第142回井の頭かんさつ会レポート

第142回井の頭かんさつ会レポート
「春を待つ木々の冬芽」
日時: 2017年2月26日(日曜日)午前10:00~12:00
主催: 井の頭かんさつ会
後援: 東京都西部公園緑地事務所

案内
佐藤 誠 (NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
村上 健太(NACS-J自然観察指導員)
小町 友則(NACS-J自然観察指導員、森林インストラクター)
日置 日出男(森林インストラクター)
大橋 博資
田中 利秋(NACS-J自然観察指導員)
高野 丈(NACS-J自然観察指導員)
大原 正子
高久 晴子
上村 肇
竹内 隆一(NACS-J自然観察指導員)
中村 芳生(NACS-J自然観察指導員)

レポート

インフルエンザ渦の影響か直前のキャンセルが15名と多くスタッフ人数に対して参加者が少なかったですが、少数でじっくり観察できる会になりました。寒さが少し緩んだ2月の下旬、木々が春の準備を始めています。そろそろ芽ぶく木々の芽を観察します。  冬芽の観察では「裸芽」「芽輪痕」など専門用語を使いがちです。案内人ではできるだけやさしく言い換えるように心がけますが、基礎的な事柄を知っておいていただいた方が観察しやすいため、最初に図を用いた配布資料で用語解説をしました。  基礎講座を終えた後、まずは手始めにボート乗り場前の植え込みでハナミズキを観察しました。葉が出る芽と花が出る芽の違いを重点的に見ることで、冬芽を観る目を養います。弁天池南側の斜面ではトチの芽を見ました。大きな芽でベタベタしています。参加者から「何のためにベトベトしているのですか」との質問があり、知らない事柄だったので、参加者と一緒に考えました。日本庭園近くのアジサイでは、芽が「冠を被った王子様」のように見えることから、よりそのように見える芽を参加者と探しました。  その後様々な木の芽を見ていくうちに参加者の目が慣れてきたのか、「これは人の顔に見える」「この芽可愛い」など感想を言うようになってきました。芽を擬人化して見るということは、気持ちが深く入っていることだと思い、嬉しかったです。ニセアカシア(ハリエンジュ)では葉痕に隠れている芽の(陰芽)の話をするよりも、悪魔の顔のように見えることを楽しんでもらいました。  今回気をつけたのはできるだけ興味が長続きするようなきっかけをつくることです。例えばアジサイやハナミズキなど、自宅近くや街路樹で多く見られる樹種を重点的に観察することで、かんさつ会の後でも生活の中で観察を続けられるようしました。またガマズミなど動物や人の顔に見えるもので何に見えるかと問うことで、興味関心を引こうとしました。参加者がこのかんさつ会を通じて身近な植物にも興味を持ってくれることを期待したいです(村上健太)。