第104回井の頭かんさつ会のレポート

第104回井の頭かんさつ会

「井の頭で天体観測 星の一生を観よう」

日時: 2013年12月21日(土曜日)17:00~19:00
主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内:
小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
高久 晴子
田中 雅子(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
日置 日出男(森林インストラクター)
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
佃 和夫(NACS-J自然観察指導員)

参加者:45名(大人35名+小人10名)

レポート

  街中に住んでいると、夜空を見上げない人が多いですが、井の頭公園でも多くの星々や星座が見られるのです。今回は皆さんにそのことを知って頂きたくて企画しました。どうせ見るのであれば、星の一生を見て、感じてもらいたいということで、今回のテーマは「井の頭で天体観測 星の一生を観よう」となりました。
夕方、ボート乗り場の前に集合するところから天体観測を始めました。受付を済ませた参加者を待っていたのは、西の空に向けられた2台の望遠鏡。覗くと、三日月が見えます。実は、「宵の明星」である金星は斜めから太陽の光が当たるので、望遠鏡で見ると三日月型をしているのです。
 暗くなるまでの前半は3部構成で、井の頭地区公会堂で星の話をしました。第一部は先ほど観察した金星や後半に観察する木星とガリレオ衛星を中心とした太陽系の話と星の一生の話しです。第二部は後半の野外観察の予習として、今の季節に見られる星座の探し方です。人間味溢れるギリシャ神話を織り交ぜ、楽しんでもらいました。第三部はミニ・プラネタリウムを使って星空散歩です。天井に映し出される満天の星に皆さん、釘付けでした。秋・冬・春・夏と1年の星座を楽しみました。
 後半はいよいよ野外で実際に星の観察です。井の頭地区公会堂を後にして、井の頭公園西園のグランドに向かいました。雲が出てきて心配でしたが、雲の合間から見られた星々を観察していきました。夏の大三角形、ペガススの四辺形、アンドロメダ座、カシオペア座、ペルセウス座、クジラ座と次々に見られました。そして、東の空にオリオンの雄姿が現れたところで、今回のテーマの1つである星の一生を見ていきます。まず、オリオン座の小三ツ星の中央にもやっと見えるのが、オリオン座の大星雲。星が誕生しているところです。視線を上に移すと、プレアデス星団。誕生したばかりの若い星の集まりで、双眼鏡で覗くと宝石箱をひっくり返したような美しさです。視線をオリオンの右肩に戻すと、1等星ペテルギウス、死にゆく星です。数か月以内に大爆発すると噂が立ち話題になった星です。
 クライマックスには東の空に木星が登場しました。天体望遠鏡で覗いてみると、縞模様がうっすら見られ、小さなガリレオ衛星が木星に寄り添うように一直線に並んでいました。
 今回、少し雲が出てしまいましたが、見ようとしていた星はほぼ全て観察できました。グランドは街中より暗いですが、それでも周囲のライトが明るく、観察には最適ではないです。そういった場所で多少雲が出ていても、星は観察できるのです。そして、星は一生を通して、様々な元素を作り上げ、それが大爆発によって宇宙のチリとなって、再び星ができるのです。その元素を使って地球上のあらゆるものが出来ています。人類を含め生きものは全て「星の子どもたち」なのです。そういった事をじっくり参加者の皆さんに感じてもらいました。一年の締めくくりに相応しい観察会でした。

(レポート:小町、写真:高野)