井の頭かんさつ会とは
「井の頭かんさつ会」には二つの意味があります。ひとつは井の頭公園(東京都立井の頭恩賜公園)で活動している市民グループのことで、もうひとつは、それが毎月実施している自然観察会のことです。グループとしての井の頭かんさつ会には二つの班があり、そのうちの観察会班が自然観察会を開催しています。もうひとつの保全活動班は、井の頭公園の生物多様性を保全する活動を実施しています。ここでは、まず自然観察会について説明し、その次に市民グループ井の頭かんさつ会の概要を説明します。保全活動については、保全活動ページ、および別のサイト「保全活動ブログ」をご覧ください。
井の頭かんさつ会(自然観察会)
2005年4月に始まり、2018年12月で第163回になった、月例の自然観察会です。観察会班のメンバーが実施しています。テーマによっては保全活動班のメンバーも協力します。開催している目的は、生き物たちのすばらしさや、自然のしくみの精妙さに気づいてもらい、それがいろいろ観察できる井の頭公園など身近な自然環境の大切さを理解していただくことです。各回のテーマは井の頭公園の生き物や自然環境のことが中心ですが、ときには宇宙(星)にまで及ぶこともあります。これまでどんなテーマで実施したかは、過去のかんさつ会のページをご覧ください。最近では観察会班のメンバーも増えたため、より広いテーマでかんさつ会を開いています。対象は一般の人々で、ほとんどの回は老若男女どなたでも参加いただけます。ただし、テーマによっては年齢制限を設ける回もあります。行事保険代および配布資料代として、大人300円、中学生以下100円の参加料をいただいています。かんさつ会の予定や申し込み方法については、今後のかんさつ会のページをご覧ください。最近はすぐに満員になることが多いのですが、ご参加をお待ちしています。
井の頭公園で自然観察会を開いているわけ
井の頭公園が自然観察会を行うのにとても適しているからです。井の頭公園は面積が広く、その中にいろいろな自然環境が存在しています。例えば、広く明るい雑木林、大きな井の頭池、池周りの常緑樹の林、草が生えた広場、公園を貫いて流れる玉川上水と両岸の茂み、井の頭池から流れ出す明るい神田川などがあり、夜は人が入れない自然文化園もあります。同じ林でも、落葉樹の林と常緑樹の林では林の中の明るさや湿度が違います。周りより低い池の両岸の斜面は、右岸(南側)と左岸で日当たりが違い、湿度も違います。生き物はそれぞれに好きな環境があるため、いろいろな環境があるほうが、暮らす生き物や訪れる生き物の種類が増えます。つまり我々も、いろいろな生き物を観察することができるのです。
大勢の人が暮らす市街地にあり、駅から近いのも井の頭公園の特徴です。多くの人が気軽に訪れられる公園なのです。そういう特徴は、人間の行為の影響を強く受け、自然が守られにくいという問題もあるのですが、生き物が好きな人が繰り返し訪れて、その暮らしぶりをじっくり観察できるのは大きな利点です。よく観察することで、それぞれの生き物の魅力や自然のしくみのすばらしさを知ることができ、さらに、人間の行為が生き物たちに与えている影響も理解することができます。それが我々が井の頭公園で井の頭かんさつ会を実施している理由です。
井の頭かんさつ会(市民団体)
井の頭公園の自然観察仲間で三鷹環境市民連主催の冬鳥探鳥会の案内役を務めたことがきっかけになり、自分たちの自然観察会を2005年の4月24日に始めました。その時に我々の団体も始まったことになります。初期は「井の頭身近な自然観察会」という長い名前で、「井の頭かんさつ会」はその略称でした。自然観察は身近な場所でこそ面白いし大切だと伝えたかったからです。開始メンバーは3人でしたが、不安定な初期を自然観察仲間が支えてくれました。その後、新たなメンバーを迎えて会としての形が整ったので、2006年4月に正式名称を「井の頭かんさつ会」と改めました。
その後も自然観察会の開催を続け、メンバーを増やすとともに、それと並行して、エサやり自粛運動や外来魚調査など保全活動を実践しました。2013年8月10日に自然観察会が第100回になったのを機会に、自然観察会を開催するメンバーを「観察会班」とし、実践活動に熱心なメンバーと協力者を「保全活動班」としてまとめました。2018年12月現在、会のメンバーは26名で、うち16名が観察会班、21名が保全活動班に所属しています(つまり、11名は両方に属しています)。