第85回井の頭かんさつ会レポート

「神田川で生き物探し」

日時:2012年4月22日(日曜日)午前10:00~12:00
主催:井の頭かんさつ会
後援:東京都西部公園緑地事務所

案内:
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
佐藤 誠(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
大橋 博資
高久 晴子
日置 日出男(森林インストラクター)

参加者:29名(大人21子供8)

レポート

 心配された雨もなんとか上がり、集合場所の井の頭公園駅前には、網を持った子供たちや双眼鏡を下げた大人など、参加者が続々と集まりました。早々と全員の受付を済ませることができたのは、皆さんの意気込みや期待の現れでしょうか。神田川でのかんさつ会は4年ぶりです。親水域ではスタッフの一人が器材を準備して待機しています。その他のスタッフと参加者が子供班と大人班に分かれて観察をスタートしました。

 まずは、川沿いの道を歩きながらの生きもの探しです。最初林の中を流れる川は夕やけ橋上流の親水域で辺りが開けて明るくなり、川の中にハナショウブなどの植物が現れます。そしてその先の滝から下流は種類がぐんと増えます。堆積した泥の厚さや流れの強さなどに変化があり、それぞれの植物にふさわしい環境ができているからです。皆でどんな植物があるか探し、その特徴やそれがどんな場所に生えているかを観察しました。たとえば同じ抽水植物でも、マコモは水深の浅い場所に、ヒメガマは泥が深く流れが緩やかなところに、そしてミクリは比較的流れが速い場所に生えていることが分かります。どれも細長い葉をした植物なので、穂が出ていない今は区別が難しいのですが、葉に触って詳しく観察してもらったら、それぞれまったく違う手触りや構造をしていることが分かり、覚えてもらえたようです。ミクリは小さいうちは流れに逆らわずに細い葉を水中でたなびかせている沈水植物ですが、生長すると水面上へ立ち上がり抽水植物になるという、流れの中で生きるための特技を持っています。葉の形を観たらその秘密が分かりました。
 水深の浅い場所に繁茂し紫色の可愛い花を一面に咲かせてモンシロチョウを集めていた草は特定外来生物のオオカワヂシャです。その影響で数を減らしている在来植物のカワヂシャが1株だけ見つかりました。カワヂシャとミクリは準絶滅危惧種に指定されています。神田川には外来生物が多いのですが、希少な植物も残っているのです。
 そんな環境に暮らす動物もいろいろ見つかりました。橋のたもとで大きなヘビの抜け殻を見つけ一同びっくり。その「中身」らしい大きなアオダイショウも見つかりました。それが何を食べて生きているのか、神田川の食物連鎖に話が及びました。カルガモやコサギなどの水鳥、ギンヤンマやハグロトンボなどの川を好むトンボもいました。大きなコイのほかに、小魚の群れを発見しました。種類までは分かりませんでしたが、近年、カワムツやヌマムツ、オイカワなどが見られるようになっています。魚にとって神田川はしだいに棲みやすくなっているようです。
 フェンス以外に視界を遮るものがなく、川や生き物のようすををつぶさに観察できるのが神田川の良いところです。皆で川を覗き込んでいたら、通りがかった人たちも、そんなに面白いものがあるのかと川を覗き込むのでした。

 我々大人班が親水域に戻ると、すでに子供たちは川に入って熱心に水中の生き物探しをしていました。見つかったものが次々にテーブルに並びます。ドジョウ、シジミ、カワニナ、タニシ、サカマキガイ、アメリカザリガニ、ヌカエビ、それからヨコエビなど、意外にいろいろな生きものがいることが分かりました。サカマキガイは4年前のかんさつ会では見つからなかった外来種の巻貝です。朝、保護池(井の頭池の末端)で獲れた大きなテナガエビも展示しました。神田川から井の頭池へ遡上していると思われるエビで、川と池のつながりの大切さを知ってもらいたかったからです。

 生き物たちはそれぞれ異なる能力を持ち、特定の環境に適応して暮らしています。すべての生き物に良い環境というものはありません。どんな川にすべきかは、人間の都合と生き物たちへの影響をよく考えて決める必要があり、そのためには生き物のことをよく知らなければいけません。というような話を最後にしてかんさつ会を終えました。ちょっと難しい話だったかもしれませんが、あまりきれいとはいえない神田川でたくましく暮らす生き物たちを探し、その暮らしぶりを考えた参加者には理解してもらえたのではないでしょうか。

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(レポート:田中利秋、写真:上村肇)