第124回井の頭かんさつ会レポート

「植物と動物の夜の不思議」

2015年8月8日(土)18:30~20:30 

主催:井の頭かんさつ会
後援:東京都西部公園緑地事務所
案内:
佐藤 誠(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
大橋 博資
日置 日出男(森林インストラクター)
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員、井の頭バードリサーチ代表)
大原 正子
高久 晴子
田中 雅子(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
上村 肇
村上 健太(NACS-J自然観察指導員)
参加者:50名(大人32名、子供18名)

レポート

 8月恒例の夜の観察会は今年も大人気です。参加者50名、案内12名の総勢62名の大集団となりました。これを5つの班に分けて、班ごとに違う色のライトリング(発光する腕輪)をつけて出発です。今回は副題を「なぜ夜に活動するの?」とし、夜に活動する動物や植物が、夜を選んで活動する理由を考えつつ観察することを目標としました。
 ボート乗り場からスタートして七井橋に移ると、アブラコウモリが飛び回り始める時刻です(当日の東京の日没は18:39)。バットディテクタでコウモリの出す超音波を聞くと、大人も子供も歓声を上げました。夜に活動を始めるゴイサギが飛び立つところを七井橋の上から待ちましたが、今回は出会えませんでした。足下の橋の欄干に網を張るズグロオニグモの説明をすると、こんな所にクモがいた事に親子が驚き、興味深げに観察していました。
 今回初の試みとして、夜間のライトに照らされた水面に集まるミジンコを観察しました。昼と夜に採取した水面の水と、夜にライトの当たる水面の水をそれぞれボトルに入れて比べてみると、ライトの水には多くのミジンコが観察されました。ミジンコは昼間には底の方に隠れていて、夜間に水面付近に移動し、ライトの当たる部分に集まります。そんな微生物の行動の不思議を参加者も実感したようです。
 夜に花が咲くカラスウリを観察するときに「何で夜に咲くのでしょうか」と参加者に問いかけると、「夜に花粉を運んでもらうから」とすぐにほぼ正解が出ました。そこでじっくりと花の形を観察しました。花筒の長さとスズメガの関係を説明すると、「他の夜に咲く花に花粉を運んでしまうことも多いのでは」と一歩踏み込んだ疑問も出ました。
 カタバミの就眠運動や、夜に休んでいるニホンミツバチ、夜には集団で休むヨコヅナサシガメといった、夜に休んでいる生きものもしっかり観察しました。
 活動最後の山場は第二公園でセミの羽化観察です。今年は例年より羽化するセミの数が少なかったですが、それでも羽化のために木に登るもの、上半身だけが出て来たもの、翅を伸ばし途中のものなど何匹も見つかり、それぞれの班がじっくりと観察できました。初めてセミの羽化を観察した参加者も多く、がんばって羽化しようとする姿に感動したと語ってくれました。
 今回の案内では「何で?」「何故でしょう?」と参加者に呼びかけました。その都度参加者自身で考えて自分也の言葉で答えて頂きました。正解を知る事だけを目標にするのではなく、生き物に対する疑問を持つ楽しさが伝わっていればうれしいです。(村上健太)
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