第16回井の頭かんさつ会レポート

第16回井の頭かんさつ会

テーマ: 「種に込めた願い」


 日時: 2006年10月14日(土) 午前10:00~12:00

場所: 井の頭公園

主催:井の頭かんさつ会

案内:田中利秋 (自然観察指導員)

小町友則 (森林インストラクター)

高野丈  (自然観察指導員)


 レポート

  秋らしいさらっとした晴れの天気でした。 今月のかんさつ会のテーマはいろいろな植物の種(たね)です。今は実りの秋の真っ最中。 種をできるだけ遠くへ届け発芽させることは繁殖上極めて重要なことですから、 植物はそのための様々なしくみを発達させています。その植物が種に込めたいろいろな工夫を観察しました。

弾き跳ばされるもの、風に乗って飛んでいくもの、水に流されてたどり着くもの、 動物の身体にくっついて運ばれるもの、あるいは鳥に食べられて運ばれるもの等々、 種が散布されるしくみは植物ごとに様々で、調べていて飽きません。 また、それだけでなく、種に込められた他の戦略にも注目しました。 かんさつ会の最後には『スーパー小学生』K君に高台に上ってもらい、種を落下させてもらいました。

(田中・高野)

 

第15回井の頭かんさつ会レポート

第15回井の頭かんさつ会

テーマ:『秋の渡りの野鳥観察』


開催日:2006年9月23日土曜日

時間:8:00~12:00

場所:井の頭池周辺~小鳥の森

主催:井の頭かんさつ会

案内:田中利秋(自然観察指導員)

小町友則(森林インストラクター)

高野 丈(自然観察指導員)

協力:井の頭バードリサーチ

参加者:12名  


レポート

 恒例の秋の渡りの観察会を実施しました。渡りには波があるので日程の設定にいつも頭を悩ましますが、どんなに綿密に分析しても決して予測は不可能で鳥運次第ということになります。当たり外れは鳥屋の常、の精神で臨むのが正解です。

かんさつ会は七井橋で解説中にカイツブリの雛がゴイサギに捕食されるというショッキングな出来事から始まりました。ショックではありますが、これが現実であり、この厳しい野生の営みを参加者全員で目の当たりにしたことは貴重だったと思います。さて次に驚いたのはオナガガモの数です。未だカモ飛来の初期であり、前日まではぱらぱらとしかいなかったものが突如増えていたのに驚きました。

前日まではオオルリやキビタキがコンスタントに出ていたのですが、この日は風が強いせいか全体に鳥の動きが低調でしたが、キビタキ雌や今季多いカケスを確認することができたのは幸いでした。

観察会終了後はキャンティ・セッテで昼酒、昼食会としました。(高野)

第14回井の頭かんさつ会レポート

第14回井の頭かんさつ会

テーマ:『ナイトウォッチング』


  開催日:2006年8月12日土曜日

時間:18:30~20:30

場所:井の頭公園(御殿山~第二公園)

主催:井の頭かんさつ会

案内:田中利秋(自然観察指導員)

小町友則(森林インストラクター)

高野 丈(自然観察指導員)

参加者:13名


観察会レポート 

昨年に引き続き夏の夜長の観察会を実施しました。朝から断続的に続く雷雨によって会の開催は危ぶまれましたが、観察会の時間帯にはすっかり天候が回復しきっていました。『井の頭かんさつ会は天候に恵まれる』ジンクスは崩れていませんでした。日中の雷雨は涼しさをもたらし、むしろ観察会を快適にしてくれました。

ヒグラシの合唱に包まれながらライトを片手に歩き、観察対象を探します。地中から出てきてこれから羽化するセミの幼虫や様々な昆虫類が見つかりカブトムシやコクワガタも見つけることができました。とってもグロテスクなカマドウマも出現しました。アブラコウモリが外灯に集まる蛾を目当てに飛び回っていました。

羽化が始まったセミを何個体か見つけましたが、羽が伸びきるのを観察するには会の時間は少し短いようです。

夜に開花する植物としてカラスウリを観察しましたが、参加者のHさんが普段なかなか観ることのできない月下美人の開花観察の話題提供をしてくれました。ありがとうございました。

会終了後の沖縄料理屋での親睦会も盛り上がり、楽しい夜でした。

【高野】

第13回井の頭かんさつ会レポート

第13回井の頭かんさつ会

テーマ:『玉川上水の生き物たち』  


 開催日:2006年7月16日

時間:10:00~12:00

場所:玉川上水(ほたる橋~まつかげ橋)

主催:井の頭かんさつ会

案内:田中利秋(自然観察指導員)

小町友則(森林インストラクター)

高野 丈(自然観察指導員)

参加者:15名


 観察会レポート 

今回のテーマも前回に引き続き『水系』。神田川と並んで井の頭公園に連なるグリーンベルトを形成している水系『玉川上水』の生き物たちにスポットを当てました。スタートの10:00の時報と同時にまとまった雨が降ってきて、かんさつ会は天候に恵まれるというジンクスもここまでかと思いましたが、集まった参加者と共に雨宿りしているとまもなく雨は上がり、その後は滞りなく会を進めることができました。

ツル植物探しを軸にしてかんさつ会は進み、モグラの死体やカミキリムシを見つけるなどしながら上水をそぞろ歩きました。小町さんの用意した昆虫トラップは何種類かありましたが、腐肉を仕掛けたトラップに予想以上に『掃除屋』たちが入っており、それがうごめく姿はスプラッター映画のようでした。もちろん、彼ら『掃除屋』たちが自然界で重要な役割を担っていることは理解しているのですが。『三州うどん』での昼食をはさみ、午後はオプションの鳥類観察。ほとんどの参加者がこちらにも参加してくれて一日充実した観察ができました。

【高野】

第12回井の頭かんさつ会レポート

第12回井の頭かんさつ会

テーマ:『神田川の生き物たち』


開催日:2006年6月10日

時間:10:00~12:00

場所:井の頭公園

主催:井の頭かんさつ会

案内:田中利秋(自然観察指導員)

小町友則(森林インストラクター)

澄川 沃(自然観察指導員)

参加者:12名


 観察会レポート 

前日梅雨入りしたばかりなのにいきなりの中休みで、川の観察会に最適な天気になりました。今回のテーマは「神田川の生き物たち」。二十数年前の改修工事で掘り下げられ何もいなくなった川に、今では多くの種類の植物が茂りいろいろな動物が暮らしていることに驚いてもらおう、という企画です。神田川沿いを通る人でも、多くの生き物がいることに気づいていないし、見通しの悪いフェンス越しに川を覗き込む人さえほとんどいません。

でもよく見さえすれば、驚くほどいろいろな生き物がそこに進出してきているのです。生えている水草の中には、『レッドデータブック』の「準絶滅危惧種」にランクされている「カワヂシャ」や「ミクリ」が含まれています。オランダガラシ(クレソン)やオオカワヂシャのお花畑には何種類ものチョウやハチがやってくるし、トンボもいろいろ見られます。もちろん鳥も何種類も訪れます。

それらを観察しながら神田川を遡っていると、オシドリの親子や、中州のカルガモの巣(卵6個)が見つかりました。彼らの天敵である大きなアオダイショウも!

出発点の丸山橋と終点の夕やけ橋付近で水質を測定し、神田川の水と水生植物の浄化能力について考えました。

また、夕やけ橋付近に残された親水域(子供の遊び場)では、希望者が川に入って水棲動物を探しました。シジミやカワニナからユスリカ幼虫やヒルまで、バラエティに富んだ水棲動物が見つかりました。ミズムシという生き物(甲殻類)がいることを初めて知った人が多かったようです。今回は子供の参加者がなかったのですが、水棲動物探しは想像以上に楽しく、大きな子供がたくさん現れた観察会でした。

【田中】

第11回井の頭かんさつ会レポート

第11回井の頭かんさつ会

テーマ:『声で探す渡りの夏鳥&野鳥写真講座』


開催日:2006年5月3日

時間:9:00~12:00

場所:井の頭公園~玉川上水

主催:井の頭かんさつ会

案内:高野 丈(自然観察指導員、自然写真家)

田中利秋(自然観察指導員)

小町友則(森林インストラクター)

参加者:16名


観察会レポート 

GW、公園は夏鳥たちの渡りの真っ最中です。連休を遠方で過ごすのもいいですが、どこも混雑する上に費用も割高、人の少なくなった都内に残って公園で渡りの夏鳥を探すのも良い時間の使い方だと思います。今回のかんさつ会では夏鳥のさえずりや地鳴きに着目し、声で彼らを探す観察の方法と、以前から要望のあった写真講座を一緒に実施することにしました。かんさつ会の日は好天に恵まれ、幸いにもコマドリが良い声を聴かせてくれました。キビタキやセンダイムシクイ、コサメビタキもばっちり出てくれて観察的には恵まれたのですが、少し失敗がありました。それは観察会と写真講座を同時に実施するという考えです。参加者をカメラマン参加とウォッチャー参加に分け、自分がカメラマン参加者に教え込んでいてウォッチャーをフォローしきれない時は、田中さん、小町さんにフォローしてもらうということを漠然と考えていたのですが実際はそううまく運べませんでした。写真はあまりにも解説することが多いので、その場に立ち止まって話し込み、なかなか前へ進めないのです。このため途中からは写真講座を最小限のものにしてウォッチャーと一緒に観察できるように内容を変更しました。写真講座については複数回を設定し『井の頭かんさつ会』とは別に実施しないと難しいと思いました。かんさつ会終了後は芝生の上で『井の頭かんさつ会』1周年記念の親睦会を行い、常連のリピーターさんを中心に食べ物飲み物を持ち寄ってGWののんびりした午後を楽しみました。

【高野】

第10回井の頭かんさつ会レポート

第10回井の頭かんさつ会

テーマ:『花』  


開催日:2006年4月22日

時間:10:00~12:00

場所:井の頭公園

主催:井の頭かんさつ会

案内:田中利秋(自然観察指導員)

小町友則(森林インストラクター)

記録・案内:高野 丈(自然観察指導員)

参加者:20名


 観察会レポート 

桜の花の時期も過ぎ、井の頭公園も落ち着きを取り戻しました。この時期、井の頭公園をちょっと歩いてみて不思議に思うことはありませんか? そうです、花が少ないのです。野草は少ないし、花壇もないのです。若葉が茂ってきた桜の下はちょっと寂しい感じです。今回の井の頭かんさつ会はちょっと花が少ないかなと思える井の頭フィールドで、花を楽しむコツをご案内しました。

野外ステージの辺りから、池の北側を進み三角公園まで行きました。少ないと思えた花ですが、ヤマブキ、ヤエヤマブキ、ツツジ、ドウダンツツジ、ミツデカエデ、ヒイラギナンテン、シャガ、ハナニラ、オオイノフグリ、スミレ類、タンポポ、カラスノエノドウなどちゃんと見れば沢山あります。

花は綺麗ですが、決して人を楽しませるために咲いているわけでなく、自分の命のつながりを賭けた壮絶なドラマを持っています。そんなドラマの裏舞台をちょっと覗いてみました。観察したそれぞれの花に数々の巧妙なしくみが隠されていて「花ってすごいな~」って感じてもらえたかと思います。

小学生から大人まで楽しめた身近な花の観察会でした。

【小町】

第9回井の頭かんさつ会レポート

第9回井の頭かんさつ会

テーマ:『樹形のひみつ』    


開催日:2006年3月12日

時間:10:00~12:00

場所:井の頭公園

主催・案内:田中利秋(自然観察指導員)

案内:小町友則(森林インストラクター)

記録:高野 丈(自然観察指導員)

参加者:20名 


観察会レポート 

梅の見ごろを過ぎ、桜を待つ頃は観察対象に乏しい時期です。花も葉も未だですし、昆虫も見当たりません。冬鳥は残っていますが、その観察会は既に何回か行いました。そんなテーマに苦しい時期に田中利秋さんがアイデア出ししたのが『樹形』です。葉が落ちている時期は樹の形を観察するのに好適。逆転の発想です。見ているだけで観ていないという事をよくお話しますが、樹の形などはまさに眺めていても、観察したことがありません。田中さんが題材に選んだ樹を順番に回り、種による違い、生育環境による違い、樹木たちの競り合いと戦略など今まで知らなかったことをたくさん学びました。樹木は風に揺れるだけの『静』ですが、樹形を観て伸び方を考えていると動きが感じられるのが不思議でした。木々たちの気持ちを少しだけわかったような気がしました。

【高野】

第8回井の頭かんさつ会レポート

第8回井の頭かんさつ会

テーマ:『冬鳥のいろいろを探そう』


    開催日:2006年2月19日

時間:10:00~12:00

場所:井の頭公園

主催・引率:高野 丈(自然観察指導員)

引率:小町友則(森林インストラクター)

引率:田中利秋(自然観察指導員)

参加者:18名


 観察会レポート 

【都市公園の冬鳥観察会=カモ観察だけではない】

この冬シーズン、何回カモを中心とした観察会を行ったことでしょう。初めての参加者や初心者にとっては定番として良いにしても、リピーターやベテランの方にとってカモの同じ話を繰り返し聴くのはちょっと退屈かもしれません。10月末から毎回同じ話をしているようなものですから。

かといって面白い観察対象が突如現れるわけでもありません。そこで、今回は趣向を凝らしてゲームを組んでみました。姿を見つける、行動を観る、声を聴き取る等々の課題を盛り込みました。各項目には難易度に応じて点数を割り振りました。日頃観ている観察対象であっても、その時に見つけられるか、聴けるかとなると必ずしも容易ではありません。そこにスリルとゲーム性が成り立ち、気がつくと誰もが夢中になっていました。3班に分かれて競っていただいたゲーム。それぞれの班にそれぞれのドラマが生まれました。観察会を主催するといっても必ずしも私たちが参加者に何としても楽しんでもらおうと無理をしなくとも、参加者たち自身で盛り上がり、楽しんでいただくことができることもあるのです。今回は観察会の新しい形を拓くことができたかもしれません。会終了後はキャンティセッテで皆でランチ。美食を楽しみながら楽しい一時を過ごすことができました。

【高野】

第7回井の頭かんさつ会レポート

第7回井の頭かんさつ会

テーマ:『カモの行動をよく見よう』


開催日:2006年1月14日

時間:10:00~12:00

場所:井の頭公園

主催・案内:田中利秋(自然観察指導員)

案内:小町友則(森林インストラクター)

記録・案内:高野 丈(自然観察指導員)

参加者:20名


 観察会レポート

  新年最初の井の頭かんさつ会はカモの行動観察がテーマ。誰もが見ていて、それでいて『観ていない』カモの生態と行動について『時間をかけてじっくりと』の自然観察者、田中利秋さんがいろいろと話題提供しました。毎日井の頭公園で野鳥観察している私も実に『識別したり眺めているだけで観ていないなぁ』と痛感させられる問いかけが沢山ありました。

参加者は鳥類観察初心者からベテランまで幅広かったですが、皆一様に提供された話題や問いかけに感心していました。記録的には典型種である意味で当たり前の存在であるカモも、しっかりと観察すると面白いこと、わからないことが沢山あるのだと痛感させられました。降雨が心配されましたが、過去の実績が示すように井の頭かんさつ会はなぜか天候に強く、会の時間中は持ちこたえました。会も7回目になり、発足のきっかけになった三鷹環境市民連依頼の探鳥会からそろそろ一年を経ようとしています。一周年をひかえる今年はさらに会としてのいいカタチをめざしブラッシュアップしてゆきたいと思っています。