第101回井の頭かんさつ会のレポート

第101回井の頭かんさつ会

「恒例!渡りの夏鳥探鳥会 秋編

日時:2013年9月23日(月祝)9:00~11:00
主催:井の頭かんさつ会
後援:東京都西部公園緑地事務所

案内:
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
大原 正子
高久 晴子
佐藤 誠(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
田中 雅子(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
大橋 博資
日置 日出男(森林インストラクター)
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)

参加者:56名(大人43名、子供13名)

レポート

 開催100回を達成し、次への新たな一歩となる101回目のかんさつ会は、8年前に私がリーダーとしてデビューした秋の渡りの探鳥会でした。やはり探鳥会の回は人気で、今回も満員御礼でキャンセル待ちが出ました。
暑い日が続く中、週間天気は良くなかったので心配でしたが、高曇りの好条件となりました。当日は若干のキャンセルがあったものの、56名もの参加者を集め、資料の説明をしてから、4班に分けてスタートしました。先に資料の説明をしたのは、探し方とどこを探すかをしっかりと伝えたかったからです。観察を始めてしまうと、なかなか細かい説明ができなくなってしまいがちです。資料もそのような編集にしました。また、夏鳥だけでなく留鳥など典型種の行動をよく観察することをすすめました。ハシブトガラス一つとっても、まだ知らないことは山ほどあります。普段の日常生活の中で、カラスやハトをじっくり観察する時間はまずないと思いますので、こういう機会にこそ、観察してみてほしいという趣旨です。
池に冬ガモが来ていればと思いましたが、カルガモとアオサギくらいでした。しかしながら、カルガモの面白い生態を観察できました。水辺に垂れているムクノキの果実を、水面からジャンプして採っていたのです。早速、典型種の知らない行動を観察することができました。
野口雨情碑の周辺で夏鳥のセンダイムシクイを見つけ、皆でしっかりと行動を観察できました。こちらはアオマツムシをはじめとする昆虫を捕食していました。採り損ねた昆虫が落下するのを追って、私たちの目の前まで下りてくる嬉しいハプニングもあり、盛り上がりました。
その後、弁財天の近くではキジバトがエゴノキの果実(種子?)を食べているのを確認。ヤマガラが有毒の果実を取り除いて種子を食べるのは有名ですが、キジバトがエゴノキの果実を食べる行動は最近知りました。これを参加者と一緒に観察することができました。
玉川上水では、ヤマザクラにつくモンクロシャチホコの幼虫を食べるツツドリを観察することができました。ヤマザクラがあって、それを食草とする昆虫がいて、それを季節性の餌として捕食する鳥類がいる、生き物のつながりを知ることのできる場面を、参加者と共にじっくりと観察できました。
その後、小鳥を捕食した後のツミを観察。生態系の頂点である猛禽類も観察できました。もう少しいろいろと探したいところでしたが、ここで時間になってしまい、終了としました。最後に簡単に鳥合わせをしました。他の班でも、エゾビタキなど私の班で観られなかった種類も観察し、充実した観察ができたようでした。
今回は食欲の秋にふさわしく?鳥類と食について、しっかりと観察することができた探鳥会でした。そして、その食を提供しているのは森なのだということを参加者と共に実感できました。

(レポート:高野、写真:上村)