第197回井の頭かんさつ会実施レポート

■タイトル 生き物の越冬戦略

■実施年月日 2022年11月27日(日)10時~12時

■参加者数  一般参加者 15名(大人11名、子ども4名)、案内人 井の頭かんさつ会スタッフ10名

■実施場所: ボート乗り場前 →狛江橋南側 →お茶の水池北側 →御殿山 →玉川上水沿道

■実施レポート
 生き物にとって冬は寒いため動きが悪くなったり餌が少なくなったりと厳しい季節です。そんな冬をどう乗り越えるのかということを観察する企画です。
 カワウはボート乗り場前のポンドサイプレスに営巣して、丁度雛が孵ったところです。冬は寒くて子育てに向かないと思われがちですが、水の透明度が上がり魚の動きが鈍くなるため、獲物が捕りやすくなって逆に子育てに向いた季節なのでしょう。参加者は熱心に観察しました。
 ヤツデの葉の裏では小さなクモや昆虫が活動しています。キジラミやチャタテムシなど、ほとんどの参加者は知らない虫ですが、こんなところに生態系ができていることに感動・興奮していました。昆虫は種によって適した発育ステージで越冬しますが、それぞれに寒さや乾燥を守る工夫をしています。ヨコヅナサシガメ幼虫は木の隙間で身を寄せ合い、サンゴジュハムシは親が産んだ卵の上から糞を被せることで、乾燥・寒さに耐えます。他にもウラギンシジミ成虫やカマキリ卵鞘、イラガ繭、ミノムシ(ミノガ幼虫)などそれぞれに乾燥・寒さに耐える工夫を観察しましたが、子供は虫を見つけるのが早くて驚かされます。
  井の頭池には北国から渡ってくる冬ガモの他に、国内で移動するオオバンなどが飛来します。北国は水面が凍結して餌が探せなくなるため、凍結しない暖地へ移動します。オオバンが潜水して水草を食べる様や、それを横取りしようとするヒドリガモを見ました。
  玉川上水の擬木柵では冬に活動するフユシャク(蛾)を観察しました。知らないと気づかない小さな虫ですが、翅のないメスや口器が退化していること、敢えて冬に活動し産卵するなど不思議な生態に驚きました。