ会

テーマ:「早春の野草~わき役たちの知恵」


日時: 2009年3月22日(日) 午前10:00~12:00

場所: 神田川ゆうやけ橋周辺

集合: 午前9時45分 京王井の頭線井の頭公園駅前

主催: 井の頭かんさつ会

後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内:

日置日出男

佐藤 誠

大橋博資

田中利秋(NACS-J自然観察指導員)

小町友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

大原正子

高久晴子

杉浦 千愛

参加者:33名


レポート

今回も井の頭かんさつ会の(晴れ伝説)は生きていました。 雨予想50%、風も強まるというイヤーな予報にも負けずに! 「早春の野草~わき役たちの知恵」というテーマの第45回 井の頭かんさつ会が、総勢41名で楽しく行なわれました。

野草とひとくちにいっても、それぞれ名前を持ち、子孫を残す ための様々な素晴らしい知恵ー戦略を持っているのです。 今回のかんさつ会は草花の同定だけではなく、その素晴らしい 戦略をじっくりと観察しました。

4グループに分かれた参加者と案内人たちは、井の頭公園駅 から三角広場までの狭い地域で、4つのコースに分かれて、 細かく観察して廻りました。 地面に平らに広がり、太陽をいっぱいに受けて春を迎えるタンポポ などのロゼット葉、小さな花でしかもおしべが2本しかないのにも かかわらず、一面に広がって咲いているオオイヌノフグリ、花に虫が 止まるとおしべが自動的に現れて虫の体に花粉が付く仕掛けの マメ科の花々などなど・・・ 各案内人ごとのそれぞれ少しずつ内容の違った案内もまた味な ものでした。

終了時間と同時に待っていたかのように風雨が強くなった事も さすがかんさつ会という声が出るほど、充実した時間でした。

かんさつ会終了後、「手づくり郷土賞」の授章式にさんかし、 かんさつ会の田中代表のあいさつに大きな拍手をおくり、 楽しく充実した一日の締めくくりとしました。 参加者の皆様 お疲れ様でした。

(レポート:日置)

 

第44回井の頭かんさつ会レポート

第44回井の頭かんさつ会

テーマ: 「冬芽~樹木に潜む妖精たち


日時: 2009年2月7日(土) 午前10:00~12:00

場所: 井の頭公園周辺

主催: 井の頭かんさつ会

後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内:

小町友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

田中利秋(NACS-J自然観察指導員)

高野 丈(NACS-J自然観察指導員)

大原正子

佐藤 誠

高久晴子

田中雅子(NACS-J自然観察指導員)

日置日出男

大橋博資

参加者:41名


レポート

立春を過ぎた当日は、いかにもかんさつ会日和の春めいた好天気に恵まれました。

今回のかんさつ会の大きな特徴は、少人数制を採ったことです。参加者を六つのグループに分け、それぞれに案内役がついて、参加者が一つ一つの植物をじっくり観察しながら説明を聞くことができるように工夫しました。

観察予定の冬芽は25種。それぞれ実物を観察して特徴をつかみ、あらかじめ印刷された資料の写真と照合したり、名前を推測したりしました。また、「鱗芽」「裸芽」「葉痕」などの冬芽に関する用語を学び、これも実際にルーペなどを使って細かい部分まで観察して確かめました。

もう一つの楽しみは、樹木に潜む妖精を見つけることです。冬芽と「葉痕」の造形が、まるでおとぎ話に出てくるような人や動物を連想させ、その不思議さに思わず驚きの声があがります。

まるで枯れてしまったように見える樹木。しかしよく観察してみると、冬芽だけからも植物の名前がわかるほど個性豊かでした。樹木はこのように多様な戦略をもって冬越ししているのだということが、観察を通してよく理解できたのではないでしょうか。

(レポート:高久)

 

第43回井の頭かんさつ会レポート

第43回井の頭かんさつ会

テーマ: 「冬鳥探鳥会」


日時: 2009年1月18日(日) 午前9:30~12:00

場所:三角広場~ボート池南畔~第二公園~小鳥の森

(~松本訓導碑前~小鳥の森)

主催: 井の頭かんさつ会

後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内:

高野 丈(NACS-J自然観察指導員)

田中利秋(NACS-J自然観察指導員)

小町友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

大原正子

佐藤 誠

田中雅子(NACS-J自然観察指導員)

日置日出男

大橋博資

参加者:39名(うち子供5名)


レポート

前日とうってかわって曇りの暗い探鳥会となってしまいました。でも、冬の公園はすっかり葉が落ちて、小鳥たちを観察するには絶好のチャンスです。

今回の探鳥会は、声によって冬鳥を探すことと真冬に必死に餌を探す鳥たちの行動を観察してもらうことがねらいです。冬は鳥のさえずりのない時期ですが、鳴き声はやはり鳥たちの存在に気付き、姿を見つける重要な鍵です。最初にこの時期に見られる鳥の声の録音を聞き、軽くウォーミングアップと復習。その声を耳に残して、三角広場からボート池畔、さらに第二公園から小鳥の森までを鳥たちを探しながら歩き、残ったわずかな実や種をつついたり、樹々にわずかにいる虫を探したりする鳥たちの姿や、地面に落ちた種をついばむ鳥たちの様子を観察しました。特にサワラの実をつつく黄色いカワラヒワ、ハンノキの実をついばむシメ、地面に降りてきてさかんに何かをついばむアトリは印象的でした。

観察できた鳥は、三角広場からボート池畔ではハクセキレイ、メジロ、シジュウカラ、ヒヨドリ、カワラヒワ、コゲラ、シメ、ウグイス(声のみ)、第二公園から小鳥の森ではムクドリ、ツグミ、アトリ、ルリビタキ、ワカケホンセイインコ。中・上級班では、さらに、エナガ、シロハラ、カワセミ、モズ、アオゲラ(声のみ)、カワウの飛翔。

また、観察会終了直後にジブリの森の運動場にイカルの群れ(30~50羽)が来て、まさしく一心不乱に残ったエノキの実をついばんでいる様子を観察することができ(解散後だったので、残念ながら全員ではありませんでしたが)、今回のテーマである「冬の鳥の行動」を目の当たりにしました。

(レポート:田中雅子)

 

第42回井の頭かんさつ会レポート

第42回井の頭かんさつ会

テーマ: 「生き物たちの時間割」


日時: 2008年12月20日(土) 午後3:30~5:30

場所: 井の頭池およびその周辺

集合: 午後3時15分 井の頭池ボート乗り場前

主催: 井の頭かんさつ会

後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内:

田中利秋(NACS-J自然観察指導員)

小町友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

高野 丈(NACS-J自然観察指導員)

大原正子

佐藤 誠

高久晴子

田中雅子(NACS-J自然観察指導員)

日置日出男

参加者:24名


■2008年忘年会■

日時: 2008年12月20日(土) 午後6:00~8:00

場所: 吉祥寺駅近くの店


レポート

今回のテーマは「生き物たちの時間割」。時間は昼と夜の狭間。鳥たちを中心に、昼間活動する鳥たちは夜へ向けてどんな動きをするか、夜行性の鳥たちはどんな動きをするのかを観察しました。

まず、七井橋中央で、夕暮れ前に見える鳥たち、ゴイサギ島の10余羽のゴイサギ、水面のカモたち、上空を横切ったり木々の周りで飛び回って見える小鳥たちを観察しました。

そうこうするうちに、コサギが1羽、2羽とゴイサギ島へ飛んできます。最終的には5羽のコサギが集まってきました。そして16:53、ついにコサギ5羽が一斉に塒入りの為に飛び立ち、お茶の水西岸に向かって飛んで行くのを観察。 すかさずコサギを追って全員でお茶の水西岸へ塒探しに行き、樹木の高い所に2羽の塒を発見しました。

一方、じっとしていた夜行性のゴイサギたちは、暗くなるにつれ、少しずつウォーミング・アップを始め、やがてクワッと大きなシワガレ声をあげながら2羽、3羽と暗くなった水面上空を飛んでいきました。全部で12羽ものゴイサギが昼間は藪の中に身を潜めていたこともわかりました。

暗い空を数羽ずつカモたちが飛んでいくのに気づいた人もいたと思います。

その一方で、だんだん日が沈み、空が薄暗くなってきた時、参加者の1人が一番星(金星)を見つけました。暫く後には二番星(木星)も見つけることができ、空が真っ暗となったころには、スコープを使って、金星が欠けている様子や、木星の衛星を観察することができました。その他ベガ、デネブ、アルデバラン、カペラなどの星も肉眼で見ることができ、スバルは双眼鏡で見ることができました。

七井橋の南端の芦島付近ではオオバンが塒入りしているところも観察しました。 また、終了後、希望者だけですが、忘年会開催の為に吉祥寺駅方面に向かい、駅前の街路樹をたくさんのセキレイが塒としている様子を観察することもできました。

夕刻の鳥たちの普段あまり気づかない様子を観察できて、鳥たちの暮らしぶりがいっそう身近になったのではないでしょうか。

忘年会は一般参加者17名とスタッフ7名の計24名で楽しく盛り上がり、今年最後の井の頭かんさつ会の行事を締め括りました。

(レポート:大原・高久)

第41回井の頭かんさつ会レポート

第41回井の頭かんさつ会

テーマ: 「生き物と季節」


日時: 2008年11月29日(土) 午前10:00~12:00

場所: 井の頭池~御殿山~小鳥の森

主催: 井の頭かんさつ会

後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内:

田中利秋(NACS-J自然観察指導員)

小町友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)

高野 丈(NACS-J自然観察指導員)

大原正子(井の頭かんさつ会事務局長)

佐藤 誠

高久晴子

田中雅子(NACS-J自然観察指導員)

日置日出男

参加者:27名


レポート

日本には四季があります。そこで暮らす生き物たちはそれぞれの季節と折り合いながら、あるいは季節を利用しながら生きています。今回のかんさつ会は、季節への対応という観点で生き物たちを見直してみようというテーマです。

まず、井の頭の池を見ました。夏に見られたツバメなどの鳥は見られなくなり、かわりに冬鳥たち(オナガガモ・キンクロハジロたち)が多く見られるようになってきています。また、一年中見られる鳥(カルガモなど)もいます。鳥たちは、なぜ、移動したり留まったりするのか、そのわけを考え、季節に対応して暮らす鳥たちの生き方に思いを馳せました。

森では、冬鳥のルリビタキ・ジョウビタキ・キクイタダキなどの小鳥が見られたグループもありました。

植物たちはどうでしょうか。落葉したり、紅葉したりする木々、実をつけて次の世代をつくる木々が目に付きます。その中で、サザンカやヤツデは花の盛りを迎えて、一際目立っていました。

ヤツデの花をよく観察してみると、雄しべだけが伸びている花と、雌しべだけが伸びている花がありました。ヤツデは雌雄同花で、時間差をつけて雄花から雌花へ変わっていく花です。見るとハエやアブがたくさん集まってきていました。初冬に咲くことによって虫たちを独占して花粉を運ばせていることがよく観察できました。

昆虫たちはどうでしょうか。カラスウリの葉には、トホシテントウの幼虫がついていました。また、ヨコヅナサシガメ(カメムシ)の幼虫が、木の洞で身を寄せ合って集団越冬しているのも見られました。その外、成虫で越冬するカメムシたちや、卵で越冬するジョロウグモも見つかりました。虫たちが、それぞれ、種類によって違うライフスタイルで季節に対応している様子が観察できたのではないでしょうか。

かんさつ会終了後、前回できなかった親睦会を、西園の芝生広場で行いました。それぞれがもちよったお弁当を広げて、和気藹々の楽しいひと時が過ごせたと思います。

(レポート:高久)